表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亡き妹のための綺想曲  作者: 雪斗
25/45

文化祭 資格

何故男女逆転メイド喫茶なの?と疑問に思った方御免なさい。

ただの作者の好みです。やりたかっただけです。

今回も楽しんでくれると嬉しいです。

ユークリッドが私にキスをしている。


セリーナはこの状況を理解する事が出来ず、ユークリッドにされるがままになっていた。

キスされている衝撃によって、涙なんてものは止まってしまう。

そんな硬直するセリーナを他所に、どんどん深くなっていくキス。


その濃厚なキスによってセリーナの脳は甘く痺れて、手足に力が入らなくなる。

抵抗しようにもその気持ち良すぎるキスに思わず感じてしまう。


どれ程濃厚なキスを交わしていただろう。

やっとユークリッドがセリーナから唇を離した。

互いの唇の間を艶かしい銀の糸が繋ぐ。


唇が離れた後もその余韻にセリーナはぼうっとしていたが、我に返ると勢いよくユークリッドを睨んだ。


「何をする!」


前世も含めて初めてのキス。

初めてを奪われたことに対する衝撃は強く、セリーナはかなり動揺していた。


そんなセリーナをユークリッドは愉しげに見ると再び顔を近づけてきた。

再び何かするつもりかとセリーナは身構えたのだが、思惑は外れて、ユークリッドは耳元に唇を近づけてきた。

そして色香たっぷりに妖しく微笑むと囁いた。


「私のキスで感じた癖に……」


その小さいが透き通った声に、セリーナは頬を染めると力いっぱいユークリッドを突き飛ばし、その場から逃げた。

ユークリッドはそんなセリーナの後ろ姿を、いつまでも愛おしげに見つめていた。


















誰もいない廊下を走りながら、セリーナは一人呟いていた。


「あり得ない……あり得ない!」


ヴィンセントの息子にキスをされるなんて……そのキスで感じてしまうなんて……

しかも、そのキスが嫌では無いなんて……


私はレヴィンの事が……好きなのでは無いのか?

ユークリッドなんて苦手だった筈だ。

でも……


『貴女に幸せになって欲しいのです。』


その言葉は……嬉しかった。

誰かに深く想われる、そんな幸せをあの時初めて知った気がしたのだ。

だが……


セリーナは表情を引き締めると昏く嗤った。

私には人を愛する資格も、愛される資格も無いのだ。


復讐の為とはいえ穢れきったこの心を知ったら、ユークリッドだって私からきっと離れて行くだろう。

蔑んだ目で見るに決まっている。

だから……


『貴女の苦しみを教えて下さい。』


そんな言葉は意味が無いのだ。


その後セリーナはキス事件のことを強引に頭から消すと文化祭を一人で楽しみ、一日目を終えたのだった。






















文化祭二日目。

この日は各学年代表のSクラスによる劇があり、それを王ヴィンセントと側室メレイアが見に来るのだ。


セリーナはソルティアーナの衣装を着るとクラスの全員を見つめた。

因みに物語の中の王子はロベルト、悪役の貴族の令嬢はユティアが演じる。


セリーナは声を張り上げると、一人一人の目を見つめた。


「他のクラスになんて負けない!最優秀賞を取るわよ!」

「おー!」


力強いみんなの雄叫びにセリーナは満足げに頷いた。

精一杯やって貰わなくては、ヴィンセントが苦しまないだろう?

それに……とセリーナは昏く嗤った。


この劇が終わる頃にはフェニカはもう終わりだ。

側室殺害未遂の罪で、平民に堕ちる。

そうしたら、やっとこの手で殺すことが出来るのだ。


嬉しくて嬉しくてたまらない。

セリーナは誰にも見られないように昏く昏く微笑んだ。


運命の劇、炎翼の哀歌がついに始まる。




次回も読んでくれると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