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繋がる二つの伝説 『聖女の涙』完成間近

ハッピー先生。いくらなんでも無理が過ぎる。


「あらあらどうしました皆さん。静かになってしまって。


別に冗談を言ってるつもりはありませんよ。


出来るなら守り神を見せてあげたい。


しかし今どこにいるか。大河さんが落ちた場所が彼女の住処だったのでしょう。


もしかしたらマウントシーに危機が迫れば姿を現すかもしれませんね」


本気らしい。どうもここに居る者の言うことは信用ならない。


それは副村長も管理人もハッピー先生も含めて。



「本当のところなぜあなたを助けたのか分かりません。


ただ似ていたのではないかと考えています」


似ている? 一体誰に似ていると言うんだ?


そして似ていたからどうだと言うんだ? まったく理解できない。


「大河さん。あなたはこの島を開拓した当時の彼に仕種、顔つき体形。


声が似ていたから彼女も懐かしさを覚えた。それが真実なのではと思っています。


だってあなたは彼に本当にそっくりなんですもの。私がそう感じたから」


「ハッピー先生。俺…… 」



「はい。脱線してしまいましたね。ではまとめるとしましょう。


この伝説に登場する獣は大河さんの恩人であり『聖女の涙』の鍵となっています。


もうお分かりでしょうが『聖女』とは『守り神伝説』に出てくる獣のこと。


そして『聖女の涙』とはこの守り神である獣の血で作られています」


ハッピー先生は紅茶のお代わりを入れて一息つく。


「お神酒と獣の血、最後に蛇の毒を一滴垂らすと完成」



「そうだ」


ドルチェが叫ぶ。


「あの時の父と源さんの話もそんな感じでした」


あの日の記憶手繰り寄せる。


あの惨劇が起きる前日。


今日も明日もずっと続くと思っていた日常。


その日常が突如バラバラに崩れた。


たぶん父もこの世にはいない。


確かめようとも思わないし確かめる術もない。



作り方。


「お神酒と獣の血を専用の器に入れちょうど半分になるように混ぜ合わせる。


今ここにそのお神酒があります」


興奮したハッピー先生がお神酒を高く掲げる。


お神酒は専用の容器に移される。


今見せつけられているのはあの伝説の『聖女の涙』。


完成するまでの工程を見学。


贅沢な時間。これは本来特別に許された者以外決して見ることが出来ない。


そう言う意味では神秘的で貴重な体験。


「先ほども言った通り『聖女の涙』には獣の血が必要です。


この容器を満たすほどの量の血が必要になります。


その血は今のところまったくなく現状では『聖女の涙』は作れません。



えええ……


騒めき始める。


せっかく目の前で『聖女の涙』ができるところを見れると思ったのに残念。


「大河さんの望みを叶えるには獣から血を頂くしかないのです。


ただ一つ問題が。獣はどこにいるか分かりません。


マウントシーに生息してるとは言われてますがどこかまでかは特定できません。


いえたとえ特定し発見できても血を頂くなど不可能な話。


長々となりましたが結論を言いますと『聖女の涙』を作るのは不可能。


どうにか血を得ればいいのですがね。本当に残念です」


身も蓋もないことを言うハッピー先生。



「何とかなりませんか? 」


「誘き寄せるとか? 」


「だから伝説なんですね」


ブリリアント、シンディー、ドルチェが順に意見を述べる。


エレンは興味なさげに欠伸を一つ。


一方アリアはと言うと沈黙を保っている。


彼女も今は微妙な状況。


俺に知られ、もしかしたら皆にも伝わってると恐れたのだろうが。


だからただ空気のように突っ立っている。


少しは信用しろよな。他の奴に話す意味もハッピー先生に報告する必要もない。


確かに交渉は決裂。敵視するのは分かるがもう少し自然に振る舞えまないものか。


今だって俺が視線を送れば睨み返す始末。



「大河さん」


ハッピー先生がお願い。いや命令をする。


「あなたは一度出会っています。守り神を何としても見つけ出してください。


そうすれば必ずや『聖女の涙』は私の手で完成させます。そこはご心配なく。


出来たら他の皆さんも協力してあげて下さいね」


「はーい」


「見つからなければ? 」


冷静なエレンは遠慮なく問う。


「その時は潔く諦めてください。そもそもなければ作れません。


伝説とはそう言うものです」


「分かりました。必ず俺の手で」


出来るだけ大きな声で。こうすればハッピー先生の信頼も得られるはず。



ただ俺にだってどうしていいか分からない。


まさか再びあの振り返らずの橋から突き落としてもらうか。


誰に? 適任はブリリアントか。


何でも言うことを聞いてくれそうだ。


「そうですか。では大河さんお気をつけて。もう時間はありません」


「タイムリミットは祭りが始まるまで? 」


「ええそうです。あなたが誰を助けようと何をしようと勝手です。


ただそれが可能なのは祭りまで。そこだけお忘れなきように」



皆が退出するとハッピー先生は念の為に最後の材料集めに奔走する。


毒蛇を生け捕りにする。


蛇もただでは捕まってくれない。


噛みついてくる。これに噛まれたら最悪死もある。


血清があるので最悪の事態は避けられるはずだが発見が遅れれば現実のものに。


ふうもう疲れた。


何とか生け捕りに成功。


これで最後のピースは揃った。後は獣の血を待つのみ。


遠くの方から雨雲が広がる。これは嵐の予感。


祭りに影響がなければいいが。


                続く

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