愛の在り処
今回も楽しんでくれると嬉しいです。
セリーナが正式に舞姫の一人に選ばれた事を誰よりも喜んだのはユティアだった。
「やっぱりね!セリーナなら必ず選ばれると思っていたのよ!」
そう鼻息を荒くして力説するユティアだったが……
「……ユティア、貴方も選ばれたじゃない。」
そうユティアも舞姫に選ばれていたのだ。
なのにセリーナの事ばかり話すユティア。
そんな彼女に軽く呆れるセリーナなのだが、そんな事はお構いなしにユティアは話し続ける。
「セリーナにはどんな衣装が似合うかしら……鮮やかな赤いも良いし……純白も捨てがたい……此処は敢えて黒でも……」
セリーナはそんなユティアは放って置く事にした。
休み時間になってセリーナは学園の庭にいた。
今は冬だから冷たい風が吹いている。
セリーナが震えて自分の体を抱きしめた……その時
「セリィ……待たせてしまいましたか。すみません。」
突然のその言葉と同時にセリーナは後ろから抱きしめれた。
突然の事に驚いたが、直ぐに声で誰かわかった。
「ユーク……いいえ、私も今来た所よ。」
ユークリッドはセリーナから離れると頬にキスをした。
セリーナはその慣れない仕草に頬を染めながらも微笑んだ。
「貴女に愛称で読んで貰えるなんて嬉しいです。」
セリーナとユークリッドは互いに愛称で呼ぶようになり、セリーナは前よりも気さくにユークリッドに話しかけるようになった。
頬の火照りが冷めたセリーナは表情を引き締めるとユークリッドを見つめた。
「盗聴器を設置する事は出来た?」
「はい、大丈夫です……セリィ、これを。」
ユークリッドはセリーナに小さな紫水晶を手渡した。
「この水晶を介して母の部屋を盗聴する事が出来ます。」
それを聞いてセリーナは心から微笑んだ。
「ありがとう、ユーク。」
その言葉にユークリッドも微笑んだ。
「貴女の為なら何でもします……ですがセリーナ、危ないことはしないで下さい……」
心配そうにそう言うユークリッドの碧の瞳をセリーナの紅の瞳が射抜いた。
「保証は出来ないわ…時には命を賭してもやらねばならない事があるもの……それが私にとっては復讐なの……」
その言葉にユークリッドは悲しげに微笑んだ。
「貴女の意志は強そうです……わかりました。貴女が無事復讐を遂げられる事を祈っています。」
「……私は決して殺されたりしません。復讐を終えるまでは死ぬ訳にはいかないのです……」
セリーナは花咲くように笑うとユークリッドの頬にキスをし、その体を強く抱きしめた。
「セリーナ……愛しています。」
セリーナはその言葉に目を見開いた。
彼は本当に深く私を愛してくれている……ならば私は?
私は彼を深く愛しているのだろうか?
……分からない。
私は一体誰を愛しているのだろう。
そんな疑問を抱えながらセリーナは何も言わずにユークリッドを抱きしめた。
冷たい冬が過ぎ春が近づく。
鳳凰祭まで後少し。
次回も読んでくれると嬉しいです。




