表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/19

追放冒険者系妹(1)

「はぁ、セイラ、どこに行ってしまったんだ……」


 俺ことアルダヴァーン・フォン・ルーラオムは、大きなため息をついた。


 血を分けた実の妹、セイラが出ていってから5年が経った。


当時まだ十二歳だったセイラは、急に「第三の眼が……」とか、「邪神の託宣が……」とか言い出して、挙句の果てには「魔族の王になる」と宣言して家出してしまった。


「そろそろ戻って来てくれないと寂しくて死んでしまいそうだ……」


 などと言いながら買い出し先から帰っていると、一人の少女が行き倒れているのに気付いた。


 まさか、セイラ? 年の頃も同じくらいだ。


 そう思って歩み寄るが、全然違う顔だった。


 そもそもセイラの髪はスカイブルー。緋色の髪のこの少女とは別人に決まっている。そんなことも分からないほど錯乱してしまっていたのか。我ながらヤバイ精神状態だったな。


「あの、大丈夫ですか?」


「う……あの、なにか食べ物を……もう三日も不眠不休で、しかも何も食べてないのです……」


 声の感じからして、かなり喉が渇いているようだ。


「とりあえずこの水を飲みな。おっと、いきなり大量に食事をとるのは控えた方がいい」


 パンにかぶりつこうとした少女を制し、市場で買ってきた水の入った革袋を渡すと、少女は一気に飲み干した。


「まぁここじゃなんだし、俺の家に来ないか?」


「い、いいんですか?」


「あぁ、別に一人増えるくらいじゃ、家計には響かないし」


 そうして、曲りなりにも侯爵家の一員である俺の自宅に招待した。


 少女は、建物の豪華さに驚いているようだった。


「さて、どうして行き倒れていたのか、聞かせてもらえないかい?」


「はい……」


 話を聞いてみると、どうやら彼女は天涯孤独の身で、唯一雇ってくれた冒険者ギルドも追放されてしまったらしい。名はエリカ・フォン・イーゼルベルクというそうだ。


 イーゼルベルク家といえば、最近没落した貴族か。そこの令嬢といったところなのだろう。


「でもなんで追放なんて……」


「私、剣も魔法も不得手で、唯一《占星術》というスキルを持っているのが取り柄だったんです。けど、遠い未来の抽象的なことしか予言できないので、一週間で解雇されてしまったのです」


 確かに、占いができるだけの冒険者ではやっていけそうにないな。


「ちなみに、俺の妹が家出中なんだが、戻ってくるか占ってくれないか?」


「はい……」


 彼女がスキルを発動させると、各星座の紋章があしらわれた魔法陣が浮かび上がった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