魔法学園 友人
今回も楽しんでくれると嬉しいです。
人前で泣いてしまうなんて。
セリーナは我に返ると急いでレヴィンから離れた。
セリーナは朱に染まった頬を見られない様に顔を伏せると、小さな声で呟いた。
「あ、ありがとう。」
「……別に良いよ。」
レヴィンはセリーナの頬に手を添えると顔を持ち上げて、その紅の瞳を見つめた。
夜でも、その近い距離に顔がよく見える。
レヴィンの碧の瞳がとても美しい。
「……もう、大丈夫そう……じゃあ、また何かあったら胸貸してやるよ……セリーナ。」
そう言って去っていくレヴィンにセリーナはより頬を染めた。
……初めて、名前を呼んでくれた。
胸が酷く高鳴る。
前世でも、味わった事のないこの感情は何なんだろう。
また会いたい、そんな想いが心を占める。
此処にいるという事は、レヴィンも学園の生徒なのだろう。
ならば、また会える機会は来る。
その場面を想像してセリーナは心からの笑みを浮かべた。
会場に戻ってセリーナは食事を楽しんでいた。
ダンスを楽しむ人、会話を楽しむ人それぞれだったがセリーナには知り合いなんていないし、丁度お腹が空いていた。
それ故に、優雅に食事していたのだが
「あの、セリーナ……」
突然の高く綺麗な声にセリーナは食事をやめて振り返った。
そこには、魔獣に襲われていた所を助けたユティアがいた。
セリーナはユティアに微笑んだ。
正直言って、知り合いが殆どいないセリーナにとってこの場は苦痛だったのだ。
話し相手が出来たとセリーナは喜んだ。
「何故、私の名前を知っているの?」
「貴女はとても有名よ。王太子の婚約者で天才、その美貌はこの国一番と……噂通りね、本当に美しいわ。それに魔獣を屠っていく姿も格好良かった……」
ユティアは蕩けた目でセリーナを褒めちぎった。
セリーナはそれを聞いて頬を染めたが、否定はしない。
その噂がセリーナを、少しでもアナスタシアに近づけてくれるからだ。
セリーナは笑顔を浮かべるとユティアを見つめた。
「ありがとう。」
それにユティアは頬を染めると、意を決した様に口を開いた。
「あの、私この学園に知り合いがいないの……だから、友達になってくれない?」
その言葉にセリーナは思わず目を見開いた。
親友に裏切られた前世を持つセリーナにとって、友達というのは厭わしく信用するに値しない存在だが、無下にする訳にもいかない。
「……勿論よ、ユティア……よろしくね。」
その言葉にユティアは花咲くような笑みを浮かべるとセリーナの手を握った。
どうやらユティアは公爵家の人間らしい。
勿論、復讐相手のフェニカとオーランドとは別の公爵家の人間だ。
その事実にセリーナは安堵した。
オーランドの子供なんかと仲良く出来る訳がない。
「ねぇ、そう言えばセリーナは魔法学園の行事の中で何が楽しみ?」
突然の話題だったが、セリーナは即答した。
笑顔で。
「文化祭よ。」
文化祭その響きにセリーナは昏く嗤う。
フェニカを完全に陥れる為に、文化祭を利用するのだ。
そんな事は露知らず、ユティアは楽しげに笑う。
「私も、楽しみよ!この学園の文化祭には、王様と王太子様の母君である側室のメレイア様もいらっしゃるのよね!」
「……ええ、私たちも頑張らなくちゃね、文化祭。」
もうすぐ……もうすぐだよ、アナスタシア
もうすぐ、フェニカがこの手に堕ちてくる。
それを想像してフェニカは誰にも見られない様に昏く昏く嗤った。
ユティアはセリーナを恨んでいたのでは?
次回も楽しんでくれると嬉しいです。




