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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

メリッサとホオズキ

作者: 佐藤奈津

ヤンデレ増殖に参加させていただきました。よろしくお願いします。

目が合うと相手を石にしてしまう化け物。それがメデューサ。人々から怖れられ、忌み嫌われる化け物。


わたしは、そのメデューサ。人間からは決して声をかけてもらえず、決して目を合わせてもらえない。物語の中のように目が合っただけでは石になんてできないのに…(わたしが念じなければ石にはならない)。

そんなわたしは、人里から離れたところに住んでいる。勿論、人がやってくることなどない。





……………………、いや…わたしなんかに会いに来てくれる人がいる。ひとりぼっちのわたしを愛してくれている。彼はわたしみたいな化け物を気にかけてくれる、優しい優しい人間。











「ホオズキ!」

ホオズキとは彼の名前。


「メリー」

ホオズキは化け物のわたしをギュッと抱きしめてくれる。わたしにとって自分以外の体温はとても心地がイイ。しかも、ホオズキはメデューサのわたしよりも体温が低くてとても気持ちがイイのだ。

メリーとは、わたしメリッサの愛称。メリッサという名前もホオズキが付けてくれた大切な名前。メデューサとして忌み嫌われていたわたしに名前と愛をくれた大切な人……。


「ホオズキ、今日はなんの話をしてくれるの?」

ホオズキはわたしのために毎日、森の奥(といっても道はちゃんとある)のわたしの家まで来て、たくさんお話ししてくれる。

決してホオズキの容姿や性格が悪いなんてことはなく、むしろ最高だと思う。顔立ちは女であるわたしが羨むほど美しく(わたしは、平凡な顔である)、すらっとして背丈は高く(わたしは背が低く、木の実はとれない)、声も程良く低く、誰に対しても優しい。人間たちから人気があって、ひとりぼっちでないはずのホオズキは、優しいからひとりぼっちのわたしに会いに来てくれる。

ホオズキはわたしのところに来てくれると、わたしにお話を聞かせてくれる。



「そうだな、今日は…」

今日もわたしの大好きなホオズキの話が始まる。






「………だったとさ。めでたしめでたし」

今日のホオズキのしてくれた話はおとぎ話だ。人の世から離れたところに暮らすわたしにとってホオズキのはなすものすべてが物珍しい。

それに、ホオズキはとても頭がイイ。いろいろなことを知っているし、困ったときはすぐに助けてくれる。わたしにとって、ホオズキは物語の中でいう王子様のような存在。

人間たちがわたしを避け、寂しく暮らしていた中ホオズキは王子様のように孤独から救い出してくれた。

そして、


「ホオズキ、白雪姫とやらはとてもロマンチックだね。王子様との口づけで目を覚ますなんて……」

ホオズキから聞いた白雪姫というおとぎ話は最終的に姫が王子様からの口づけで生き返るらしく、わたにとって憧れる話だ。



「…クス、メリー、顔を上げて」

いつも、ホオズキの膝の上に座ってお話を聞いているわたしは、ホオズキそう言われて顔を上げた。


ちゅっ


わたしとホオズキの唇が重なった。


「………!!!!?????」


「ハッハ、メリー顔が真っ赤だよ。初めてじゃないのに、ウブだね」

ホオズキの言葉に何も返せない…………照

優しいホオズキは化け物のわたしを、この森の奥の家に通ううちに愛するようになったらしく、大きな立派な花束をわたしに贈り、告白したのだ。

「メリー、いや、メリッサ。僕は君が好きだよ。愛している」

と。


みんなから嫌われている化け物なわたしをいつも楽しませてくれているホオズキに、物語の中の女の子が男の子に抱くような甘酸っぱい想いをわたしは抱いていて、ホオズキに告白された時はうれしかった気持ちよりも驚きのほうが大きくて何も返せなかったことをよく覚えている…。なによりも、ホオズキがわたしを愛していてくれているなんて夢にも思ってなかったから……(夢の中でホオズキと恋人同士の夢を見たけど)。


