魔法学園 心の在り処
今回も楽しんでくれると嬉しいです。
前世シオンが黒髪だった為か、黒色に何故か心惹かれる。
だから、ドレスも懐かしい黒を選んだ。
そんな事を考えていると、セリーナはふとあの黒髪の青年の事について思い出し、頬を緩めた。
「レヴィン……」
何故か私の心から離れていかない美しい青年。
私と正反対の生き方が、キラキラと眩しく輝いて見えて堪らない。
そんな彼だからか何故か焦がれてしまう。
そうして、レヴィンに想いを馳せていたセリーナだったが、此方に近づいて来る人の気配を感じて、急いで頭を切り替えた。
「セリーナ、今日も美しいですね。」
そんなセリーナの元にやってきたのは、王太子……ユークリッドだった。
新入生歓迎パーティーには、上級生も出るのだ。
つまり、当然ながら先輩にあたるユークリッド殿下もいる。
その事を思い出して、セリーナは内心苦虫を噛み潰したような顔をしていたが、何とか作り笑いを浮かべた。
完璧な作り笑顔である。
「殿下、お久しぶりで御座います。」
ユークリッドはそんなセリーナを、全てを見透かす様な瞳でじっと見つめていたが、直ぐに優しく微笑んだ。
そして、驚くべき事を口にする。
「相変わらず、作り笑いが上手ですね。」
その言葉にセリーナは目を見開いた。
ヴィンセントと同じように、ユークリッドもまたセリーナの作り笑いを見破った。
そんなセリーナの心情を知ってか、ユークリッドは微笑みながら語る。
「最初に貴女を見たときから、私は貴女に心奪われていました。何処か陰のある貴女の表情が私を魅せて離さない……そんな貴女の心を占めるものは一体何なのでしょう……私はそれが知りたい……」
そう言って、セリーナを熱っぽく見つめるユークリッドが恐ろしくて堪らない。
貴方は気付いたというの?
この煮えたぎる様な憎悪に……果てない悲しみに……
「……すみませんが体調が悪いので、外で涼んで参ります……殿下は引き続きこのパーティーを楽しんでいて下さい。」
そう言ってセリーナは急いでユークリッドから離れると庭に向かった。
そんなセリーナをユークリッドは何処までも愛おしそうに見つめていた。
セリーナは胸元を握り締めながら歩いた。
心が苦しくて堪らない。
どうして、どうして、どうして
私の心まで知ろうとするの……憎悪に犯された醜いこの心まで……
セリーナは庭に出ると、木に身を寄せた。
そして、その美しい目から涙を零した。
この庭は王宮の庭と違って明るくない、だから大丈夫、誰にも気づかれない。
そう思うと涙は溢れて止まってくれない。
「っ……うっ……」
どれほどのそうして泣いていた事だろう。
ふと、足音が聞こえセリーナは顔を上げ、目を見開いた。
そこには、レヴィンが居たのだ。
「あんた、前会った変な人じゃん……大丈夫か?」
そう言ってより近づこうとするレヴィンにセリーナは恐怖した。
「近付かないで!」
セリーナは鋭くそう叫んだ。
泣いていたのを見られた恥ずかしさからでは無く、レヴィンにはこの歪んだ心を知られたくなかった。
彼に嫌われたくは無かった。
レヴィンはそんなセリーナの静止も聞かずに、触れられる距離まで近づくと、優しい手つきで頭を撫でた。
「大丈夫……何か苦しくて悲しい事があったのなら、もっと泣いて良い……強がるな、僕がそばにいるから……」
その優しい声にセリーナは再び涙を流した。
レヴィンの胸元に自分の顔を押し付けると泣きじゃくった。
今だけは、誰かに甘えたかった。
そう思い、セリーナはレヴィンの胸でいつまでも泣き続けた。
次回も読んでくれると嬉しいです。




