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友達

見てくれてありがとうございます。

イジメを取り扱っていますが、気分が悪くならないようにしているつもりです。

ですが、気を悪くされるかたがいたら申し訳ありません。

次の日。

私は、アリーナの取り巻きの中にいた。

学園の食堂にて昼食会という、アリーナを囲んでランチするというものだ。

取り巻きは、口々にアリーナを讃える。

毎日こんなのやっててアリーナへの賛辞が尽きないものなのだろうか?

くだらない。

人生で無駄な時間というものがあるなら、この時間がそうだ。

黙々とランチを食べる私。

話題は、誰々がどうだ、誰々があんな事してた、誰々が気に食わない、悪口にシフトしていく。

「では、懲らしめてあげましょう」

アリーナが言った。

取り巻きは、それが良いですわ等、賛同していった。

同じクラスの、昼食会に来ていないクリスの事のようだ。

私と同じ寄宿舎にいる辺境貴族の娘だ。

立場の弱い者をターゲットに…

ホントにくだらない。

私は黙々とランチを食べた。


私は昼食会が終わった後から考えた。

クリスを助ける事は可能だろう。

昼食会に参加させれば良いだけだ。

クリスがどうしても嫌だというなら、私が味方になってやれば良い。

問題は、助けた後だ。

クリスがあちらに寝返り、イジメのターゲットが私に来ては意味がない。

イジメから助けてイジメられる。

良くある話だ。

そんなパターン道理の展開は避けねばならない。

考えがまとまらない。

どうしよう。

ジェットが側に居てくれたらと思った。


放課後。

昨日の私と同じように取り囲まれるクリス。

泣きそうになってる。

同情するが、助けて裏切られた経験なら腐るほどある。

どうする?

「貴女、アリーナ様を軽く見ていらっしゃしゃるの?」

「大体、貴女の態度は生意気ですわよ」

「目障りですわ」

取り巻き連中が責め立てる。


くだらない。


後から、考えよう。

「…もう、やめましょう」

私は言った。

一瞬、場が静まり、私はクリスの手を掴み

「クリス、帰ろう」

と言って、教室を出ていく。

教室の外では、颯爽とクリスを助ける為にスタンバイしているアリーナがいた。

すれ違う時、アリーナは私を睨み付けていた。



「何を言っているのソフィーナの奴!」

「ソフィーナさんったら! クリスの為なのに」

「裏切り者」

「許せない」

教室の中ではソフィーナの悪口が口々にアリーナの取り巻きから出ていた。

教室のドアが開く。

「行くわよ」

アリーナがそう言って廊下を歩いていった。

取り巻き連中は、走ってアリーナの後を追う。

気分直しのお茶会だ。



「ソフィーナ、ありがとう」

クリスが言った。

みんなそうだ、助ければ感謝される。だが、その内に牙を向く。

私は無言でクリスの手を掴み歩いている。

「…たい、痛いよ、ソフィーナぁ」

私は、その声にハッとした。

「クリス、ゴメン」

そう言って、立ち止まりクリスの手を離す。


「…クリス、…私…を、裏切らないで」

うつ向いて、小さな声で私は言った。


「ソフィーナ、私と友達になって」

クリスが言った。

「…友達?」

私は顔をあげた。

クリスが笑っていた。

私は、涙が出た。

怖かった。嬉しかった。辛かった。いろんな感情が溢れて涙が出た。

クリスは、おろおろして何故か泣いた。


「何やってんだ?」

三年生のアースが二人を見て呟いた。

そんなアースに黒髪で長身の学生が言った。

「殿下、何をなさっていますか、早く屋敷に戻りましょう」

その学生は、同級生で、アースの護衛係のカイルだった。

「ああ、カイル。 帰ろうか」

アースは泣く二人を見てから、カイルと歩きだした。



二人で泣いた後、

「帰ろう」

私はそう言って、クリスと手を繋いで歩きだした。


私に今日、女の友達が出来た。


「クリス、クリスにジェットを紹介するからね」

歩きながら言った。

学園の外で待っていた馬車にクリスも乗せて、私は、私の一番大切な友達を紹介する。

ジェットには一番に報告したかったから。


「ジェット、今日友達が出来たの。クリスよ」

私は笑顔でジェットに言った。


友達 クリス

王子 アース

護衛 カイル

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