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夢見る少女A

昼が過ぎ陽が落ちかけた頃、雲が広がり雨雲だけでなく雷雲まで見られるように。


島民の多くは足早に家路へと。


しかし少しだけ持ち直し雨がいつ降り出してもおかしくない不気味な天気。


ただなぜか空が暗くなっていくばかり。


その後雨は七時過ぎにぽつぽつと降りだし八時には大量な雨が大地を浸した。


遠くの空で雷が鳴り風も強まってきた。


この島では一日の寒暖差が激しくスコールになることもある。


だがここまでとなると夕立か。年に数回あるかどうかだ。



島の右手側、要するに東側の通称「マウントシー」でも大量の雨が降っている。


小さな明かりを頼りに進んでいく者がいた。



マウントシーは島にある小さな山で半日もあれば往復できる。


一日二本、朝と夕に下と繋がるバスがありここの者が不便に感じることはない。


もし島で買い物をしたいと思ったら島を循環するバスに乗り換えればいい。


停留所が近くにあるので問題ないはずだ。


山の上に見えるのは大きな洋館と山小屋。


この山小屋が登山時の目印として機能している。



今山小屋に向かっていく黒い影が一つ。雷の光を受けて浮かんでいる。


影はぬかるんだ山道をどんどん駆け上がっていく。


足を取られながらもゆっくりと息を整え着実に上へ。



急な天気の悪化に雨具もなく濡れながら絶えず後ろに気を配り雨に向かっていく。


しかし雨はなおも降り続け止むことはおろかだんだんその量を増していく。


風も強くなりいつの間にか直角に降っていた雨が斜めに攻撃をしてくる。


最後には風が強まり横へと向きを変え非常に危険で過酷な状態となっている。


自らの甘さに後悔しながらしきりに振り払う。


遠くに見える建物に向かい最後の力を振り絞って走る。



ハアハア

ハアハア


もうダメだ。息が続かない。このままでは危ない。


あと少しのところで視界が悪くなり息も苦しく前から迫ってくる雨が進路を塞ぐ。


後ろを向き凌ぐが時間の問題なのは明白でどうにもならない。


早く何とかしなくてはと焦るほど脳の回転が鈍り手足が動かずついには気を失う。



「夏に昔住んでた場所に久しぶりに帰ることにしたんだ。どうついてこない? 」


「いいでしょう。私たちの仲なんだからさ」


「分かった。それでは予定が決まったら教えてね」


「ほら大変だって言ったでしょう。


飛行機と電車にバスを乗り継ぎおまけに一泊してから船に乗る。


物凄く時間がかかるんだから」


「他に行き方がないかですって? ある訳ないでしょう。


 島なんだから目的地まで自家用ジェットで飛ばせばいいんじゃない。


ああダメだ。ヘリポートしかない。ヘリコプターを手配してね。


ふふふ…… それから…… 」



彼女の声が聞こえた気がする。


いつだろう? いつ以来かもう覚えていない。


こんな優しく微笑む彼女を見るのは久しぶりだ。


「ねえ早く。置いて行くよ。ふふふ…… 」


やっぱり夢か。そうだよな。今直面している世界は地獄だ。


彼女はおろか人などいやしない。


こんな地獄に俺を落としたも者を許さない。


絶体に復讐してやる。絶体にだ。



うん?


目が覚める。


薄っすら目を開け現実に引き戻される。


なぜかベットに寝かされていた。着替えも勝手にされている。


お節介な者がやってくれたのだろう。一応は礼を言うべきだろうな。


ベットから降り部屋を歩き回る。


慣れて来たので廊下に出てみる。


察するにここは二階らしい。


カーテンを開け外を見る。


真っ暗だがどうやら雨は上がったようだ。


ただ完全にとはいかないのか雨の音も幽かに聞こえる。


大雨が収まり一安心。危機は回避できた。


どうやらここは目的地周辺らしい。


目印の山小屋に到着。


あれから数時間が経ち天気も落ち着いてきたようだな。



明かりをつけ再び廊下に出ようとした時もう一台のベッドに少女の姿が。


苦しそうに寝ていることに気付く。


この子は? 俺と同じように寝かされている少女に興味を抱いた。


年はまだ若そうだ。俺よりもずいぶんと歳下に見える。


まだガキだな。


これは俺の求めている者ではない。


興味を失う。


                  続く


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