五話 野菜を洗わせました
五話 野菜を洗わせました
アックス達は野菜を持って戻ってきた。リュックを置いていったはずだが、アックスは別のリュックを背負っていた。
「持ってきたぞ」
「さすがに全部は持って来させなかった」
「ご苦労、ご苦労」
テーブルに登ったアックスがリュックから野菜を取り出していく。じゃがいも、にんじん、玉ねぎ。どれも人間の物より小さい品種で、それぞれ十個じゃきかないほど大量であった。
「肉は私達が切ったから、野菜はアックスがやってよね」
「腰のもんは飾りじゃないんでしょ?」
ライトハンドとレフトハンドの物言いにアックスは憤慨する。
「野菜を持ってきただろ。それにこれは包丁じゃない。野菜は切れない」
「みんなで作ってんのよ。一人だけワガママ言わないの」
エスパーダがそう言うと黙ってしまう。三人で掛ける同調圧力という名のプレッシャーに負けそうになっている。
すると黒星が割って入った。
「切る前に洗わないとダメだ」
確かに野菜は土まみれで、洗わないと食えたものではない。
「誰が洗うんだ? こんな大量の野菜」
アックスはイヤだと表情で訴えている。
黒星も口には出さないが同じ考えのようだ。
スミス姉妹は論外。
残ったエスパーダは自分だとは言わずに要を見上げた。
「お願い」
要が野菜を洗った。