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雨 ときどきロンギヌズ

作者: 鈴凜

「今日は、雨ときどきロンギヌスでしょう。傘を必ず持参してください」

 訳のわからぬ予報はこれで一週間になる。

 ―――ロンギヌスの槍、それはキリストを貫いたとされる槍―――。

 突然空から無数の槍が降リ注いだのは、ジメジメとした雨の日だった。 

 その槍に当たった生き物はまるで浄化されるように粒子になり槍と一緒に消えていった。これまで十万人にもの人間が消滅している。

 幸い、家などの無機物に当たっても破壊されずに、槍だけ消えていく。

「いつまで続くのだろうか」

 そう零さずにはいられない。誰か特定の人物が消えるまで振り続けるのか。この地球から人類が消滅するまで降り続けるのか。

 ただこの槍に当たって死ぬのはごめんだ。


 一年後。

「今日も、雨ときどきロンギヌスでしょう」

 お天気お姉さんもやつれ気味だ。この一年予報は変わらなかった。もはや気象予報士がいらない時代だ。

 もう当たろうかなと、思いかけていたそのとき、曇天から一筋の光が差し込み、声が響いた。

『この槍は、すべてを浄化する。浄化された後、生物は楽園へと誘われるだろう。先着あと三十名までだ』

 次の瞬間、家から一斉に人々が飛び出した。

 我先にと、槍に当たろうとしている。バラエティー番組をみているようだ。

 しかしなかなか当たらない。

 いままで避けてきたものに当たるのがこんなに難しいとは。

 人々が、槍を掴もうと四苦八苦していると、今度は曇天から雷が落ちてきた。

『いま槍に当たろうとしたやつは、地獄に落ちろ』


僕の場合、半年ぐらいで槍に当たる。

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