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先行き不安

「嬢様は多分自室にいるだろうから、一応連れて行くけど面倒だから説明は始めさせてもらうわ」

 門番は先導しながらも、後ろをかえりみることなくしゃべり続けた。


「嬢様の趣味は変なものを拾うこと。一番古い拾いものじゃ、俺。凶悪なのだと、薬士と機工士かな。あいつらはさすがの俺でもやばいと思う。あいつらは知識欲にまみれた変人どもだ。人間さえもモルモットと思ってる。嬢様もそんな感じがあるから、好き勝手させてるのが、なお悪い。多分、その腕を見る限りお前、あの薬士の薬を使われてると思うぜ。医療の発展に犠牲はつきものだとか言い切る奴だから。お前の腕が完治しなかったら、機工士がロボット化は男の夢だとか言いだして、完治しなかった場所はもとより、多分両腕ぐらい機械化されると思うから気をつけな」

 ひひひ、と自分で言ったことに、一人、笑ってている男に二人をおいてけぼりにしていた。


 門を通り抜けると開けた場所があり、そこには武具などが置かれていた。いかにも訓練所と言った様子で男たちが汗水を垂らしながら動いていた。

「で、ここが、明日からお前たちの訓練所。まぁ俺も含んで戦闘狂がいるから楽しみにしておけよ。なんなら、今からでもいいけどな」

 二人の様子を気にする気もなく、男は延々と話し続ける。いきなり一度で言われても、二人の頭には入ってこないのは当然だが、その内容があまりに人間を人間とみなしていないようなロードのひどさと、そのおかしな主人に仕えるだけあって、変人ばかりが勢ぞろいしているということにサムとイチは城に来たことを早くも後悔し始めていた。


「まぁ、なんだかんだで嬢様には味方が少ないから、おまえたちの活躍を期待しているよ。そのうち分かるだろうけど、この城には嬢様派と当主派で別れていて、俺たちは劣勢だ」

 真面目な顔つきで男は言った。さきほどまでのちゃらんぽらんで陽気な男からの豹変にサムは巻き込まれる騒動に少し怖気づき、イチは子どもならではの無知でもってその言葉に動揺することはしなかった。

「なら、俺たちは何のために雇われた」

 サムはイチよりかはいくばくか長生きしているもののそのような権力争いにはかけらも関わったことはない。せいぜい、酒場で酔いどれどもがここは俺の縄張りだと主張をし出し、乱闘になるといった極めて低レベルな争いだ。だから、自分が城のお家争いに巻き込まれたことへの疑念を短直に切り出した。

「それは分からないな。すべて嬢様の気分だから」

 男はさっきまでの真面目な雰囲気から元通りのてきとうな男の顔に戻りやれやれと首を振った。

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