謂れなき罪
今回も楽しんでくれると嬉しいです。
夜、オーランドがひっそりと出掛けていく姿を偶然見かけたレヴィンは、不審に思いその後をつけた……のだが。
「何処に行ったんだろう……」
レヴィンは直ぐにオーランドを見失ってしまった。
恐らくレヴィンの尾行に気付いたオーランドが撒いたのだろう。
そんな感じで、レヴィンは独り途方に暮れていた。
それから二時間近くレヴィンはオーランドを探し回ったのだが、結局見つからなかった。
その結果に諦めて、帰ろうとした時……直ぐ側の公園から出てくる黒いローブ着た人を見た。
顔は夜の闇のせいで分からなかったが、自分より身長が小さい……恐らくまだ子供だろう。
どうやらその子供はかなり焦っていたようで、レヴィンには気付かずに何処かへ走り去ってしまった。
こんな夜中にどうして子供が……と不審に思いレヴィンは公園の中に入っていった。
そうして自分の目の前に広がる光景に絶句した。
「父さん……」
そこには胸を刺されて倒れているレヴィンの父親……オーランドが。
「父さん!」
レヴィンは我に返るとオーランドに駆け寄った。
触れてみるとオーランドの体は氷のように冷たい。
それに息も脈も感じられない……
死、その一文字が頭によぎり、レヴィンは静かに涙を零した。
「……父さん……起きてよ……何してるの……早く……起きてよ」
レヴィンは泣きながらオーランドの冷たい体を揺さぶった。
言いたい事がまだ沢山あるのに。
『最低だ』そう罵ってしまった事を、まだ謝っていないのに。
家族として……父親として、本当に尊敬している、そう伝えたかったのに……
……どうして?
そう思いながら必死に揺さぶっても、オーランドは起きない。
レヴィンは顔を歪めると叫んだ。
「父さん!父さん!」
どれだけそう叫んでも……どうやっても……オーランドは起きてくれない。
そうして気が狂いそうになった時、レヴィンはオーランドの胸に刺さっている短剣に目を留めるとその柄を思い切り掴んだ。
「こんなものが……こんなものが刺さっているから!父さんは!」
そう叫ぶとレヴィンは力一杯短剣を引き抜いた……その時だった。
「何をしているんだ!」
突然の鋭い声にレヴィンは血に濡れた短剣を持ったまま振り返った。
そこには街の治安維持に当たるであろう二人の騎士がいた。
その二人の騎士はレヴィンの手にある短剣を素早く抜き取ると、強引にレヴィンを取り押さえた。
レヴィンは突然の事に混乱しながらも必死に叫んだ。
「何をする!」
「そこの男は貴様が殺したのか?」
その言葉にレヴィンは目を見開いた後、直ぐに騎士を睨みつけた。
「そんな訳ない!この人は僕の父親だ!」
「では何故、この男の胸から短剣を引き抜いていた!」
レヴィンは言葉に詰まった。
この気持ちを……狂ってしまいそうになる程の果てない悲しみをなんて言葉で表現すれば良いのか分からなかった。
この苦しみは痛みは、他人に説明出来るものではない。
そんなレヴィンの様子が騎士達の目には罪の言い逃れに映ったらしく、騎士達はレヴィンを無理やり立たせると縄で縛り上げた。
「やめろ!僕は何もしていない!その人は父親だぞ!何故、父を殺すんだ!」
「詳しい話は本部で聴こう。」
そんな悲痛な叫びも虚しく、レヴィンは騎士団本部へと連行されていった。
その後暫くして、オーランド・ルト・メイヴィスが息子のレヴィン・ルト・メイヴィスに殺されたと王国全土に噂が流れた。
勿論、セリーナの耳にもその噂は入った。
「シャル!それは本当なの!本当にレヴィンが父親殺しで捕まったのか!」
その言葉にシャルは静かに頷いた。
それを見たセリーナは目の前が暗くなるのを感じ、思わずふらついた。
「セリーナ様!」
シャルは急いでセリーナを支えた。
セリーナはシャルにしがみ付くと震えた。
……とんでもない恐怖と自己嫌悪で。
「どうしよう、シャル……私のせいで……私のせいで!レヴィンが……レヴィンが!」
この国で親殺しは死罪。
つまりこのままではレヴィンは処刑される。
その場面を想像して、セリーナは意識を失った。
話が……重い……
次回も読んでくれると嬉しいです。




