第十自我 【割れた硝子に自我は残るか】
第十自我 【割れた硝子に自我は残るか】
単一物質系列世界第九種 №665──硝子の世界。
「変な感覚ですわ……」
「硝子ってぇと宝石よりも脆いのか?」
「そうでもない。まあ宝石の世界のように洞窟から生まれるわけじゃあない……また全く別次元の世界だ」
胸元で変わらず爛々と輝いているサファイアのタイリボンを中心に、海よりも薄く、空よりも青い硝子の体が広がっているのを見下ろして不思議な心地になる。
指先を合わせるとかちかちと硬質な音がして、あまり強く擦り合わせると割れてしまいそうで怖くなる。
「大丈夫だ。プリズム因子セカンドだからな」
「プリズム因子?」
「ま~、この国における硝子の材料とでも思えばいい。地球じゃあ石灰、石英、ソーダ灰のようなもんだと想え」
黒みを帯びた淡いバイオレット色の肢体をしておられる館長さまと、夕暮れ時を彷彿とさせるブラッディオレンジ色の肢体をしておられるどれいさまの会話を聞きつつ、あたりを見回す。
硝子の世界。
まさに、と言うべき場所にございました。
いつだったか、どれいさまから宝石の世界のことをお伺いしましたが……きっとこのような世界だったのでしょう。足元をそよそよと撫でる芝はもちろん、所々点在している花畑に木々、それどころか遠目に見える川の水に空を流れる雲、果てには空そのものまで……硝子のような質感なのです。
足を踏みしめるたびにチリチリ、キリキリと小さく細かい音が鳴っていて、なんとなく歩き方に気を遣ってしまいます。とても綺麗な世界ですが……不安になりますわね。
わたくしは、美しい。
あ、と思う。
そういえば──しばらく、わたくしのこの声を聞いていなかった気がします。キチキチと体が軋むのも構わず、わたくしの思うままに過ごし……美しく、あくまで優雅にあくまで華美に、を意識するのも控えていましたから。
そろりと硝子の足先をエメラルド色の芝に踏み出す。きしきしと足先が細やかな割れを感じて、足先を上げる。芝が割れていた。──いえ、性格にはオータム色味の芝……おそらく枯れかけ、が割れて……鮮やかなエメラルド色の、まだ新鮮なのであろう芝は割れていません。これは……どういうことなのでしょう?
「硝子の割れやすさはプリズム因子の量によって決まるんだ」
「プリズム因子……」
大地が太陽光を浴びてプリズム因子を生み出し、その因子を吸い上げて植物が実り、因子が固まれば動物も生まれる。この世界はプリズム因子を中心に回っていて、因子を元に生まれた生物は因子とともに成長し、ピークを過ぎると因子を大地に還元しながら老いていき……やがて割れ砕け、大地に還るのだと。
「ま、人間族の場合多少違うがな」
街へ行こう、という館長さまに頷いて硝子の体が鳴ることに不安を抱きながら草原を抜けることにいたしました。
そよそよと吹く風は空気の流れそのもので硝子の欠片を感じませんが、風がそよいで揺れ動く草葉はカチコチと硬質な響きを奏でていて、とてもではありませんが……不安定な心境に陥ってしまいそうになります。肌の色に合わせたバイオレット色のドレスを着用しておりますが当然、それも硝子でできていて……衣擦れだなんてかわいらしく優しい音は一切奏でません。きし、しっ、ぎっ、と硬質なものが擦れ合う音しか──しないのです。髪だって、そう。硝子のツインテールは細やかなウェーブを描く繊細な硝子の彫刻のよう。けれどだからこそ、怖くなるのです。
割れてしまうのではないのか、と。
──わたくしという存在が、粉々に砕けてしまうのではないか、と。
美しいわたくしがこんなもの、するわけないでしょう。
叩き落とされて粉々に砕け散った硝子の宝玉。海を閉じ込めたいという想いから一心にコバルトを中心とした着色料を混ぜ込んで、少しずつ少しずつ青色の硝子を重ねて色に深みを出して、時折他の色も戯れに加えて煌めきも出して。ただ一心に、ただ無垢な気持ちで。ただ海を再現したいという、その想いだけで。
そうして創り上げたそれを、粉々に砕かれて。
わたくしらしくないことはしないで頂戴。わたくしらしく振る舞うの! わかった? わかったら返事なさい──〝わたくし〟!!
