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26・桜色の手紙

「音憂」

へ?だれかが私を呼んでる。うにゃー。眠いのに・・・。

夢から覚めて、私は目を開けた。

・・・顔が近い。目の前には精霊君がいます。おっと、勝手に部屋に入るなっていったのはキミじゃないか。

「はよ」

いつもぶすっとしている精霊君が・・・。何故?突然の笑顔に私はびっくりする。

「…おはよー」

精霊君、寝ぼけた私の声にせいか、笑ってる。珍しい。

「意外とねぼすけさんだな」

ふあっ!

「いつも私が起こしてるじゃないかー!」

これには私だってカチンと来ますよ、だっていつも私がキミをおこしているのに…!

「あの、でも」

「あ?」

「どきませんか?そこ」

今、精霊君が覆いかぶさるように私の前にいます。それに顔が近いよ・・・。

「嫌って言ったら?」

「…強行突破です」

ふっと精霊君が馬鹿にするように笑う。

「お前には無理だろ」

またまたケンカをうってるのですか。お兄さん。私だってやろうと思えばいくらだって…!

「えいえい」

精霊君を押してみる。

「どーいーて〜っ」

ぴたりとも動かない・・・。こっちは本気なのに。ぜえはぁーぜえはぁー。

「こんなもんかよ、お前の力は。弱っちいな」

ふ…どうせ私の力はこんなもんですよ。非力ですよ。握力10もないですよ…。

「何で、お前なんだろうな」

「え?」

「俺、女に泣かされた事ねぇぞ?」

昨日の事…?

「お前、度胸あるんだな。見直した」

あ…そうだったんだ。

「お前自殺しようとしてんのかよ?」

「え…そんな事無いよ」

「首に刃物突きつけられてんのに、平常心なとこすげーな。俺、できねぇよ。そんなこと」

「…えへへ」

「何笑ってんの」

「キミのためならできる…よ。それにキミだったら、私を殺さないって思ったから」

「…お前」

「?」

「俺の事、好きなのかよ?」

あきれた顔で精霊君は言いました。といいますか、知らなかったんだ。

「うん!大好きだよ、キミのこと」

「!!」

さけるように私から離れていきました。

…そ、そんなに照れなくても。こっちが恥ずかしいよ。

「あ、あのな。俺、決めたんだ」

「何を?」

「これから、しばらく修行すんだ」

へ?修行?

修行というと、あの滝に打たれるあの修行…?

うわー。人が変わっちゃったみたいだ。精霊君が修行をするなんて…。

「何の為なの?」

「それは、秘密」

精霊君は教えてくれないまま、部屋を出て行きました。

何でだろう・・・。


(あ、そうだ。お礼言わないと…)


私は心を集中して瞑想メディテーションをした。

私にとっては、馴れればそんなに難しくない事だった。

瞑想をすると聞こえてくるの、だれかの声が。

最初は少し恐かったけど、声をかけてくれるのは優しい人だったから安心した。

昔から、私はその人と話すができた。

お父様が死んでしまった、あの日から・・・。


あの、神様。今までありがとうございます。

あなたの応援がなければ、私、あきらめていました。


――それはよかった。でも彼を変えたのは、あなたの力があるからだ。

  2つの力は使ってみたかい?


まだ、です。どういう時に使ってみたらいいか、分からなくて。

それに、使いづらいです。

人の過去、未来が見える力なんて、…私にはもったいない力です。


――そうか、だが、いつかは使いたくなる時が絶対来るさ。

  彼の未来を守るためにね。

 

…そうなんですか? えへへ、それではその日までとっておきます。

 えと、それでは、失礼します。


外に意識を向けて、心の目を閉じる。

そうすると、会話を終わらせる事ができる。

今日は長かったかな?ふう…少し疲れた。

やっぱりあの人は、神様なのかな…。

ぼんやりと思いに耽ながら、ベットに倒れる。

「信じて、もらえないのかな…」

馬鹿にされるのが恐くて、だれにも打ち明けた事が無くて1人で抱えていた。

神様と話ができるなんて、信じてもらえないと思っていたから。

神様って本当にいるのかなー。

わー!でも助けてもらってるのに、疑り深いよね、失礼だよね!

でも……だけど思い返すと偶然が重なる…。

お父様が亡くなったあの日に声が聞こえたから。

信じてみたい、神様は…もしかしたら、死んでしまったお父様なのではないかって事を。

似ている、とっても似ている…喋り方とか、声とか。

弱い私を応援してくれているのかなって。

お父様が私を寂しくさせないようにしてくれるのではないかって。

やっぱり自己満足かもしれない、ただの願望かもしれない。

でも、もしそうだったら、嬉しいな。お父様とずっと繋がっていられるから。



 *◆◇◆*


届いてきた一枚の手紙。それが私の運命を変えるなんて思いもしていなかった。


「音憂。音憂宛の手紙、来てたわよ」

ほえ?私に手紙なんて珍しいな。可愛らしい桜色の封筒だあ。

手紙開けるときってわくわくするな〜。ぺりぺりぺり…ひょいっ!

