決意
今回も楽しんでくれると嬉しいです。
オーランドはフェニカが握りしめていた犯人の耳飾りを持って街を歩いていた……この耳飾りの持ち主を探すために……
フェニカの残酷な死が頭から離れず、オーランドは血が出るほど強く唇を噛み締めた。
首を深く切られ死んでいた……妹フェニカ
確かにフェニカは善人では無かった、罪を犯したこともある……
けれど、それでもオーランドにとっては大切な妹だった。
「フェニカ……」
本当に欲しいものを、最後の最後まで得られなかった哀れな妹。
……幸せになって欲しかった。
そう思いながら歩いていた時だった。
「うぉっ……」
「きゃっ……」
突然の体への衝撃にオーランドは目を見開いた。
どうやらオーランドが前をしっかり見ていなかった為、少女にぶつかってしまったようだ。
その拍子に手に持っていた耳飾りが地面に落ちたのだが、オーランドはそれに気づかない。
ぶつかってしまった拍子に尻もちをついてしまった少女に対して申し訳なく思いながら、オーランドはその少女に手を差し伸べた。
「大丈夫か?」
そんなオーランドを少女はキツく睨むと、差し出された手を無視して自分で立ち上がった。
そして、激しい口調で責め立てた。
「何なのよ、貴方!痛いじゃないの!ちゃんと前を向いて歩きなさいよ!まさか、そんなことも出来ないの?」
オーランドはその少女の見た目と口調のギャップに驚き、目を見開いた。
少女はまだ言い足りないのか、鋭く睨みつけながらオーランドに詰め寄った、その時だった。
「ん?何か踏んだかしら?」
靴の裏に感じる違和感に少女は屈むと、その違和感の正体……耳飾りを拾って目を見開いた。
「これは、セリーナの耳飾り!」
その言葉に反応したのはオーランドだった。
オーランドは勢いよく少女の肩を掴むと、詰め寄った。
「この耳飾りの持ち主を知っているのか!」
その余りの迫力に、少女は若干引きながら答えた。
「あ、貴方こそ何でこの耳飾りを持っているのよ!これはセリーナのお父様が、セリーナの誕生日に送った特注品の耳飾りよ!この世界に一つしかない大切なセリーナの物なのだから、私が……このセリーナ大好きユティア様が知らない訳ないでしょ!」
そう言うと少女……ユティアは自慢げに胸を張った。
オーランドはそんなユティアから急いで耳飾りを取り返すと走り出した……自分の家に向かって。
「ちょっ、ちょっと!それはセリーナのものよ!返しなさい!泥棒ー!」
後ろからユティアの叫び声が聞こえて来るが、オーランドは無視した。
セリーナ、その少女をオーランドは思い出していた。
デビュタントの時に出会った、アナスタシアと瓜二つの顔を持つ少女。
「あの少女がフェニカを殺した!」
アナスタシアと同じ顔を持つ少女が、フェニカを殺した……これは偶然だろうか?
否、そんな偶然あるわけがない。
「セリーナとは一体何者だ……」
そう呟きながら、オーランドは街を駆けた。
「セリーナ様、お手紙が来ておりますよ。」
ジェーンのその言葉にセリーナは首を傾げた。
シャルからの手紙は今は来ないし、手紙を交わすような友達もいない。
一体誰からだろう……そう思って手紙を受け取り、差出人の名を見た瞬間、セリーナは目を剥いた。
「オーランド……」
差出人はオーランド・ルト・メイヴィス
セリーナは急いで封を開けて、手紙の内容を読んだ。
そこには、フェニカを殺した事をバラされたくなければ、今夜十時に一人でクローベル公園に来いと書いてあった。
もし誰かに言えばお前の人生は終わりだ……とも
セリーナは深呼吸をすると、目を閉じて考えた。
この誘いに応じるのはかなり危険だ……そんな事、理解している……でも、それでも……
「私は復讐を遂げなければならない。」
どれ程の痛みを伴おうとも、苦しみを味わおうとも……アナスタシアの無念を晴らさなければ。
セリーナはそう決意をすると、独り闘う準備を始めた。
次回も読んでくれると嬉しいです。




