大切な家族
ほのぼのです。
舞姫とは鳳凰の舞を踊る令嬢達の事です。
説明が遅くなりすみません。
今回も楽しんでくれると嬉しいです。
時は少し遡って……
それは春休みに入って直ぐのこと……唐突なセリーナのお願いから始まった。
「父様!お願いがあるの!」
そう満面の笑みを浮かべて言うセリーナにアレクシスは微笑んだ。
「何だい?愛しいセリィ……」
「鳳凰祭の衣装についてなのだけど……」
「大丈夫だよ。セリィに似合う特別美しい衣装を用意するから。」
その言葉にセリーナは首を横に振ると、意を決して話した。
「私、こんな衣装が良いの!」
そう言ってセリーナはアレクシスにある紙を渡した。
アレクシスは微笑んでその紙を受け取ったが、それに目を通した瞬間驚愕した。
「セリィ……これは一体……」
セリーナが手渡した紙には衣装のデザイン画が描かれていた。
そのデザインはお腹や背中が大胆に露出された物で、特に足は太腿の上の方から露出される……まあ端的に言えばとにかく露出が激しい物だった。
因みに鳳凰祭で令嬢達……舞姫達が着る衣装は全然露出しない。
それ故にセリーナの提案した衣装は、良い意味でも悪い意味でも規格外であった。
何故こんな衣装を提案したのか?
……それは前世、アナスタシアの影響であった。
『兄様!鳳凰祭の舞姫達の衣装はもっと露出していた方が綺麗で妖艶だと思うの!』
如何やらアナスタシアは鳳凰祭の舞姫にかなりの憧れを持っていたようで、よくシオンにその願望を語っていた。
それを聞いていたシオンはアナスタシアの願いが叶えば良いと思っていたのだが、前世はその機会に恵まれなかった。
だが今世、都合が良い事にセリーナが舞姫に選ばれた……
ならばその願い……私自身が叶えよう!
という事でこの規格外な衣装をアレクシスに提案……お願いしていた。
だがアレクシスはそのセリーナのお願いに渋い顔をした。
「セリィ……これはちょっと……」
確かにこの衣装に対する貴族達の反応は悪いだろう。
何故なら足を露出するのはこの国で、はしたないと言われる行為に当たるからだ。
だから……この衣装ははっきり言って痴女と罵られても仕方がない。
その為アレクシスはセリーナを心配して渋っているのだが、此方も譲れない想いがある。
セリーナは上目遣いで瞳を潤ませるとアレクシスを見つめた。
「父様……この衣装が私を一番美しく見せてくれると思うの!私のお願い聞いてくれないの?」
その甘い声と表情でアレクシスは蕩けそうになったが寸前で耐えた。
「セリィ……これは了承出来ないよ……」
その言葉にセリーナは内心舌打ちしつつ、涙を零した。
……所謂、嘘泣きである。
「父様は私の事が嫌いなのね……」
その必殺の表情と言葉でアレクシスは折れた。
……セリーナの勝利である。
セリーナは内心ほくそ笑みながらも、表面上は顔を輝かせてアレクシスに抱きついた。
「父様!ありがとう!」
ちょろい父親だと思うがそんな所も含めてアレクシスの事が大好きだ。
そんなセリーナをアレクシスも強く抱きしめ返した。
「美しいセリィに男共が穢らわしい視線を送ったり……分からず屋の貴族達によってセリィが悪く噂されないか心配だよ……セリィは繊細で優しい子だから……」
「……大丈夫よ……だって私には父様がいるもの。」
前世の家族同様に今世の家族も大切だ。
セリーナはアレクシスの体温を感じながら柔らかく微笑んだ。
アレクシス……セリーナに甘すぎる……
次回も読んでくれると嬉しいです。




