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おにぎりたちのよるのかいぎ

作者: 安曇ミナミ

拙作「魔女と孤児」の第7話に登場する絵本の全文となります。

https://ncode.syosetu.com/n7341kb/

まっくらな おべんとうばこのなかで、

おにぎりたちの よるのかいぎが はじまりました。


しーん。


のりの かいちょうが、ちいさなこえで いいました。

「さて、ほんじつのぎだいは……“ぐのばらつき”について、です」


すると――。


「まったく、なんでこんなに すくないのさ!」

ツナマヨが むくっと おきあがって いいました。

「おいらなんて、すみっこに ちょろっとしか はいってないよ!」


「そうよ、これじゃあ わたしの ぷりっぷりが いきないじゃない!」

と、めんたいこの おねえさんも ぷんぷんです。


「ぐだくさん党として、わたしたちは こうぎします!」

「わたしたちのうちが、もっと たっぷり はいらなければ、ふまんです!」


ざわざわ。

ざわざわざわ。


まんなかにいた こんぶさんは、ぽりぽりと うすくちソルトをふきながら、

「まあまあ、どっちのきもちも わかるよ」

と、なまぬるい ちゅうりつは。


のりのかいちょうは くるくるまいて ためいき。

「さて、どうしたもんでしょうねぇ……」


すると。


ぽつん。


すみっこの すみっこで、ちいさな こえがしました。


「……あの。ぼく、には なにも、ないです」


みんなが ふりむくと、そこにいたのは――


まっしろな、ぐの なにもない、“しろむすび”でした。


「ぼくには ツナも こんぶも ないけど……」

「でも、ぼく、みんなのおなかを いっぱいにする ちからは あるんです」


しろむすびの ほっぺに、ひとしずく。

ぽろりと しずんだ しずく。


しん……


そのとき。


ツナマヨが ちいさく つぶやきました。

「……おいら、しろむすびに、ちょっと はいってみたかった」


めんたいこが うなずきます。

「うん……ちょっと、しんけんな しろに、まざってみたいとき、ある」


のりのかいちょうが パチン!と ひらめいたように、いいました。


「じゃあ、こうしましょう! これからは――」



「ぐは、にしゅるいまでOK!」



ツナマヨと めんたいこが ハイタッチ。

こんぶさんも うすくわらって、

のりのかいちょうの はしっこが、ぱたぱた おどっていました


しろむすびは、

ちょっぴり ほほえんで、

やさしく ふくらんで、こう いいました。


「……みんなで、おいしくなろうね」

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