4・天使との関係
タイトルを変えさせて頂きました。
あらすじも変えてみたので、注目して頂けると
嬉しいです。
華人の顔が暗く、藍依は悩み耽っている。宣告された本人は全然平気な顔でいる。
なぜそんな状況かというと、青年の記憶喪失は重症の病でもあるらしい。
青年と藍依と華人は病院から出てきた。青年に宣告された病気、記憶障害・短命症。
その名の通り、記憶は抹消され死までの時間が短くなる病気。
正式にいうとこれは病気ではなく、呪いらしい。
つまり、記憶喪失の原因は、何者かによっての呪い。
封印解除の魔法をかけてもらえれば、呪いは解けるらしい。
「しかし、この国では魔法が禁止されている。なので、ここから遠い東の国に居る魔術師に、封印解除の魔法をかけてもらえればいい。そうすれば、記憶が元に戻る。」
と病院の医師に説明された。
「…」「…」 「何でそんなに暗い顔してんだよ。」近くの自動販売機の前で3人は立ち尽くしている。「お前らが落ち込むものじゃなくね?」その時に藍依が瞳を強くして言った。
「私達には確かに関係ないかもしれませんが、私も…華人様も不安なんです!」
言葉を詰まらせ、瞳は潤み始める。「…あなたの事が心配なんです。」
その言葉を聞き青年は意表を突かれた顔をした。「へ?…あ わり。 なんかお前らまで巻き込んで。嫌な思いさせてさ。」少し暗い顔で、気を遣って話した。
「俺達ってさっき会ったばかりなのにな。」「・・・」罪悪感を少し感じながら青年は言った。
「…何でこんなに関わっているんだろうな。」
「俺なら平気だからさ。何か色々ありがとな。華。藍依。」
そして屈託の無い笑顔をみせる。
「…」「…」沈黙する2人の少女。
その空気を遮るように、青年は近くにある自動販売機で異国の通貨で買おうとする。
おいおい。そのお金で買えるのか…?ピ―――――!
はは。やっぱり買えないようでしたな。残念!その硬貨はもうここでは使えないな。
『当たりが出たからもう一本選べるよ☆』
…。オイオイオイ!!恐るべし自動販売機!恐るべし幸運!
「お ラッキーじゃん。」そう言ってもう一本ジュースを選ぶ。
ガジャン・ガジャン・ガジャンツ!開け口からジュースを取り出す。
青年の手には、サイダーとオレンジジュース100%とコーラがある。
「ほい。今までのお礼。」2人の頬に冷たいジュースを付ける。
「冷たい…。」藍依は言う。「全然冷たくなさそーだぞ。」
「そんなこと…ない。」藍依は目を逸らす。「ふ そっか。」彼が笑うと、
藍依は手にサイダーを握った。
「ほい。華も貰ってくれ。」「…。」「貰ってくれないと頭に乗っけるぞ。」
「…。」「?」彼は華人の顔を覗き込む。
華人の瞳は凍っていた。時が止まったように。「どうした…?」
少女の綺麗な瞳に一筋の涙が流れる。
「また…どこかに行っちゃうの?」
「1人で抱え込まないで…」
少女がその場でしゃがみこんだ。しゃがんだというより、倒れたに近い動きだった。
「華人様…っ」藍依が近寄る。華人は気を失っているようだった。
「すいません。華人様を宿に連れて行きます…っ」藍依は焦っていながら的確な選択を選んだ。「あなたも…来てもらえませんか?」「華人様がこんな状態になったのは、あなたに会ってからです。」ズキッと彼の心が痛む。
「あなたには記憶が無くても、華人様はあなたを…覚えているのだと思います。」
「きっと、とても大切な人だったんです。あなたが。」
藍依の言葉が一つ一つ胸に刺さっていく。血の気が一気に引いた。
瞬時に遠い過去が蘇ってくる。酷い頭痛と目眩がした。
辛く暗い過去。痛い痛い。
「…やめろ。」桜の髪の少女 風が舞う庭「やめろ…っ」
彼の視界に懐かしい風景が、ばっと浮かぶ。
綺麗な蒼い空と桜が舞っている。そこには少女がいつもいて、自分を待っていた。
ここが自分の居場所だった。幸せの音が響いていた。
白い翼の天使・桜吹雪に・雨が強く叩く・視界は真っ黒で
紅い桜
何もできない
紅い雨
されるがまま
枯れる叫び声
一瞬にして視界は真っ暗になる。
この世界の音が聞こえる。
現実に戻っていた。藍依が優しい顔で、こっちを見ていた。
「あなたにとっても辛いと思いますが…お願いできませんか。」
華人を背中に背負いしながら、身を屈めて彼を見た。
「宿に行きましたら、華人様と話してくれませんか?」
「あなたの過去にも関係していると思います…から。」
そしてにこっと笑った。彼はその笑顔に救われた気がした。
「…ん。分かった。華と話してみるよ。」彼も精一杯の笑顔を見せる。
彼は一歩一歩着実に歩く、真実の記憶に向かって――
お読み下さってありがとうございます!!
彼は郵便屋として働いていたのですが、手紙の袋はどこへ?と思った方もいらっしゃるかと思います。すいません。後々書かせて頂きます。
次回も宜しければ見て下さい。^^