追放魔族系妹(1)
「にしても、ルーラオムという名を出した途端、神様なんかビビッてましたよね? どうしてなんでしょう?」
アラベラが不思議そうに訊いてくる。そんなことも知らないのか。
「ルーライの神話を知らないのか? 俺の先祖、大天使ルーライは最高神ベルルに一対一の勝負を挑んで勝利した唯一の天使だ。奴が未だに恐れるのも無理はないだろうよ」
「へぇ、でもなんで神様に挑むなんて真似を?」
「大洪水を起こして人類を滅ぼそうとしたからだ。ルーライは神を諫めることのできたただ一人の天使として、世界中で信仰されている。【ルーラオム】の姓は、それだけに歴史と権威あるものなのだよ」
「へぇ」
アラベラには一般常識から教える必要がありそうだな。と、馬車に揺られながら思った。
すると三分もしないうちに、村の倉庫を漁っている角の生えた悪魔が見つかった。コウモリのような翼と角、尻尾が生えているが、それ以外は人間の少女そのものだな。
「おいそこの魔族。何をしている?」
「ひえっ、すみません許してくださいお腹空いてこうでもしないと生きていけないんです」
何やら早口で弁解しているが、やってることは立派な犯罪だ。
「言い訳は地下牢でするんだな。ほら、大人しく縛られろ」
持参した縄を取り出そうとすると、魔族少女は逃げ出した。
「逃がしませんよ!」
エラールは弓を取り出し、矢をつがえる。エラールの実力がいかほどのものか、把握しておくにはいい機会だろう。
すると、射程が足りなかったのか矢は地面に刺さり、大爆発を起こした。余波で魔族少女は吹き飛び、倒れ込んだ。
「え?」
「あれ? どうしてここまでの威力が?」
どうやら、エラールの基礎能力まで向上しているらしい。俺には周りの人間を強化してしまうスキルでもあるのだろうか。いや、だが一人の人間が身に付けられるスキルは一つまで。
既に【デイ・サピエンティア】というスキルを持つ俺が、そんな二個目のスキルを持っているとは思えない。
「大した威力だな。無能と言われて天界を追放されたというのは、何かの間違いだったんじゃないか?」
「いやでも、私の矢なんて、せいぜいあそこにある木に突き刺すくらいの威力しかなかったんですが……」
エラールは近くにあった木を指さす。本人も困惑しているようだ。
「では眠っていた才能が今開花したんだろう。良かったな。お前は無能じゃない。俺の自慢の妹だ」
「お、お兄様……ありがとうございます!」
エラールを褒めると、アラベラが腕に抱きついてきた。
「ちょっと、能力の汎用性では私の方が上ですよ! 私のことも褒めてください!」
「また活躍したら褒めてやるから、出番が来るまで黙ってろ」
すると、エリカまで肩を寄せてきた。
「アルダヴァーン様、攻撃力に関しては私の方が上ですよ! それに家事もできる私の方がスペック高いと思うのです」
なんか急にアピールタイムが始まったな。面倒だが可愛い妹たちだ。まぁ、アラベラには油断ならないが。
「なんだエリカ? 嫉妬しているのか? 珍しい」
「わ、悪いですか? 私だってそう感じることもあります!」
エリカも可愛い妹らしいところもあるということだな。
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