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晴れのち雨

雨というのは時に残酷で時にずるい。


こんなにも人を世界から遠ざけるというのにじわじわと、それこそ絵の具が水に滲んでいくようにこちらに寄り添ってくることもある。

この世界が自らの気持ちを表し、このもやを洗い流してくれるとさえ勘違いする。



夢を見ていた。



とてもとても儚い夢。




窓を打つ音に気づく。


「降ってきちゃったね。」


「えーー、最悪ー」


「今日どうする?」


「んー、外でられなそうだし今度にしよっか、残念だけどー」


「そうだね。」


「もー、せっかく途中までメイクしてたのにー」


「どこか室内の場所探してみる?」


「んやいいよ。その代わりさ!今度の花火大会!一緒にいこーね?」

そう言って彼女はメイク道具をしまう。


「もちろん、そのつもりだよ。」


やった、と言ってくしゃっと笑う様子につい見惚れる。目が合って咄嗟に話題を考える。


「今日は2人で料理でもしようか。」


「いいねそれ!何作る何作る??」


「そうだなー、雨だしカレーとか?」


「え、なんで雨だとカレーなの?」


「え、普通そうじゃないの?」


そうなのー?と言ってまた彼女は目を細めて(わら)った。


「あ!じゃあシチューとかは?」


「ほとんど一緒じゃん。」


「全然違うでしょ!シチューは体が温まるの!」


「カレーだってそうだと思うけどなー。ま、確かにシチューもいいね、作ろうか。」

そう言って立ち上がると同時に彼女はゆっくりとソファに寝そべり猫のように伸びをした。


「あれ、まだ牛乳って残ってたっけ??」


冷蔵庫を開け、牛乳パックを手に取る。軽い。


「いや、ないね。」


「えー、どうしよう、、」


「やっぱりカレーにする?」


「んー、隠し味的な感じでヨーグルト使ってみない?!」

発明したぞと言わんばかりに彼女は眼を輝かせた。


「それ絶対隠れないやつでしょ。」


「おもしろそうじゃん!」


結局その日、何度か本当にこれで会ってる?などと言いながらヨーグルトを使ったシチューを作った。



その味を今でも覚えている。


七月某日、空に花が咲く予定だった日、彼女は雨の中に消えた。



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