そう、決して名前は呼ばれなかった。
だって、わたくしだったから。当然──わたくし相手にわざわざ名前を呼ぶ人間なんていませんわ。わたくしは、わたくしでしかないのですから。
「いや僕ら結構バラバラじゃないですか。〝僕〟つったり雑用つったり柊どれいつったり」
「ハニー❤さまつったり、ですわね」
「ハニーじゃねえ」
……不思議なものです。
時折頭の中に響くわたくしの声は確かにわたくしなのです。わたくしでしかないのです。けれど──今、目の前にいるどれいさまと館長さまはそれ以上に〝わたくし〟だと心の底から安心して思えるのです。……意味がわかりませんか? そうでしょうね。
だって鏡を見ても美しいわたくしとしか思わないのに、どれいさまがたを見るとわたくしであると同時に〝わたくし〟でもあり、自分であり自分でしかなく、まごうことなき同一の存在なのだと確信できるのです。
「…………」
ふと、思う。
あの、鼓膜に時折まとわりつくわたくしの声が〝わたくし〟でないのならば。
──誰なのでしょう?
ずきりと、首が痛む。
「見えてきたぞ。王都ルミナリア」
館長さまの声にはっと我に返り、慌てて顔を上げる。
小高い丘の上から見渡せる形で、果てしなく広がる草原の向こうに夜を煮詰めたような透き通った硝子の外壁に囲まれた硝子の街があった。
どれいさまが無心でカメラのシャッターを切る。カメラも硝子になっていて、館長さまの細かい仕事に内心感心する。
「あそこにいらっしゃるのですか? 〝わたくし〟が」
「いや。いるのは城壁外のスラム街だ」
スラム街。
つまりは、貧民──ということでしょうか。いえ、追放された犯罪者かもしれませんし、あるいは慈善事業に携わるボランティアか、変わり者か。
ともあれ〝わたくし〟をひと目拝見すべくスラム街へと向かうことにしました。その前に腹ごしらえを、と王都に入ろうとした館長さまをどれいさまが引き摺って、硝子の肢体に若干傷がついてしまったのはここだけの話にございます。
彼の人は砕け散る。
脆く弱く哀れな弱者は繰り返す。
砕けては集められ欠けては補填され。
奪っては砕き奪われては砕かれ。
砕け散りし硝子に宿る自我は、何人や。
スラム街へのあぜ道の途中で、砕け散った薄く柔い硝子の山を見つけました。
そして、見つけた瞬間に確信してしまったのです。
〝わたくし〟だと。
「こりゃ見事に砕けてるな」
「……砕けた硝子は死んだ扱いになんのか?」
「さてな。生きるか死ぬか、ワタシたち次第だ。どうする?」
砕け散った硝子を前に、いつものように薄い笑みを浮かべて愉しげに問いかけてくる館長さまにわたくしはにべもなく無言で硝子を拾い集め始める。
細かく砕け散った硝子ではありますが、不思議なことにその状態でも〝わたくし〟だとわかるので集めるのに苦労はしませんでした。が……奇妙なことに、砕け散った硝子の中には〝わたくし〟だと感じない欠片もあったのです。一緒に、何か別のもの……例えば服とか、も砕けたのでしょうか?
