第4話
世界無形文化遺産 ツッパリ 鳥居翔
認定されました!!
まさかの未成年者を実名報道。
そして流れる有名な日本の無形文化遺産の映像。
あ、この習わしこないだテレビで見た!
あ、なまはげだ。
なんだこの奇妙な祭?なんだこの文化?
と自然と同じカテゴライズに入ったのを受け入れたわけではなく一視聴者として画面に釘付けになっていた。
放送がコマーシャルになり我にかえる。
無形文化遺産の説明がないのだが世の中にはそんな浸透している言葉なのか。
携帯で検索する
無形文化遺産
入力した瞬間指が止まる。
検索予測の一番上に
無形文化遺産 鳥居翔
って出てる!!
無形文化遺産 なまはげ
の上に名前でちゃてるんだが、これはなんなんですか?今、検索ワードランキングが上に来るのですか?累計検索ワードランキングが上に来るのか、そんなどうでも良い事ばかり考えてしまってる。まず、冷静になろう。
真剣に洗剤のコマーシャルを見た。生まれて初めての事かもしれない。
洗剤と言われてまず一番に浮かぶメーカーではない商品のコマーシャルがいろいろ教えてくれた。
昔みたいにカップで救ったりとか、液体をブニューと入れたりとかしないでもいいらしい。
なんかゼリーみたいになっている洗剤を一粒、ぽいっ!と洗濯機に入れるだけでいいらしい。
これが画期的な事なのかどうかわからないくらい洗濯なんて親に全て任せていたな。
思えばテレビも録画ばかりでコマーシャル飛ばしていたり、リアルタイムで見てもコマーシャルの間携帯を手に持ったりトイレに行ったりと、見ているようで観てはいなかった。
この時間帯の自分にしては、ヨーロッパ辺りで親が築いた城の中庭で、穏やかな気温と日差しの中、お紅茶を口に運びながら今日はどのようにして過ごそう等と考えている王子様の当たり前の朝のような冷静さだと思う。
大抵の学生の朝は慌ただしいか眠りまなこで、過ごしているであろう中。今の自分は日本の学生の中で一番冷静であると胸を張って言える。
無形文化遺産 鳥居翔
事の重大さに気づく。
自分と同じく
無形文化遺産ってなに?
の人から
新しい無形文化遺産かぁ、、、
って興味を持った全ての人に なまはげ より上に 記された
鳥居翔
は伝わったのである。
もう、おはようからおやすみまで全ての人にぐらい伝わってるのである。
再び自分の名前が素敵な声で聞こえてくる。
それだけは悪くない。誰しもが普通に過ごしている中で女性アナウンサーに名前を呼んでもらえる機会等滅多にないのだから。
録画しておけばよかったな。と思ったのも束の間で、衝撃の映像が流れる。
きのう、老人に見せられた動画。
さらに、老人から無形文化遺産に認定された事が伝えられたきのうの職員室での出来事。
いつの間に撮影されたいたのか?って疑問は一旦置いといてやっぱり客観的に観て、俺威圧的すぎる。
老人になんくせつけてタンカ切ってる様にしか見えない。
それどころか、冒頭で流れた映像ただの暴力事件。流して良いのだろうか?と杞憂に客観的な自分がいることにも驚いた。
あぁあれだ!思考回路がショートしました。
「よ!これぞ、ツッパリ!やばい、痺れます!!」
能天気な女性アナウンサーの一言にすら喜んでいいのかどうするべきなのかわからない。
そして、次のコーナーが始まった。
「貴方の知らない!ツッパリの世界!」
今、この瞬間に
鳥居翔はこのイメージを付けられていくのだろう。