出会い
5月の終わり。山の緑も色濃くなり始め、
私、夏目ナツは高校に入り二度目の夏を迎えようとしていた。
私は毎朝、7時46分の同じ電車の同じ車両の同じ席に座るっている。すると、4駅あとから2人の男の子が乗ってくるのだ。
同じクラスの、バレー部の小林裕也くんとその幼馴染でバレー部の、仙谷隼人くんだ。
私は、一年生の夏、仙谷隼人くんに恋をした。
隼人くんは、身長184くらいですらっとした細身の体つきをしてるが、バレー部らしい筋肉もほどほどについており、か弱いわけではない。そして爽やかで愛嬌のある性格をしていて、男女問わず友達が多い。
ー 月曜日の朝は、しんどいね〜
布団から起きるのが大変だよ
ーー それなーそして、こんな朝が早いのは誰のせいだと思っているのかな?ナツ?
ー ごめんってーー、もうほんと美穂には感謝してます!!
ーーそう思ってるならほらアタック!!
ちょうど乗ってきたやん!
ーええー!!!?無理だよ〜
私は一目見れるだけで幸せです。
ーーもーう!そんなこと言ってるから、彼氏できないのよ!
ー ええー!!そこは ふれないで〜笑
と、この何ヶ月かこのやり取りが続く。
隼人くん達はバレー部の朝練のために早い電車に乗っていると聞いてわたしも合わせて乗っているのだ。、1人では怖いため、一年生から同じクラスの美穂に付き合ってもらっている。
朝早く出ているはずなのに、教室に行くといつも四、五人の女子がいる。
ー おはよーー!みんな!
ーー おおー!ナツー!おっは!
ーーおはよーう!ナツー!美穂!
ーーおはよ!
ーーナツ達最近くるの早くなったよねー!
ーー あれ、知らないのかい?
ナツが早い理由!笑
ーーそれはねぇぇ〜
ー あぁぁぁぁー!!ストップ!美穂!
ーー ええ〜!いいじゃん笑
ーー なになにー??
ーー聞きたーい!
ー 、、、
ー 私ね、隼人くん達の朝練の時間に合わせてきてるの。
ーー ええ!?!?そうだったんた!
ーー おおー恋する乙女ね〜♡
ーー へぇー、あの、ナツがねぇー!
ーーんで、どっち目当て?
ーえっと。、、、
ーー いや、そんなの聞くまでもないじゃん
ーーまぁ、それもそうね笑
ーー、まあ、ナツがそこまでしたくなる気持ちわかるわ〜
ーー私もあんな王子と近づけるんなら朝早く起きるもん!笑
ーー、、、もちろん裕也くんでしょ?
ー、、、、ううん。隼人くん。、
ーー、まじか!?!?
ーーええーーーー??
ーーそっかーー
ー いや、隼人くんすごい優しいよ!かっこいいよ!、爽やかよ!
ね!美穂?
ーーうんまぁ。爽やかだよね!
ーーそりゃうちらだって知ってるよ!
ーーやさしいよ!
ーー話しやすいよ!
ーーでもねぇ?
ーーねぇ。、??笑
ーーあの王子の隣にいたら かすんじゃうよ
ね〜
ーー ねーーーー!!!!
そうなのだ、仙谷隼人くんは、一般的に見ると爽やかで優しい!
という印象で、私たちのクラスメイトであり、私は2回めのクラスメイトでもある小林裕也くんは、学校で先輩からも、後輩からもモテモテでまさにアイドル的存在なのだ。身長は171センチで低めなのだか、そこもカッコいいらしい。
だが、
正直私は少し苦手だ。
ーー あ、噂をすれば2人の登場だ。
ーー ほんとだ!
ーー まじ癒される!
ーー ほんとなにあの美形!
ーー そしてあのツンツンしてるとこも、ク
ールで、かっこいい!、
ーーねー!!!!
ーー ほら、ナツ!隼人くんよ!
ー ちょっ、美穂!シッ!!
聞こえちゃうじゃん!