ホオズキに何もしてあげられないというのに、ホオズキは今でもわたしを愛していてくれる。


毎日森の奥まで来てくれる。毎日わたしの寂しさを紛らわせてくれる。毎日ご飯をつくってくれる。毎日愛をささやいてくれる。毎日優しく口づけをくれる。


ホオズキは毎日ひとりぼっちのわたしの世界を色づかせてくれている。


だから、わたしはいつも口づけをくれるホオズキに


「ホオズキ、大好き!!」


最大級の笑顔と、好きの気持ちを伝えるの!



















×××××××××××××××××××








僕は、眠っているメリーの髪をとかしながらメリーに口づけを落とす。


メリーは、いや、メリッサは僕を優しい人と称すがそれは違う。

メリーはメデューサではない。そもそも、そんな作り物の化け物がいるはずなどないだろう?メリーがメデューサという話は僕が作り上げたほら話、つまり嘘だ。あと、僕が彼女に贈った“メリッサ”という名前は本当の彼女の名前ではない。彼女の本名は“メリー”だ。

なぜ、そんなことをした?


簡単なことだ、メリーを僕が愛しているから。


メリーが僕以外にその声を聞かせることも、僕以外に目を向けるのも、僕以外に姿を見せるのも腹立たしい。だから、僕はメリーを森の奥のここに閉じこめたのだ。彼女に、“君はメデューサだと”嘘をついて。

そうすれば、彼女は僕以外の人間が自分を避けていることを疑問に思わなくなるから…。

メリッサという偽りの名を贈ったのは、彼女を僕だけのものにするため。まあ、僕の制服欲を満たすためだ。


あぁ、僕の愛し方が異常なんて知ってるよ?でも、それの何が悪いの?僕は“メリッサ”を愛していて、“メリッサ”は僕を愛している。このことになんの問題があろうか?



僕は、ここらの人里の長の息子だ。といっても、あの家を操ってるのは僕だけどね。

メリーは僕の住む人里に生まれた僕より年下の女の子だった。父と母と娘の3人家族だった。

僕はメリーに一目惚れをした。

メリーは僕を兄のように慕ってくれた。いつも、「ホオズキさま、ホオズキさま」と僕の後を雛鳥のように追いかけていた。この時、メリーは5歳くらいで人里のものからも愛されていた。


え?なんでここからメリーが”メリッサ“になって森の奥に暮らしているかって?



ある日のことだった。平和だった人里に山賊が押し入った。山賊がおそった家は、メリーの家だった。

その知らせを聞いた僕が周りを振り切って、メリーの家たどり着くと家の中は血塗れだった。


僕の目の前が真っ黒に塗りつぶされた。メリーは死んでしまったのか……。もし、そうなら…

そう絶望したときだった。

まるで、狼から逃れた子羊のようにメリーは振り子時計の中に隠れていた。かわいそうに、 ガクガクと小さな体は震え、桜色の頬は死人のように青白く、大きな目は涙であふれていた。

「メリー!」

メリーは僕と目が合うと、「ホオズキさま…」と僕を呼んで、僕の胸に飛び込んできた。そこで、メリーは泣きながら何が起きたか教えてくれたのだ。


メリーの両親はメリーを守るために、自分たちが山賊を追い払おうとしたのだ。しかし、結果は失敗。メリーは振り子時計の中から大好きな両親が山賊に惨殺されたのを見ていたという。


メリーは僕に話し終えると、大泣きしだして、両親の悲惨な死に方を思い出したようでメリーはバタリと気絶してしまった。

僕は急いで、屋敷につれて帰ろうとした。だが、そこで悪魔の僕が囁いた。

メリーを死んだことにして自分のものにてしまえ

と。

メリーが目を覚ましたら、メリーに偽りをはいてしまえばいい。たとえば、山賊にやられてみんな全滅してしまった。僕とメリーしか生き残りはいない。だから、僕と2人っきりで暮らそう。とか


