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設定姉弟しょーと!  作者: 七乃瀬雪将
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【季節ネタ】陽ノ下朱里とエイプリルフール

「あたし、エイプリルフールって嫌いなのよね」


 喫茶店でライトノベル鑑賞をしていた時だ。突然そう切り出したのは、俺より一つ歳下の女、陽ノ下朱里(ひのもとしゅり)だ。


「『嘘をついてもいい日』って何よ? じゃあ普段は嘘ついちゃいけないの? ってなるじゃないの」

「まぁ、基本的にダメだろ。嘘付いたら……」

「けどよく考えてみなさいよ。この世なんて嘘つきの馬鹿ばっかりよ? 特に偉くなった人たちは嘘の塊みたいな人ばかりだと思わない? 正直、あんな嘘で塗り固められた人たちが蔓延る世の中で、『嘘をついてもいい日』を設定する意味が微塵も感じないのよね」


 言葉を選ばずに本音を次々と繰り出す朱里。こいつは本当に、思ったことを素直に口にするよな。ある意味羨ましい性格してるけどさ……。


「まぁ、言い分は分かるよ。正直俺も、かなりタチの悪い日だとも思うけど」

「そうでしょ? 日本ではまだマシだけど、海外なんてすごい大げさじゃない。メディアなんて堂々と嘘の情報を流すし、それでいて悪びれもしない。情報の錯誤で人々が混乱することを考えたら、こんな日はない方が平和じゃない!」


 そういえば聞いたことある。イギリスの国営放送で『ペンギンが空を飛んだ』っていうニュースが流れて、一時期すごく話題になったことがあったような……。


「全く。こんな起源も意味も不明な一日が、全世界で公式に設定されているなんて、不愉快にも程があるわ! 一刻も早く削除してもらえないかしら」

「今すぐに消すってのは無理だろ……。ま、エイプリルフールなんて午前中だけの短い時間だけなんだし、笑って許せばいいじゃん」

「笑って許せ……ですって?」


 すると朱里は腕をプルプルさせ、怒りの表情を作る。


「そう簡単に許せるわけないでしょうが! もっとモラルを持ちなさいよモラルを!」

「何かあったの!?」


 薄々気づいてはいたけど、尋常じゃないエイプリルフールへの嫌悪! こいつ、絶対に昔何かあっただろ!


「今思い出しても腹が立つ! 高校時代のクソ男子共め! 何が『ホラー映画をたくさん見ると背が伸びる』よ! 馬鹿にしてーー!!」

「落ち着け朱里! お前は今バイト中なんだぞ!」


 ウェイトレスが急にクソとか言うなよ! 今はお客さんが俺だけだからいいけど、言ってる途中でお客さんが来ることだってあるんだぞ!?

 てか、何でそんなの信じた!? あれか? 恐怖で背筋が伸びるとか言われたのか!? お前、チョロすぎだろ! 騙されるなよ!


「まぁいいわ。その男子たちは教室にあった花瓶で半殺しにして、窓から放り投げたから清々したしね」

「えぇぇぇぇ!? そんなことしたのかよ! ホラー映画よりホラーだな!」

「何言ってるのよ。冗談よ冗談。エイプリルフールの冗談よ」


 目が笑ってない……。本当に冗談かよ?


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