「これで大体〝僕〟は集めたか?」
「ええ……館長さまに言われた通り、〝わたくし〟ではない欠片もできる限り」
「フフン! ならば行くとしようか。慈善鋳造院へ」
かき集めた〝わたくし〟たちを手に、わたくしたちは館長さまの後を追ってスラム街の中へ入ってゆきました。
◆◇◆
錫っぽい鍋に砕け散った〝わたくし〟の欠片と、ついでに集めた〝わたくし〟ではない硝子の欠片を入れて赤々と熟しきっている竃の中に入れる。ばちばちと熱気で爆ぜた火花が肌に当たってとても痛い。
「物好きもいるもんだねぇ。貧民なんざ放っときゃいいってのによ」
慈善鋳造院──つまりはスラム街にある格安ないしは無料で治療してくれるボランティアの医院のような場所。
そこの主を務めているという、薄汚れた苔色の硝子人間が酒であろう瓶を呷りながらわたくしたちを嘲笑う。
「わざわざ復元なんてしねぇでよ~、他の貧民の補強素材にした方がよかったろ~がよ」
「……補強素材?」
そう問い返しながら首を傾げた、次の瞬間でした。
がしゃんという荒々しい音とともに、わたくしの頭部に衝撃が走りました。はっと背後を振り返る。
腕を粉々に割った、薄っぺらい硝子の少年が立っておりました。
「ばっかだろおめー。プリズム因子サード以上の奴らを砕けるわけねぇだろ」
「う、ああぁあ、ううぅ、ああ……」
酒瓶を呷りながら爆笑する慈善院の主と、砕けた腕に絶望してその場に崩れ落ちる少年。──そこでようやく、わたくしはこの少年に砕かれかけたのだと理解しました。
「この世界じゃあ単純明快、硝子の強度で格付けが決まる。硝子の素材となるプリズム因子が少なければ少ないほど薄い硝子になって強度も弱く、スラム街へ追いやられる貧民となる」
逆に、プリズム因子サード・セカンド・ファースト・グランドと呼ばれる方々は体に含むプリズム因子が豊富で、砕けにくく傷つきにくいそうです。そういった方々は裕福層に多く、王都を取り囲む城壁の内部に暮らす人々に至ってはサード以上しかいないのだとか。
「そして硝子の脆さは遺伝する」
夫婦となった人間は互いの硝子を少しずつ削り、プリズム因子を混ぜて新たな硝子人間を鋳造する。そうして人は生まれ──大地から食べ物から草木からありとあらゆるものからプリズム因子を吸収しながら成長していく。
裕福層に生まれた硝子人間は元々プリズム因子の豊富な硝子から作られるために丈夫で、かつ環境にも恵まれているため豊かな食事で十分な成長が望める。
逆に、スラム街のような貧民街だと薄く脆い硝子人間しか増えず、自分の体をより強くするのに手っ取り早い方法を取る犯罪者で溢れ返る。
「自分の体をより強くするのに手っ取り早いって、まさか」
「そう、他人を砕いてその硝子と自分の硝子を混ぜて鋳造し直すことさ」
だから少年はわたくしを砕こうとしたのだと言って、館長さまは嗤う。
「……他人の硝子と混ぜてしまっては自我が混じりませんか?」
「混ざるよ。だからスラム街にゃ気狂いが多いんだよ」
鋳造し直す際に比率を調整するなどして自分の人格が乗っ取られないようにしはするようですが、やはり人格の混同でおかしくなることは多いようです。
「ここにゃ砕けた硝子人間を売ってる闇売人も、他人と混ぜて鋳造し直してくれる密造人もいる。気をつけるこったあ」
「……ご忠告、ありがとうございます」
そう言いながら、わたくしたちが会話している間に逃げてしまった少年の残した腕の欠片を拾い集めて、少年が戻ってくれば返すよう言いつけて慈善院に預ける。
それから竃で融かした硝子に館長さまの助言通り、ほんの少しだけわたくしとどれいさま、それに館長さまの爪先を削って混ぜ入れブローパイプと呼ばれる、吹き竿ともいう硝子の成形道具に巻き付けて息を吹き込む。膨らんで、少し硬くなったところでまた融けた硝子を巻きつける。
吸い込まないでくださいよ、お嬢様。そうそう上手!