僕はメリーを人気のない森の中の家(これは亡くなった祖父が建てた)に入れ、鍵をかけた。

“メリッサ”は勘違いしているが、この家は人里離れた家の中などではない。僕の屋敷の地下にある大庭園(といってもほぼ森)の中央にあるのだ。

まず、この大庭園は僕の家の者しか入れない。しかも、僕の家の者は全員が僕の操り人形、意のままに動かせる駒だ。それゆえ、“メリッサ”の住むこの家に僕以外の者はたどり着くことができないのだ。



僕は人里の者に偽りをはいた。

「メリーの家の者はすべて山賊にやられてしまった。僕は、メリーたちの復讐をしたい。どうか、山賊たちへの処罰は僕に任してくれ」と。

自分で言うのもなんだが、メリーに好かれるためにも、人里のものを操り人形にするためにもイイコを演じていた僕の言葉を皆が信じ、メリーたちへの復讐をぼくに任せた。


山賊たちには、死んでもらうしかない。だって、そうだろ?彼らが本当に殺したのは2人だけれど、メリーの分も付け足さなくちゃ。彼らが本当のことを話せば、メリーが生きていることがばれてしまう。僕だけのメリーではなくなってしまう。そんなのは許せなかった。


だから、僕とメリーの幸せの世界を邪魔する奴らは生きてちゃいけない。






幸運なことに目を覚ましたメリーは何も覚えていなかった。

最初は悲しみを覚えたが、僕はイイコトを思いついた。

それが”メリッサというメデューサをつくりだすこと“だった。(ちょうどその時読んでいたメデューサの物語を読んでいた。)


そのおかげで、彼女は僕に盲目的だ。僕に依存している。

思った通りになって、口がニヤリと歪むのを隠すことなどできない。



僕と”メリッサ“の世界を邪魔する者などいない。あぁ、なんて、幸せなんだろう。


そろそろ、僕のお姫様が目を覚ます。そしたら、優しく口づけを落とすんだ。それで、真っ赤になったお姫様に愛を囁く。

お姫様は幸せに違いない。だって、僕という王子様がいるんだから……。




はじめまして?です。佐藤奈津です。今回はヤンデレに挑戦です。以下、どうでもいい説明。



ホオズキ

→今作のヤンデレくん。名前の由来は、植物のホオズキ。花言葉に欺瞞とあったためホオズキに決定。無垢なメリーに一目惚れ。もともとヤンデレの気質があった。メリーの両親が亡くなったことで心の中のストッパーが外れて大暴走(今に至る)。頭が切れるため、家どころか人里全体を操っている。


メリー

→ホオズキの治めるところに生まれた子。ホオズキのことは兄のようにしたっていたが、恋愛感情があったかは不明。(つまり、結局はホオズキにヤンデレられちゃう可能性大だった。)両親が山賊に殺されたところを目の当たりにしたショックで記憶を失う。


メリッサ

→名前の由来は植物のメリッサから。メリッサの花言葉は同情。ホオズキに依存している子。正体は記憶をなくしたメリー。ホオズキに言われたことを信じ、自分自身をメデューサだと思い込んでいる。孤独感の中で助けてくれたホオズキを愛している。


ちなみに、あの後の山賊さんたちはホオズキに、生き残ったものは逃がしてあげると言われ、殺し合いを開始。その後生き残ったものは殺し合い時に負った怪我で死亡。ホオズキは、全員が死んだことを確認してから、町の警察に引き渡した。警察や人里のものたちには、話を聞きに行こうとしたら殺し合い後で助けられなかった。と説明。イイコな人柄だったため疑われず、その後、メリーたちの葬儀が行われた。



ヤンデレ☆ステキ


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