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アース王子の苦悩

アース王子の身になにが…

ホールでは、新入生の歓迎会と進級の祝いなどが行われる。

私たちは並べられた椅子に着席した。

視線を感じる。

振り替えるとアリーナがこちらを見ていた。

冷たい目。

私は、すぐに視線を前に戻した。

式典が始まる。




式典が終わり、私たちは校門でアース先輩達をまっている。

「ソフィーナあの先生、怖くない? 命令です!だって」

クリスがマリア先生の真似をして言った。

「うまいねクリス。 確かに、厳しそうな先生だよね」

私は笑顔で、クリスに言った。


「ソフィーナ!アース先輩だよ!」

クリスが歩いてくるアース先輩達を見つけたようで、私の袖をひっぱって言った。

私も顔を向けると、遠くからアース先輩とカイル先輩が歩いてくるのが見えた。

二人は難しい顔をしているようだ…。



何時ものように、みんなでジェットの運転する馬車に乗って帰宅する。


「アース先輩? 何かありました」

私は、笑って明るく振る舞っているが、様子がおかしいアース先輩とカイル先輩が気がかりなので聞いてみる。

笑っていたアース先輩が、私の質問に伏し目がちに考え込んだ。


「ジェット、あそこに行けるか?」

アース先輩が顔をあげて、ジェットに言った。

「王子、湖のとこですね?」

ジェットの問いに、アースがそうだと答えて一行は、湖のとこのコテージに向かう。



湖の側に小さなコテージがある。

そこは、私達の溜まり場みたいな感じで使っている場所だ。

元々はカイル先輩の家の持ち物だったのだが、ずっと使われていなかったので、中を掃除したり修理したりを少しづつやって出来た私達の秘密基地だ。

何かあると、集まったり、パーティーしたり、こっそり、お酒を飲んだりする特別な場所だ。


コテージの中、私達は適当に椅子やソファーに腰かけていた。

みんな黙っている。

「兄が編入してきた」

ソファーに座っているアース先輩が頭を抱えて言った。

兄? 編入? 意味がわからない私たちが戸惑っていると、カイル先輩が、

「アース王子の腹違いの兄のバイス王子が

編入してきた。 その、兄のバイスなのだが…アースを見下すような男で、何と言うか、……乱暴な奴だ」

と、説明してくれた。

「でも、学年が違うなら、大丈夫なんじゃ?」

クリスが心配そうに言った。

「奴は、四年の時に暴力事件を起こして、他国に留学と言う名目で、学園を追い出されたハズだったのに、戻って来やがるなんて…クソ! …何故か同じ学年だ!」

王子が壁を叩く。

「そのバイスとかいうのと何か、あったんですか?」

ジェットが聞いた。

「ジェット、その暴力事件なのだが、バイスがアース王子と教師を刺したんだ」

カイルが言った。

私たちは、驚いて声がでない。

「バイスは立場の弱い女生徒をレイプしていた。それも、何人もだ! それを咎めた俺と教師が逆ギレしたバイスに刺された。

王子の立場の奴を裁けなかったので、対外的には留学として、実際は城で謹慎させられていたのに、……なんで?」

アース先輩が言いながら、側に椅子にドカッと座った。

「私のせいかも……あの後、顔を隠してバイスを半殺しの目にあわせましたから…」

カイルが悔しそうに言った。

私は、誰かの悪意の仕業じゃないかと思った。

「バイスってのが、来るのどうしようもないんでしょ? なら、私達は、今まで以上に協力を密にして対処していきましょう」

私が言うと、クリスが私もやる! と、やる気をだしたみたいだ。

「それで、王子。 ジェットを学園内で動けるように出来ないですか?」

私はアース先輩に言った。

学園内で助け合える仲間は多い方がいい。

アース先輩が考え込む。


「……やって、…みるか」

アース先輩は、何か考えがあるようだ。

「僕達、五人が協力すれば、どんな困難にだって、負けませんよ!」

ジェットが力強く言った。

アース先輩と、カイル先輩に少しだけ元気が戻ったように思えた。

みんな嬉しそうだ。

私達は、ホントの友達だから、友達が悲しそうなら笑顔にしてあげたい。

そんな風に思うのだ。



シュヴァイツ宰相の邸宅。

宰相の書斎。

「お父様、ありがとう」

アリーナが父親のゲズール・シュヴァイツに抱きついて言った。

「大丈夫なのか? アリーナ、あの狂犬を学園に戻して…」

ゲズールは、王に進言してバイスの復学をさせた事に少しだけ後悔の念があったが、可愛い娘が喜んでいるので、その思いを胸にしまった。

「大丈夫よ、精々、利用してみせるから、パパも早く王様になってね」

アリーナの言葉にゲズールは邪悪な笑みをみせる。

「アリーナ、計画は急いでは失敗する。もう数年待ちなさい。 くれぐれも他言しては、いけないよ」

「わかっていますわ」

父親の言葉に邪悪な笑みでアリーナは返すのであった。

「それじゃ、お父様、明日も早いから部屋で休みますわ」

そう言って、アリーナは部屋を出る。


笑える。あの忌々しいアースに一矢報いる事が出来た。

アリーナは廊下を歩きながら、そう思った。

「アース……精々、狂犬に遊んでもらえ」

そう言って、アリーナは笑った。

狂犬バイスの登場により、学園はどうなるのか?

次回を、お楽しみに

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