ーー聞こえん聞こえん。笑
大丈夫だってー、笑
ー もーう!
という会話をしてる時も、1秒たりとも目が隼人くんから話せなかった、見てることがバレたくはないが、目を離すことはできない。そして、あやうくば、こちらを少しでも見てくれないかという期待が頭の中を占める。声を聞いてるだけでも胸が締め付けられる。こんな気持ちはいつ頃ぶりだろうか。
この気持ちを隠すために、前髪を触っていると、隼人くんが横を通り過ぎて行った。
すると、
ーー夏目!
はいこれ落ちてたよ!笑
ー え、、あ、定期。。。。
あっ、あの、、ありがとう!
ーーいいえ!どういたしまして!笑
よく定期落とすね!
もう落とさないようにしなよ!笑
隼人くんにとっては何気ない言葉なのかもしれない。けれど私はもうこの時、幸せで、何が何だかわからないぐらい、顔が熱く、頭はまっしろだった。
もう落とさないようにしなよ。。。。
隼人くん達と初めて会った日。
私が隼人くんに恋をした日。
のことを覚えていたのだ。
〜高1の夏
私は美穂と遊ぶために電車に乗っていた。
すると斜め前の扉の前に裕也くんが立っていた。まだ、高校生になりたてで裕也くんのこともよく知らなかったため、話しかけることはできなかった。私服だから裕也くんも遊ぶのかな?とか考えていると、電車が揺れて、私の定期が、ポーンと飛んで行ってしまった。
そしてそれは裕也くんの真上の方に行った。裕也くんはそれに気づき、私の方をを何かとても深刻な顔で、そしてどことなく悲しそうな顔でこちらをにらんでいた。
そしてその定期をよけた。
案の定、定期は地面に 裕也くんの足元に落ちた。
裕也くんはそれに気づいているはずなのに、拾ってはくれなかった。
私はどうしたらいいかわからず、下を向いてじっと立っていた。
すると電車が駅に止まり、人が乗ってきた。そこに、隼人くんがいたのだ。
ーーおっはよー!裕也。
ーーああ。、おやよ
お前朝からまじ、元気だな
ーーそうか?
ーー裕也はいつも通りだね笑
あれ、なんか落ちてる、、
裕也ー、足どけてー!
なにこれ、定期 ?
落とした人大変じゃん!
ーー、まぁ、そあだな
ーー こういうのってどうしたらいいんだ?
ーーさぁ、、どうだろう。
本人に返したらいいと思うよ
ーー そりゃそうだろうけど、、、
誰のかわかんないのに、、そんなこ
とできるかよ!笑
ーー誰のかはわかるよ俺
ーーまじ!?だれのー?
ーー後ろの人の。
ーー、え?
ーー、って、、あーーー!!
祐也と同じクラスの夏目さんだよね?
偶然だね!
てか後ろの人のって、、、、
え、夏目さんの?
ー はっ、はいそうです!
ーー、そっかそっかー!
じゃあ、これ、 はい!
ー ありがとうございます!
ーー いえいえ!じゃあ、またね!
夏目さん!
ー、 はい!
あっ、あと、裕也くん!
さっきは、定期をぶつけそうになって
ごめんなさい!
ーー 、、、、、、、
ーーえ、?裕也!ちょっと、聞いてる??
〜ドアが閉まります。ご注意ください〜
ーーあ、ごめん!夏目さん!
裕也どうしたんだろう笑笑
気にしないで!きっと、眠かったとか
そんな感じだよ!
ー は、はい。、、、
ーーじゃあ、、バイバイ!
夏休み明けにね!
〜 〜
これが私が恋をした日
隼人くんを気になりだした日
隼人君を意識し始めた時
この日がなければ私はいま、隼人君にこんな想いになっていることはなかったのかもしれない。
私と隼人くんを出会わせてくれた大切な夏の思い出。
とても大切な日。
だか、
この時の私にはわからない。
この時のどんな想いで、裕也君は電車にいたのかを。
とても大切な日。
私の運命を変えた日。
裕也君と出会った日。