準男爵に
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祝賀会の日は騒がしく始まった。
国の威信をかけてなのか、朝からラッパの音が王都中に鳴り響く。
脅威と戦える力を持っていることを周りの国からお祝いに駆け付けた特使たちに見せつけるように。
何かあった時、頼れるのはこの国なのだと、だからこそ王子の婚約も問題ないのだという様に。
それを各国から招かれた特使たちがどう思ったのかはナナエルには分からない。
けれど、宮殿で始まった、暗黒竜討伐の祝賀会の一連の行事はとても華やかなものが多かった。
ここで王子の新しい婚約者のお披露目もあると言われている。
まずは、ナナエルたち国の功労者への叙爵式が行われた。
これからの計画をナナエルは父たちから聞いていた。
この叙爵にナナエルにとってあまり意味が無くなってしまったことも知っていた。
けれどナナエルは自分で何かを成し遂げられたという証拠が一つできることは素直に嬉しいと思っていた。
そこに政治的な思惑は無いとは言わないけれど、少なくともナナエルは無能ではないと、公爵家の出来損ないではないと証明できている様でそういう意味では嬉しかった。
今日のドレスは水色に差し色で白が入ったシンプルなドレスだ。
叙爵式にフリルやレースは似合わない。
厳粛な式にふさわしいデザインのドレスをナナエルは纏っていた。
腕には義姉から譲ってもらった母の腕輪。ネックレスとイヤリングはウィリアムがドレスに合わせて贈ってくれた水色のものだ。
彼のチェーンとお揃いの様な石が入っている。
式に宰相はいなかった。
彼の息子が代理として参加しているという訳でもなく、王族派のパッとしない貴族が、叙爵者たちの功績を述べていた。
侯爵家には陞爵の話は無かったそうだ。
そういう意味でももはや功績というものは何なのかと思わされるものだった。
何人かに続いてナナエルの名が呼ばれ、功績を読み上げられる。
海外の特使たちがナナエルに視線を寄せているのが分かった。
それは蔑みのものではなく、将来の商談相手に対するものだ。
今のナナエルならそれが分かる。
ナナエルは書状を受け取りにこやかに周りの人々に向かって微笑んだ。
ナナエルの美しさにはますます磨きがかかっていた。