──以前も、こんなことをした気がする。
職人の作る青い硝子瓶に魅入って、お店はどこなのかと強請って連れていってもらって……そこで海を作りたいと言ったら、じゃあ作るかと言われて。
青く色づけた硝子を何重にも何重にも巻き付けては吹き込んで、コップにも花瓶にもなりゃしねえよと笑う職人の声を聞きながらひたすら青を重ね続けて。
最終的に職人が形を綺麗な完全球体に整えてくれて、そうして出来上がったのが──海を閉じ込めた硝子の宝玉。
誇らしかった。嬉しかった。
美しいわたくしがこんなもの、するわけないでしょう。
ああ──そうでした。
家に持ち帰った直後に怒り狂ったわたくしによって割られ砕かれ、わたくしの肌が傷つきでもしたらどうするのかと恐れ戦き……そうでした。
わたくしに海を作らせてくれた職人は、お店の店員やお店に連れていってくれたメイドごと皆殺しにされたのでした。
わたくしに。
「…………」
ほんの少し息を吹き込んだだけでめきめきと人型に成形していく硝子に次々と融けた硝子を巻きつけながら、思う。
……どうかこの〝わたくし〟がもう、砕けることのないよう。
「人、増えてきてるな」
「ああ。ワタシたちはプリズム因子セカンド、まあつまり丈夫な硝子だからな──喉から手が出るほど欲しいのさ」
背後でどれいさまと館長さまがひそやかに会話する。ちらりと視線を慈善院の外に向ければ、確かに今にも壊れそうな──それどころか、自我さえちゃんと持っているのか妖しい不安定な硝子たちがこちらを窺っておりました。
「とんっでもねぇ格差社会だな」
「そう、だからサード以上になりたくてなりたくて、都市部から出て来た丈夫そうな硝子は真っ先に狙われる。だからあんなに高い城壁があるし、どの街にも軍隊がいる」
「硝子の補強って他人と混ぜるしかできねえのか? 草木とかは……」
「できるっちゃあできるが、その結果がアレだ」
そう言って館長さまが足を向けた先にいたのは、頭部を硝子の枝葉に覆われた硝子人間。
「取り込むんじゃなくて混ぜ込んだらああなる」
「……葉っぱを食べるか、葉っぱを皮膚の代わりにするかって違いか」
「そういうことだ」
硝子の世界。
とても幻想的で、それでいて不安になるものの本当に綺麗な世界だ──そう、思っておりました。きっと、わたくしたちがあのままスラム街に寄ることなく王都に入っていたのならば、そのまま綺麗なイメージしか持たなかったでしょう。
ですが……どんなに美しく着飾ろうと所詮は生物のいる世界。自然淘汰も弱肉強食も生存競争も取捨選択もある生物本位の世界。
完璧など、どこにもありはしない。
そう、わたくしも。
わたくしが完璧に美しくなど──不可能だ。
ぎぢっとこれまでにないくらい激しく体が軋んで、ブローパイプを取り落としそうになる。けれど揺らした衝撃か、先端につけていた硝子がぽちゃりと融けた硝子を入れている鍋の中に落ちてしまった。ああ、と慌てて様子を見に行こうとしたわたくしを慈善院の主が押し留める。
すると落ちたはずの硝子が赤々と熟されている融けた硝子の中で起き上がり、むくりむくりと融けた硝子を吸収しながら膨らみ上がっていった。
「へぇ、根本さえ作ってしまえばあとは勝手に成形されていくのか」
「曲がりなりにも生物だからな」
「へっ、王都のボンボンはこんなのも見たことがねえのか。いいねえ、割れない奴らは」
羨むというよりは蔑むような声色で吐き捨てて、慈善院の主はまた酒を呷り出した。
その間にも融けた硝子は順調にまとまっていき、やがて赤々と熟したひとつの人体が出来上がる。この後は一日かけてゆっくり冷ましていく必要があるとのことで、隣接している冷却ブースに移動するよう慈善院の主がおざなりに指示する。
