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はげるメッキ

※王子サイド視点

* * *


「一体これはどういうことですか?」


滅茶苦茶になったナナエルの執務室を見て宰相はため息をついた。

それから積み上げられた書類を何枚か確認した。


「第一文官室の室長を呼びなさい」


部下にそう命令した。


「この中には一部の者しか見られない極秘扱いの書類もございますが」

「お前には関係ないだろう」

「それでは、私は陛下にご報告するのみでございます」


宰相はため息をついた。

たかが婚約者候補が使っているという部屋であるここには到底雑用とは思えない書類が山のように重なっていた。


宰相の家と同じくらいの権力を持っているもう一つの公爵家の令嬢がこんな目にあってるとは想定していなかった。

王家に娘をおくるという栄誉を賜ったも同然だというやっかみが無かったとは言えない。


けれど、いくら何でもこんな押し付けられるだけの仕事を押し付けた上、文官たちまでもが見て見ぬふりをして更に自分たちの仕事さえも令嬢に押し付けているとは思わなかったのだ。


女官でも文官でも誰でもよかった。

ただ、一言現状を報告してさえいればこんな状況にはならなかった。

そんなことを後悔してもどうしようもない。

公爵令嬢は病気療養を理由に引きこもり、公爵夫人は極限られた付き合いの中噂をふりまいている。

それはそれは信頼できる筋のみを使って確実に噂を広げるつもりなのは明白だった。


「父上を巻き込む様なことか!!」

「ではこの現状をどういたすおつもりでしょうか?」


本当に公爵家を敵に回してどうするつもりなのか。

そう聞いたつもりの宰相は王子の返答に大きなため息をつくしかなかった。


「私の結婚のための下準備をしていたのだ。

男爵令嬢との真実の愛を市井に広め国民の支持を得、そして円滑に彼女の養子先を探す準備をしていた。

王の最も大切な仕事は世継ぎを残すこと!

そのための準備に勝るものは何もない」


このままであれば、恋人の養子先の心配どころか、この国の勢力図が変わってしまいかねないというのに何を言っているのだと宰相は思った。

そして勢力図について思考を巡らせた瞬間、この状況で何故魔術師団長の家門はこんなにも静かなのだ、と思い至った。

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