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6話 土魔術師、神界に転移し神様と対面する

今日はここまで


目を開けると椅子に座っていた。


「よく来てくれた。アルス=タードニアスよ」


声をかけられた。


髭を生やしたご老人だ。不思議な雰囲気を纏っており背後には巨大な城が見える。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッッッ!!


ひいぃっ!?


ご老人の背中からとてつもない覇気が全速力で浴びせられる。


「むむ? す、すまない コレを出しっぱなしにしてると普通の人間は耐えきれずに死んでしまうらしいからな。うっかりしてもうた。わっはっは」


し、死ぬ!?

それはうっかりで片付けれる問題なんですかね!?



「さっきのは神気力と言ってな、簡単に説明するとこの大きさでどの地位の神かを判別出来るんじゃ。

何も持たない人間が神気力に当てられると、身体が適応出来ず魂までもが消滅してしまう。全て吸収し【半神】と成り上がった人間が1人居たが……あれはイレギュラーな化け物だ、もうこりごりだ」


「あのー、もしかしてそれ勇者様じゃ? 」


「こほんっ、いかにしてここに到達したのかね? 」



強引に話を変えられた。

ご老人の目には絶対にその話はせんとの強い意志を宿していた。


タブーな質問だったかもしれないな。……ただトラウマなだけかもしれないが。


「僕がここに来たのはーーー」


事の顛末を説明した。


「奇跡……じゃの」


「はい? 」


「Sランクダンジョンから、しかもレアアイテム部屋に選ばれただけでも十分奇跡なのに、そこから更に神界を引き当てるなんて奇跡以外の何物でもない」



どうやら僕は奇跡とやらを引き当てたらしい。だけどルノアは何処に転移したんだろう。


というか……最後なんかとんでもない言葉が聞こえた気がする。

い、いやただの聞き間違いなはず。


「お主は神界に転移してきたんじゃぞ」


良かった、やはり聞き間違いだったか。


「ですよね。神界な訳ないですよね。あはは」


「いやじゃから神界じゃって」


………………。


…………。


……。


はい!?

仮にここが神界だとすればこの老人は神様か天使しか選択肢無いんですけど!?


目が合う。

老人はニカッと笑い親指を立てる。


「察しが良いな、神様じゃぞ! 」



対照的に僕はどんどんと顔色が悪くなる。


一生分の運を使ってしまった……。


「話し相手をしてもらったお礼に願いを1つ叶えてやろう」


「なんでも、ですか」


「そうじゃ。スキルが欲しいでもレベルをカンストにでも、ハーレムが欲しいでも、職業を変えたいでも、なんでも良いぞ? 叶える願いを増やして、だけは無しだがそれ以外だったら全てオーケーだ」


真っ先に【勇者】の単語が浮かんだ。

踏みとどまる。

神様の力なのだから本当に勇者になれるんだろう。だけど世界を救う勇者をこんな簡単に決めて大丈夫なのか。

他に勇者が居たのならその人の人生を奪うのに等しい。


なによりーー僕は自分の力で勇者になりたいんだ。



だから、


「レベルが上がるようにして欲しい、ですかね」


「え? 」



神様のその状態のえ?が出ちゃってるよ。

そんな驚くようなお願いだったかな。


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