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もうお兄ちゃんキャラは嫌いです。

 

 目を開く。寝覚めはいい方なのですぐにベットをでる。昨日は結局、自己紹介が終わるとすぐに帰還することとなった。0時に集められると言うが、どうなるのかはまだわからない。訳の分からない状況、今がそれだ。

 まぁ、今日は普通に学校だ。いつも通りではない前日はすぎいつも通りの今日である。

 僕は用意された朝ご飯を食べ、行ってきますを言い、登校をする。

 金木犀のにおいが鼻腔をくすぐると、夏は終わり秋が来たんだなと思わされる。

 そんな折り、公園を過ぎ去ろうとした時だ。微かにだが少女の悲鳴なものが聞こえた。公園の茂みからだろうか。何かの聞き間違いかとも思ったが、少々気になったので草むらの奥を覗く。そこは人目につかないような所だった。まるで、人を誘い込むにはうってつけのような場所。そう、本当にうってつけなのだ。

 現に今、黒帽子にサングラス、そしてマスクをつけた不審者が、小学生ぐらいの女子の口を塞ぎ、その小さな体に覆いかぶさっていた。ハァハァと興奮したような息づかいをする男に恐怖する少女は声も出せず泣いていた。これはもう、どう見たって強姦しようとしている。そう、まさしくこういうのを強姦というのだ。僕のあの状況を思い出しながらも、助けなくてはと音も立てずに草むらからでて、男を蹴り飛ばした。

 男は何が起こったのか分からない様子で蹴りの痛さに呻くが、それに同情など毛ほども生じない。僕はその男をとりあえずボコボコにして気絶させた。

 後ろを振り返ると、しゃくりあげながら泣く少女が腰を抜かしたのか、未だにそこにいた。

 が、少女はすぐにこの場を逃げようと脱兎のごとく草むらから飛び出した。僕は、すぐ近くにランドセルが転がっているのに気づき、すぐに少女に返さなくてはと、ランドセルを手に取り追いかけた。先に逃げ出したと言っても年の差があるのですぐに追いつきそうだ。

 少女が角を曲がった。僕もそこの方へと向かう。と、少女はそこの角にいた男に、お兄ちゃーーん!! といい抱きついていた。ああ、ちょうどよかった。すぐにこのランドセルを返せて、安心だとほっとするが、しかしそれはただの悪夢の始まりだったのだ。


「おい、お前。うちの妹に何してくれてんの?」


 それそれは底冷えした声だった。そこでしまったと思う。今の僕の状況を客観的にみると泣く少女を追いかけ回すただの変態じゃん。ここはどうにか弁解しないと。今回の状況は感謝されど責められるいわれはないのだ。どうにかしないと。まずは妹さんにこの状況の説明をと思ったが、あまりの恐怖だったのか、その喉を乾さんばかりと泣いていてそれどころでは無さそう。というか、その姿が現状のヤバさを表している。だからこそ兄はこんなにも警戒しているのだろう。


「ちょ、ちょっとこっちの説明を聞いてくれるかな?」


 引きつった笑顔で、僕は言った。と、だんだん野次馬が増えてきた。登校中の高校生や、ゴミ出しをしていたお母さんがたが遠目でこちらを見ている。てか、今通った女子高校生は動画を撮っている様子だ。マジヤバくね? とか言ってる。マジでやべーんだよ。


「今何を聞いたってなんも信用できねぇけどな」


 まるで取り合ってくれない彼にもう白旗をあげたい。と、不意に肩を叩かれたので、僕はそちらを振り返ると、怖い顔のポリスマンが手錠を持って立っていた。


「お巡りさん。そいつです。小さい女の子追いかけてました。」


 と、ここで後方にいる女子高校生Bがそんなことをのたうちまわる。

 僕はなんとか納得してもらおうと何度も説明をしたがまるで信じてくれなく、結局は署に向かうこととなってしまった。

 結局、最後は信じてもらえない。何度も味わってきたのでさらさら何も感じなかったが、親御さんに連絡すると言われた時は本当にまいった。ただでさえ、迷惑をかけているのに、これ以上の迷惑など考えるだけで手が震えた。だから僕は親御さんの連絡先どこ? と聞かれても、ただ首を振ることしかできなかった。そんな僕に痺れを切らしたのか、警察の人は僕の学校に電話した。僕の学生証を確認したのだという。すぐに担任の先生が来て、ことのあらましを僕がいる隣で警察の人が説明をしていた。


「本当にやったのか?」


 震えている、その瞳の奥にはまるで迷惑をかけるなよと言わんばかりの目力だった。


「やって、ないです」


 そう、僕は先生の目を見ずに言う。


「やってないってね、君。少女を追いかけているって現に見た人もいるんだからね?」


「っ! だからそれは何度も言ってるじゃないですか!? 彼女が襲われてて、それを僕が止めて、ランドセルが落ちてたから返そうと追っていたってっ...!」


「はぁ〜」


 まるで、こちらを信用してない表情と態度だった。


「君が言うようにね、その公園を調べてみたけど、気絶させたって男もいないし、もう嘘だってバレバレだから。最近の若者は本当に分かんなくて怖いね〜。あとでどうせ少女の証言も貰って、君は言い訳できなくなるって」


 少女は今、先の事件のショックで家から出てないらしい。泣きすぎと恐怖がおり混ざり、疲れて寝ていると言う。少女の親は彼女が起きてくるまでは安静にしたいと言って、取り調べを拒否しているようだ。

 

「はぁ、お前はどうしてくれるんだっ!」


 担任の先生は怒るようにそう言う。実際に逆上している。


「もう、私とお前だけの問題じゃない。親御さんに連絡するからな。」


 先生はそういうと、携帯を取り出した。


「っ! 待ってください! 親にだけは言わないでください! お願いします!」


 いま、自分はどれほど酷い顔をしているだろうか。自分の中では訳も分からない感情ががんじがらめなのだ。きっととても酷い顔をしている。

 しかし、先生は僕の言葉を聞いては貰えなかった。

 電話をしていた。通話が始まったのか何か話している。その光景があたかも遠くで行われているような感覚にすらなる。

 

「電話したからな。すぐにこちらにくるそうだ」


 すぐに現実に引き戻され、そういう。あぁ、もう本当に最悪だ。こんなことだけはなって欲しくなかった。僕はどんな顔をしてあの人達に会っていいのかもう分からなくなっていた。


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