あれ?

「何だよ、ラブレターか?」

精霊君!

「わー私のー」

ジャンプしながら取ろうとするけど、ふううっ!取れない!

精霊君、最近あまりに背が伸びてるからなー。

よし、こうなったら強行突破!

精霊君のわき腹にくっ付く!そしてくすぐる!

ちょいちょいと邪魔そうにしてます。効果ありでしょうか!

「はいはい、返しますって」

ふふふ。大成功です!さっそく開けてみますと・・・。


       *◆羽戸 音憂様◆*  

 

  冬の寒さが厳しいこの頃、音憂様はどうお過ごしでしょうか?

  この度手紙をお送りした理由は、音憂様のお力を貸して頂きたいと

  我が会社は考えております。

  突然の申し出で申し訳ありませんが、近日改めて音憂様のご自宅へ

  伺いたいと考えております。

  我が会社は自然保護地球保護を大切にしております。

  環境、人類、そして草、樹、花への奉仕をしてみませんか?

  国にも認められており、安全な仕事を依頼しています。

  音憂様の高魔力を社会にぜひ貢献して頂きませんでしょうか。

  良いお返事を期待しております。  

                  

                    ◆◇天華団体◇◆



「…天華あまばな団体?」

私は呟いた。

「天華団体っていったら世界で活躍している組織よ!」

お母さんが言った。

「へー…そうなんだ」

でもこの内容って、どういう事?

「ちょっと見せて見せて」

お母さんが手紙を覗き込んだ。

「・・・」

「ねぇ。お母さんこれってどういう意味なの?」

「音憂」

「?」

「あんた、すごいじゃないー!!」

「へ?」

「天華団体なんて入りたくても入れない、トップクラスの組織なのよ!」

「はぁ」

「お母さん小さい頃憧れてたのよ、華人様はなびとさまにー!何てったって華を愛し、世界中の自然を慈しむ姿!

世界中が騒がれていた、精霊から守ってくれる天使!強くて美しい女性の憧れなのよー!」

「でも、それって…」

――バンツ

ドアが大きく閉まった音が鳴った。

精霊君はばつ悪そうに部屋から出て行った。

「精霊君っ!」

私は精霊君を追いかけた。


天華団体は精霊を駆除する団体だから、精霊君が怒るのは当たり前の事。

大丈夫だよ。私、天華団体になんて入らないから。


 *◆◇◆*


とんとん

精霊君の部屋のドアを叩く。

「あの…入っていいでしょうか」

しーん…

(むう、どうしよう)

ドアの前で立ち尽くす。

(入らない方がいいのかな……ううん!強行突破だ)

本音を話したら、精霊君だって分かってくれる!

――ガチャツ

目の前に映る光景、思いもよらない姿。

いつもの精霊君とは思えない…。

机にうつ伏せになって、泣いている…?

「あの、」

「・・・」

「大丈夫だよ。私、天華団体になんて入らないよ」

「・・・」

「キミの敵になんてならないよ」

「・・・」

「ずっとキミの味方だから」

「…音憂」

「え…」

手を引っ張られて、精霊君にぶつかる…?

フワツ

精霊君の体の冷たさが伝わる。

震える体に抱きしめれられて、冷たくて悲しい気持ちになる。

「…音憂も、俺を見捨てるのか?」

悲しい記憶を持つ君。とても辛かったよね。

でも、大丈夫だよ。

独りじゃないよ、私がずっと傍にいるから。

キミの背中に手を組んで抱きしめた。

ぎゅっと、いつまでも離れないように。強く強く抱きしめた。

「私、キミの事大好きだから、ずっと傍に居たいな」



2人を引き裂くあの出来事が起こるまで、ずっと私達は一緒だったね。




読んで下さってありがとうございます!

音憂ちゃん、彼と仲良くなっています(笑)

桜色の手紙が届きました。

音憂ちゃんの高魔力に気付いた天華団体が出した手紙なのですが、音憂ちゃんが高魔力になったのは、彼がくれた指輪のおかげなのでしたー。

(その指輪を身に付けると、身に付けた者の潜在能力が発揮されるからです)

音憂ちゃんは華人にはならないって言っていたのに、

どうして華人になったのでしょう?

神様が予言した事は、何だったのでしょう?

それは次回起こります!

次回も宜しければ読んでみて下さい。^^

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