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俺(私)たちの聖者(ハート・アントワーヌ&岡山武夫)

まだ続くのか…?(困惑)

 

 兄さまが死んだことは私にとって大いなる喪失でした。


 兄さまは私が小さいころからずっと優しくしてくれました。兄さまは勉強もできて、腕っぷしも強くて、私に様々なことを教えてくれる素晴らしい人でした。そんな兄さまが私の心の大部分を占めることになったのは至極当然の事でした。


 本当に愛していました。何ならこの人なら結婚だってしていいとさえ思っていたほどです。


 兄さまがいる日々は、それはもう実に幸せな日々でした。きっといつまでもこの幸せは続くのだろうと幼い私は愚かにも思っていました。


 しかしそんな幸せな時間もあっけなく崩壊します。


 私たちの耳に信じがたい知らせがもたらされました。魔族が魔獣を率いて人々を虐殺して回っているというのです。


 私は耳を疑いました。だって、魔族が人間を襲う事は滅多にないと聞きます。人間を敵に回すと厄介なことになるという事が分かっているんですね。


 そもそも魔族は滅多なことでは生まれることは無く、生まれたとしてもアマック帝国と呼ばれている人類が入っていけない空白地帯に自ずと向かい、そこから出てこないという話ではありませんか。


 ですがそのセオリーが破られたということはつまり、魔王が生まれ、魔族を従えて人類への攻撃を開始したことを意味します。


 魔王が生まれたのならば、それを殺すことができるのは勇者しかいません。さっそく召喚のための準備をしようとしているところに、大量の魔物を引き連れた魔族がこの国に向かって来ているという情報が入ってきました。


 召喚には多大な時間がかかるため、このままでは召喚する前にこの国が無くなってしまいます。何としてでもそれを阻止するため、兄さまに白羽の矢が立ちました。


 命を受けた兄さまは兵を率いて足止めのために出撃していきました。


 兄さまは出撃前に私に絶対に生きて帰ると約束しましたが、結局兄さまは帰ってきませんでした。


 生き残った者の証言によると、兄さまを殺したものは二本角の大きな魔族だったという話です


 当然私は憎しみにかられましたが、だからといって何もできることはありませんでした。


 兄さまの任務は遂行されました。兄さまの犠牲のおかげで勇者の召喚は成功しました。私は召喚された勇者に会いに行くために足を進めながら、どうか代償と対価の釣り合いが取れていますように、と心から祈っていました。


 召喚された勇者は全部で五人。岡山武夫様、不動昭様、藤川胡桃様、飯塚沙良、そしてダメ夫様の計五人が≪勇者の魔法陣≫に立っていました。


 全く初めて見た時にあなたときたら、赤子の様に喚き散らしていましたね。


 まぁそれも仕方のないことかもしれませんね。私たちは事情も知らない皆さまを強制的にこちらへと召喚されたのですから。


 その時の私は兄さまが死んだことでピリピリしていましたから、喚き散らすあなたに憤りを感じていました。兄さまが犠牲になってまで召喚された勇者が文句を言うなんて!


 ですがそれもダメ夫様のステータスを見る前の話です。ダメ夫様のステータスを見たとたん、私の中の憤りは同情に塗り替えられました。


 だってまほーつかいだなんて!今の時代赤子しかならないような職業に勇者として召喚された者がなるなんて!


 何とかダメ夫様を慰めようと声を掛けましたが、自身のステータスを嘆くばかりで、誰の話も聞き入れてくれませんでした。


 ともかく、それが()()()()()()()()()()()()()()


 武夫様たちが召喚されてからの日々は、とても楽しかった。何せ私にとって初めての同年代の友人ができたのですから。


 彼らはこんな私を快く受け入れてくれました。武夫様達とのお話のおかげで兄さまを喪失した私の心は瞬く間に、とは言いませんが、それでも癒されていくような感じがしました。


 ダメ夫様とは結局あの日以降話すことはできませんでした。度々話す機会はありましたが、その時は大体ダメ夫様は訓練が終わった後で、体中の痛みでそれどころではありませんでしたから。


 そうして話す機会が得られないまま、その時が来ました。そう勇者の武器を取りに≪勇者の祠≫へと向かうことになったあの日です。


 その時ようやく私はダメ夫様と話をする機会を得られたのです。ダメ夫様との話は武夫様たちと話すのとはまた違う意味で新鮮でした。


 話す言葉は辛辣で下世話。人によって対応をころころ変えるその姿は実に滑稽で。


 ダメ夫様の話を聞いてて私はびっくりしました。こんなにがさつでいい加減な人がいるなんて!


 新鮮な気分を味わっていると、ふとダメ夫様の姿が兄さまの姿と重なって見えました。


 ダメ夫様はお世辞にも素晴らしい人とはいえるような人ではありません。兄さまと違って頭も並容姿だって並み、性格は言わずもがな。それが文武両道、容姿端麗な兄さまと同じ?


