表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/33

6・天使降臨

風が凍る、冷たい部屋


その部屋には、泣き出しそうな少女と倒れている青年が居た。

桜色の髪の少女は、今までベットで睡眠をとっていた。

そして、おそらく今も…。

蒼い髪の少女…藍依は窓側を、時が止まったように見ていた。

窓側には、月明かりに照らされている、翼を生やした少女がいた。

それはまさしく華人が翼を生やした姿だった。


一瞬の桜吹雪が舞う


急な突風に藍依は目を閉じた。しかし再び開けると

そこには少女ではなく、長い髪の女性がいた。


藍依の瞳に映るのは、桜色の長い髪、着物のような紅と白の衣装、

紅い瞳…。

服も外見も違う。だけど

「華人様…?」

そういわざるを得なかった。その女性は明らかに華人はなびとに似ていた。

藍依の位置からは、ちょうどベット…華人は見えなかった。普通は今も寝ているはず。

けれど、目の前にいる真っ白い翼の女性は、華人にそっくりだった。

「…話は後にしましょう」

桜色の髪の女性はそう言うと、部屋の中央へと進み、床に膝をつけた。

彼女は、彼に掛かっている布団をどかし、彼の腹部に手を伸ばした。

「…あなたがそう望むのなら 翼を汚して祈りを空に届けましょう」

そう静かに言い放ち、綺麗に気高く歌いだした。

「この…歌は」藍依は天使に見入っていた。

空遠くまで響き渡る歌声。切ない悲しみの旋律。

華が咲き乱れ・風が吹いて舞い上がり・空が揺れて希望の光を射し 


――天使がその歌声を 祈りにして神に届けるのでしょう――


眩い一瞬の光が彼の胸を刺した。重く厚い光がずんと胸にのめり込んでいく…。

「何なの…?」呆然と藍依は見ていた。見たこともない現実を目の当りにしたように…

桜色の髪の天使は、くるっと振り返り藍依をじっと見つめた。

振り返る時に揺れる長い桜色の髪の美しさに、藍依は見とれてしまった。

「この者の病気は治していない…。一時的な発作を直しただけだ。」

歌声とは違い、低い優しい声で天使はそう言った。

そして、一瞬の内にして飛び去ってしまった。藍依の目に映ったのは、白い羽だけだった。

――喜びには悲しみが 幸福には犠牲が 付き物だから――

そんな囁きが藍依の耳から離れなかった。



 *◆◇◆*



「ん…」朝の光と風が部屋に入り込む。彼はここはどこだったかと、ゆっくり思考を

動かす…。気が付くと腹の辺りになにやら重みが。視線をそっちに向ける。

蒼い髪。「藍依…か」藍依はまだ眠っている。安心したようにすやすやと眠っている。

気が付いたら眠ってしまったのだろうが、どうやら彼は腹枕に

されているらしい。(う…動けねぇ)と体を硬直させながらも、彼は藍依の

頭を撫でた。「…ありがとな。」床には冷めた熱カイロが置いてあった。



 *◆◇◆*



ふきふき ふき。 ふきふき。 「よしっ…と」


只今、窓磨き中。 まぁ。なぜかというと、この宿は格安の牲もあって

掃除は、使用者がするっつー訳なんだな。本当は俺用にもう1つ部屋を借りてくれたんだが

使わなかったというオチで…。

「私…。お支払いしてきますので、お掃除お願いできますか?」

ああ。もちろんと言ったものの。ここの部屋全然綺麗だぜ…。

少し床に鳥の羽・窓に花びらがついてるくらいだな。

ん?鳥の羽??…ま いっか。


それにしても、藍依が起きた時の反応はめっちゃうけたな。

珍しく慌てる姿が可愛かったな。あれ。


…とまあ。ぶっちゃけ言うとはなと話す時間をくれてんだろうな。

気を遣ってるんだな藍依は。


掃除終了!!


よし、華は宿の外庭にいるみたいだし…話つけてくるか。









   




お読み下さってありがとうございます!!

華と天使は同一人物なのでしょうか。

藍依は、天使の歌に聞き覚えがあるようですが…

と言う所がこれからの話のキーポイントだと

思います。

次回も宜しければ見て下さい。^^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