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狂犬バイス

狂犬バイス登場です。

その日の朝の登校風景はいつもと同じなのに何か様子が違っているように思えた。


「ジェットありがとう」

私は場所を降りてジェットに言った。

「ソフィーナ、クリス気を付けてね」

ジェットが心配そうに言った。

「私達は大丈夫だけど、アース先輩が心配よね」

クリスが言った。

私も、ジェットもそう思っている。



豪華な造りの馬車が学園に入って行く。

入り口付近で停まった馬車の中から、長髪の金髪をなびかせて、すらりと背の高い男が降りてきた。

私とクリスが見ていると、その男は、優しく笑いかけ、学園に入っていった。



午前の授業が終わり、私達はアース王子と合流した。

「ジェットも明日から、学校の用務員として働けるように手配したから、伝えておいてくれ」

アース王子が私に言った。

「先輩、大丈夫だった?」

クリスが心配してアースに言ったが、

「ありがとう、大丈夫だよ」

そう言って、笑った。

「今度こそ、私がお守りしますよ」

カイルが言った。



学園の食堂に朝、豪華な馬車から降りた男が取り巻きを引き連れて入ってきた。

「バイス様が学園に帰って来てくれて、うれしいっすよ」

「バイス様、また暴れまわりましょう」

取り巻きは、口々にバイスに話しかける。

バイスは無言で席につく。

取り巻きが、料理を運んで来る。

「バイス様、どうぞ」

バイスは、黙って料理を口にする。


「お前とお前、殴り合え」

バイスは食事をしながら言った。

指名された二人は、戸惑いながらも、殴り合いを始める。

「おら! もっと真剣にやれ、バイス様が退屈してらっしゃるぞ」

取り巻きが 笑いながら言った。

バイスは黙々と食べ続ける。

激しく殴り合いが続くなか、先生が飛んできた。

「お前ら、なにやって…!」

先生は、バイスを確認すると、食堂を出て行ってしまった。


遠くの席、自身の取り巻きに囲まれたアリーナは、その様子を見て笑っていた。

席を立つアリーナ。



「バイス王子、私は2年のアリーナ・シュヴァイツですわ」

バイスの前に立ったアリーナが言った。

「下級生が、なんだお前」

バイスの取り巻きがアリーナに言った。

バイスは、少し考えてから、

「宰相の娘か? 俺に何か用か?」

バイスがアリーナの方を向いて言った。

宰相の娘と聞いて取り巻きは静かになる。

「少し、お話よろしいかしら?」

バイスは取り巻きを置いて、アリーナと食堂を出た。



校舎の裏の静かな場所。

「俺を城から出したのは、お前の親父だろう? 感謝してるが、何が目的だ?」

壁にもたれかかったバイスが言った。

「別に、あんたの好きにすればいいわ」

アリーナが腕組をして言う。

「あんたが、謹慎生活する原因になった、アースの事どうすんの?」

アリーナの言葉にバイスの表情が変わった。

「妾の子の分際で…」

そう言って、バイスは爪を噛む。

「メチャクチャにしてやりましょうよ、私も協力するわよ」

バイスは、言ってきたアリーナを見る。

「お前も、アイツが気にくわないのか?」

笑って、バイスが言った。

「そうよ。 やるの?やらないの?」

不機嫌な感じでアリーナが言った。

「お前、面白いな。 俺の女になれ」

バイスがアリーナの腰に手をまわし、引き寄せた。

「あんた、顔は良いみたいだし腐っても王子だし、別に良いんだけど…そうね、アースを何とかしてくれたら、考えてもいいわ」

アリーナが言うと、バイスはアリーナにキスをした。


「よし、お前は俺の女になる。これは、その手付けだ」

キスを終えたバイスがアリーナに言ってその場を立ち去った。

アリーナはその後ろ姿を笑って見送った。



放課後。

カイルは、先生に呼ばれていた。

その時、ソフィーナ、クリス、アースは上級生の男達に囲まれていた。

「何か用か?」

アースがそう言うが、返事は無い。

どうせ、バイスの差しがねだろう。

初日からコレとは…アースは、ため息をついて鞄を置いた。

「ソフィーナと、クリスは先に帰ってくれ」

アースが言うと、ソフィーナとクリスは別々の方向に走り出した。

その姿を見て、二人が離れた事を確認したアースが男達に向かい合い、

「俺に用事があるんだろう?」

そう言って構えた。

男達がアースに襲いかかる。


アースは懸命に戦う。

男達の攻撃は、身の軽いアースに中々当たらない。

アースの攻撃がヒットしていく。

男達はアースの動きを封じる為に一斉に飛びかかり、アースを羽交い締めにして押さえ込んだ。

その時、ジェットが走ってきた。

「アース! 助けにきたよ」

アースが顔をあげると、ジェットが戦っている。

ソフィーナも離れて見ている。

ジェットを呼んできてくれたのかとアースは思い、戦っているジェットに目をやる。

突き技、蹴り技、不思議な動きで、敵を圧倒していた。

アースは、目を見開いている。

ジェットが使っているのは、前世にずっとやっていた空手。

転生してからも練習は続けていた。

その成果が今、発揮されている。

アースは、年下のジェットの大立回りに口を開けて見ている。


「てえぇー!」

最後の一人に正拳突きがクリーンヒットして、相手は崩れ落ちるように倒れた。



「アース!」

カイルが走ってやってきたが、アースの側に来ると、周りに倒れた男達がいた。

「ジェットに助けられた」

アースは、カイルに言うと、カイルは、ジェットに駆け寄り抱き締めた。


「ジェットありがとう、でも、危ない事は心配だから…俺がジェットを守ってあげるから」

そう言ってギュッと抱き締める手に力を込めた。

ソフィーナはカイルを睨む。

「?あ、ありがとう、でも、大丈夫です」

ジェットは訳が解らないが、心配してくれているのが解ったので、お礼を言って離してもらった。

クリスが走ってきた。

「カ、カイル先輩、は、速い~」

ぜーぜー肩で息をしながら、クリスが言った。

「クリスが、呼びに来てくれて、駆けつけたのですが…」

カイルが、アースに言うと、

「クリス、ありがとう」

アースはクリスに近づきお礼を言った。

クリスは嬉しそうだ。

「やっぱり、これって?」

ソフィーナが言うと、

「どうせ、バイスの仕業だろう」

アースが吐き捨てるように言った。



遠くから様子を見ていた、バイスとアリーナ。

「ダメねぇ」

アリーナが言って、バイスを見ると怒りの表情を見せたが、

「やるじゃないか、妾の子」

そう言って笑った。

「バイス、行きましょう。楽しくなりそうね」

アリーナも笑って、その場を離れていく。




今日は、エライ目にあった、明日からどうなるんだろうかと私は思った。

馬車の中では、ジェットの空手の話で盛り上がっていた。

ジェット、空手やってたのね。

私の知らないジェットが見れて、ちょっと嬉しかった。

カイルは心配だけどね。


私達は馬車にゆられて帰った。


バイス、アリーナ コンビが次になにを…

次回も、ご期待ください。

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