 そんなわけがないと私は頭を振って否定して兄さまの幻影をかき消しました。しかしその後≪勇者の祠≫で何度情けない姿を見ても、どれだけ否定してみてもダメ夫様から兄さまの幻影が消えないのです。


 足止めを失敗して、武夫様にあわやボーンナイトが大剣を振り下ろそうとしたその時、狙いすました火炎がボーンナイトの目に吸い込まれるように直撃しました。


 振り返って炎が飛んできた方向を見ると、ダメ男様が腕を突き出して何事か喚いていました。


 そこでやっと私は理解したのです。私は同年代の友達ももちろん欲しいけど、それ以上に年上の人に甘えたいという欲求があったということに。


 私にとってその最たるものが兄さまであり、そしてダメ夫様でもあったのです。


 ですがそう思ったのもつかの間。ダメ夫様は祠の罠にかかり私の目の前で姿を消しました。私はしばらく理解できず、ダメ夫様が消えていった地面を茫然と見ている事しかできませんでした。


 それからの記憶は曖昧で、気づけば自室に引きこもって耳をふさいでいました。


 やっと兄さまの死から立ち直りかけていた矢先にこれです。せっかく温かさを取り戻しかけていた私の心はあっけなく冷え込んでしまいました。


 ダメ夫様が消える直前に私は絶対にあなたを守ると誓ったのに、兄さまの様に死なせないと言ったのに、この体たらくです。


 兄さまがいなくなって、今度はダメ夫様がいなくなって。


 ようやく新しい友人ができたと思ったのに、やっと兄さま以外に頼れる人ができたというのに、ようやく自分の手で守ることができるはずだったのに、私は結局何もできませんでした。


 ほんの短い時間しか接していなかったのに、私の中で、ダメ夫様の存在はそれほど大きくなっていたのです。


 現実から目を背け、一月が経って武夫様に呼ばれて、このままじゃだめだと言われて、それでもなかなか踏ん切りがつかなくて。


 それでもどうにか皆様の足を引っ張らないように気を張り続けていましたが、それももはや限界が近づいていました。


 武夫様たちは二ヶ月ほどで訓練を切り上げ、早々に旅に出ることを決意しました。当然私もついて行きました。彼らを召喚した責任が私にもありますから。私がついて行くことにお父様は反対しましたが、私が彼らを召喚した責任の話を持ち出すと、お父様は渋々ながら行くことを許してくださいました。


 その時の私は武夫様たちの力があれば何とかなるのではないか、と淡い期待を持っていましたが、現実は無常でした。


 旅立って数日で、耳ざとい魔族が大量の魔物を引き連れて私たちに襲い掛かってきました。どうにか魔物をすべて倒し、頭である魔族も倒すことができていましたが、その魔族が今際にこう言ったのです。


「魔王は魔族の王にして魔物たちの王だ、どれだけ遠くにいようとも、魔物を通じてお前たちの居場所はすぐに分かる、最早お前たちに安らぎの時間などないぞ」と。


 その言葉の意味を私たちは身を以て知りました。その日以降、私たちは朝から晩まで魔物の襲撃にあうことになりました。


 休む暇など当然ありません。途中、何とか休もうと町へ立ち寄ったのですが、結果は大量の魔物が町を包囲し、在中していた冒険者の力を借りなければならないほどの大乱戦という燦燦たる有り様でした。


 最早町で休むといったことも儘ならなくなり、私たちの心は擦り切れるばかり。他の方たちは何とか平静を保てていましたが、私はそうはいきませんでした。


 強引な進軍、毎日現れる魔物との戦いで、元から擦り切れていた私の神経はとっくに限界を迎えていたのです。


 もう諦めてしまおう、かき消しても何度も現れるその言葉に、ついに屈してしまいそうになった時、奇跡は突然私たちの前に現れました。


 魔物との戦いが長引き、食事すらとる気力すらなくなってしまった私たちはその場に結界を張って休むことにしました。私と沙良様が結界を張り、くたくたになった体を横たえて微睡んでいると、近くで轟音とともに結界が破られた感覚が私に伝わりました。


 私たちは結界を破った主を確認するために跳ね起きて武器を構えました。粉塵がもうもうと巻き上がって良く見えませんでしたが、次第に粉塵も晴れて結界を破った者の姿が見えるようになると、私は目を見張りました。


 ダメ夫様が気の抜けるようなことを言いながら、こっちに向かって来ているではありませんか。


 初めは疲れのための幻覚かと思いましたが、どれだけ目を擦っても一向に消える気配がありません。そして近くまで来た彼の言葉を聞いたとたん、私の中に電流が走りました。


 天啓とも言っていいでしょう。私は確信したのです。


 そうです!きっとダメ夫様は私の事が心配になった兄さまが送ってくださった聖者様なのです。そうに違いありません。


 だって死んだと思ったのに、また私たちの前に姿を現すなんて、そんなの御伽噺の聖者様の奇跡に他なりません。


 そうです、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 その考えは私の中に、何の引っ掛かりも無く落ちていきました。思いは一瞬で体を駆け巡り、脳髄を犯し、それまでの私の認識を塗り替えました。


 ああ、兄さま、今度こそ絶対に守って見せます。


 再会に逸る心を抑えながら、私は誰にも聞かれないように心の中でそう誓ったのでした。





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 誓おう。


 もう二度とお前を危険に触れさせないことを。


 決してお前から手を離さないことを。


 どれほど傷つき、血を流そうとも、俺の力の全てを賭けて、お前を傷つけようとする輩に死の鉄槌を与えんことを。


 だから……。


 すっとぼけた顔で首をかしげるダメ夫に悟られないようにしながら、絶対の誓いを立てる。


 もう目を離さない。俺がお前を守るんだ。


 誓いを立ててから改めてダメ夫の顔を見る。そうするとその横顔は記憶のものよりもずっときれいに見えて、たまらなく愛おしく思えた。


 心臓が高鳴る。この思いとともに俺がどれだけお前がいない間に頑張ったか話したくてたまらなかった。


 あぁダメ夫、俺はお前を守るから、だからもう離れないでくれ……。


 高鳴る鼓動を悟られないように、俺は誰よりも先にダメ夫に駆け寄っていった。







何だこいt(ry


ちなみにですが、彼らの属性を書き出すとこんな感じです(いらぬ情報)


岡山兄貴…束縛系


不動姉貴…依存系


藤川姉貴…攻撃系DV彼女面メンヘラ


飯塚姉貴…依存系


ハート姉貴…妄想系



何かこう書きだしてみると一人だけ毛色違くなーい?(疑問)



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