最終話 片付けるまでが料理ですと言われました
最終話 片付けるまでが料理ですと言われました
小人達が帰った後、食器と鍋が残された。
エスパーダはやり切った感を出して、スマホをいじってる。
「エスパーダ、食器と鍋を洗おう」
要の提案にエスパーダは露骨にイヤな顔をする。
「えー、ヤダ」
「洗って片付けるまでが料理だよ。エスパーダ」
「それ、黒星も言ってた」
「俺は弟子だから」
「そうだった。でもそしたら黒星がやっていってくれれば良いのに」
文句を言いながらも、ゲームを切り上げて要とともに台所へやってきた。
要はエスパーダ用に洗面器を用意して、その中にさらにお椀を置く。
「私、水浸しにならない?」
「すぐに風呂に入れば問題ないよ」
「私だけリスキーじゃない?」
「分かった。俺も一緒に風呂に入る」
「スケベ」
エスパーダは一旦ジャージに着替えて、洗い場に戻ってきた。お椀に水を入れて、小人達の皿とレンゲを洗う。
要はフライパンと皿とスプーンを洗った。食器洗いに集中して二人はあまり言葉をかわさなかったが、充実した時間に思えた。
「やっぱりびしょびしょだぁ」
エスパーダから洗剤を付けた皿を受け取った要は、なぜだろうと思うほどずぶ濡れなエスパーダに釘付けになった。普段感じない色気を感じたのだ。
「見過ぎ!」
エスパーダは胴体を隠すように身を縮め、要を睨んできた。
要は腰を屈め、小人達の皿を洗う。
「要、風呂に入ろう」
要が洗い終わったのを確認してエスパーダは言った。
「うん」
要の鼻息が荒かったことは言うまでもない。