未だ塾しているものの、無事人型に成形された硝子人間──〝わたくし〟がわたくしたちを見やる。
幼い少女のようでした。元々の色はわかりませんが……どうもこれまでに何度もこうやって成形し直したようです。〝わたくし〟でありながら、異物も混ざっているような……そんな気配が、なんとなくするのです。
鏡に映ったわたくしが整形しているような、そんな違和感。
「……たすけてくれてありがと。でも、おかねないから」
「ええ。必要ございませんからどうぞお気になさらず」
「なんか、まえよりもあたまがすっきりしてるきがする」
「ワタシたちの硝子も少し混ぜたからな。〝ワタシ〟の成分が増えて自我がより明確になったんだろうさ」
「……?」
〝わたくし〟は首を傾げて、そのままぺたりぺたりと慎重な足取りで隣室へと消えていった。
「明日になればもっとちゃんと話ができるだろう。さーていいことしたし今日は王都に行っておいしいもの食べまくるぞ」
「え、ええ……ですが彼らは」
慈善院に集ったスラムの方々を見やる。みな、一様に敵意を剥き出しに、ギラギラとわたくしたちの体を狙っている。
「護衛も何もつけてなさそ~な貴族のボンボンにでも見えてるんだろうさ」
「僕らの体を使えばプリズム因子サード以上とやらになれて、王都に入れるから……か」
「ああ。そのためなら自我が曖昧になることなんざどうでもいいんだろうさ──あの〝ワタシ〟のようにな」
「……では、やはり〝わたくし〟は」
「ああ。実の弟を壊して我が物にした」
「……!」
貧民街という場所の熾烈さをわたくしはよくわかっていなかった、と館長さまから言い放たれたそのひとことに頭を殴られた想いで沈黙してしまう。けれど……どれいさまはそれ以上に、信じられないような目で館長さまを凝視しました。
「……〝僕〟が? ……弟を?」
もしかしたら、めぐりさまを思い出しておられるのかもしれません。どれいさまが心の底から愛し、大切にしておられた家族……妹を。
「ああ」
館長さまが強張った顔のどれいさまを見上げて、嗤う。まるで、どれいさまの反応を愉しんでいるかのように。……いえ、愉しんでいるのでしょう。
「……そんなわけあるか。〝僕〟だぞ。どうせ理由があったんだろ」
「おや、大して動揺しなかったな。つまらん」
「あのなあ……」
どれいさまにヘッドロックかまされながら館長さまが語ったところによれば、弟君は〝わたくし〟以上に脆く壊れやすく、毎日のように体のどこかを壊していたそうです。〝わたくし〟はそんな弟を必死に守っておられましたが……その甲斐なく、弟君の体はどんどん減り……そう、奪われていったのです。色んな方に。
それを受けて、〝わたくし〟は考えた。どうすれば弟君を守れるか。
「……なるほどね、それで自分の体に混ぜ込んだってワケか」
「ああ。弟と人格が混ざろうと、弟が完全にいなくなるよりもマシだと思ったんだろうな」
──では〝わたくし〟に感じる、他者が紛れ込んでいるようなあの違和感は……弟君のものでしたのね。
「こういうのは地球系列平行世界なんかでもままある。他人の血液や臓器を移植して、その他人の思考や嗜好がトレースされるって話、聞いたことあるだろ?」
「ああ……あるな。手術する前は嫌いだったピーナッツが手術後は大好きになるとか」
「さて、これを踏まえて──〝自我〟ってのは一体何に宿るんだろうな?」
割れた硝子にも自我は宿るか。
臓器や血液にも、自我は残るのか。
──難しい質問だと、思いました。自我。人格。精神。心。魂。さてそれは一体何処に宿るのか。普通に考えれば脳、なのでしょうけれど。臓器ひとつ、硝子ひとつで変わってしまうのならば、そうとは一概に言えないのかもしれません。
わたくしという自我は、一体何処にあるのでしょう?
【曖昧】




