六話 やはり野菜をアックスに斬らせました
六話 やはり野菜をアックスに斬らせました
洗った野菜を切る段階になり、またアックスへの圧力が強まった。
「さあ」
「さあ」
ライトハンドとレフトハンドがアックスに迫る。
「アックス」
ダメ押しでエスパーダは期待を込めた眼差しを向ける。要だったらやってしまうだろうかわいさだ。それをアックスに向けているのがモヤモヤするけれど。
「分かった。エスパーダがそう言うなら」
アックスは折れて、剣を抜いた。
ライトハンドがにんじんを投げると、素早くアックスが剣を動かす。乱切りになったにんじんがテーブルの上に落ちるとレフトハンドがひとかけらずつ拾う。
見ているエスパーダは投げるのをやってみたいようだ。しかし近付こうとしたら、黒星に止められた。
「お前はこっちだ」
黒星が持っていたのは要が洗ったじゃがいもだ。皮を剥けということらしい。
「うー」
エスパーダは不満の声を上げるが、無視されていた。すぐに要に要へ助けを求めてくる。しかしじゃがいもは小さくて要には皮を剥ける自信がない。要が謝る仕草を見せるとエスパーダは膨れて、スミス姉妹にもらった包丁でじゃがいもを剥き始めた。
「よーし、今度は玉ねぎだ」
「いくよ、アックス」
ライトハンドが玉ねぎを投げた。にんじんと同じようにアックスが斬り刻んでいく。
「う……」
何度かやっているとアックスが目を手で覆った。玉ねぎのせいで涙が出てしまったようだった。