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追放堕天使系妹(1)

 一週間後。アラベラはルーラオム家の名前を出した途端恩赦となった。


 そこで、エリカとアラベラに家事を代わってもらい、俺は冒険者ギルドへの聞き込みに出かけていた。


 この五年、毎週欠かさず魔王に関する情報が入っていないか確認しに行っている。まぁ収穫は殆どないのだが。


「アルダヴァーン様! 今日も新情報はないですよ。それより、身寄りのない少女を引き取って、いやらしいことをしているとは本当ですか?」


 馴染みの受付嬢、レイに話しかけると、そんなことを言われた。


「断じていかがわしい関係ではない! どこからその情報を?」


「どこって……あれだけ派手に戦っていたのですから、噂にもなりますよ!」


 それもそうか。隕石落としたり巨人を出現させたりしていたのだからな。


「いや、戦闘とは関係ないところで変な噂が立ってるじゃないか! レイの方でもいかがわしい話が広まらないよう手を回してくれ!」


「無理ですよー、私そこまで影響力ないですし。そもそも、ルーラオム家の無能次男という噂が広まっている時点で、アルダヴァーン様の名誉なんてあってないようものですし。今更淫行の噂が広まったところで変わりませんって」


「いや、淫行の噂があるとないとじゃ天地ほどの開きがあるだろ……まぁいい。セイラの情報がないなら帰る」


 冒険者ギルドを後にしようとすると、入口付近の道端で、少女が冒険者たちに絡まれていた。


「なぁ、本当に天使なんだったら金を創造するくらい簡単だろ? 今ここでやってみせてくれよ」


「天使様ぁ、お願いしますよぉ」


「うぅ、だから私は堕天使で、もう天使の力は剥奪されてしまったんです! それに、お金を無から創造するなんてできません! 自分でちゃんと稼いでください!」


 少女は正論で説得しようとする。にしても、自ら天使を名乗るとは、かなり痛い奴だな。いや、淫行の噂が立っている俺が言えた義理じゃないが。


「おい、そこらへんにしておけ。困ってるだろ」


「お前は、ルーラオム家を追放された無能次男か。何の権限もないお前の言葉に従うとでも……」


 俺は男の腕を掴み、少女から引き剥がす。


「な、なぜこれほどの力を……」


「お前は勘違いしているようだ。ルーラオム家を追放されたとかは関係ない。ルーラオムという名に意味があるのだ。この姓を剥奪されない限り、国王は俺に逆らえない」


「う、嘘だ! ならばなぜ侯爵なんて地位に甘んじている!?」


「お前たちが知る必要はない」


 俺が少しばかり魔力を放出すると、男たちは皆気絶してしまった。


「あ、あの……」


「そこの君、良かったら……」


 俺と少女は、同時に声をかける。


「私を妹にして頂けませんか!」


「俺の妹にならないか?」


 ついに、両想いな妹ができたのであった。


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