4話 土魔術師、慌てる
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ルノアの《鑑定》でここがかなり下層であることが判明し、最下層のダンジョンボスを倒すか否かを話し合っている。
「マスターお一人でダンジョンの攻略に? 」
きょとん、と首をかしげる。
Fランク冒険者が単独でSランクダンジョンに潜ってるのが不思議なのだろう。
【土魔術師】は本来仲間のサポート役だ。相手の足止めをしたり、罠の調査をしたりと。
だからルノアの疑問はもっともだ。
「う、うん。1人で」
嘘をつくことに後ろめたさを感じながらもはぐらかす。
全て話せばルノアは僕のためにゴーミさん達に復讐をしてくれるのだろう。
復讐をしたくないと言えば嘘になる。
もしルノアが来てくれなければ今頃肉塊になっていたはずだ。
殺人と遜色ない行為。
だけどこうなったのは僕が弱いからに他ならない。
「そうですか……」
じーっと見つめてくる。
「やっぱり何か隠してませんか? それともマスターに私なんか不要ですか? ……」
す、鋭い……。って今にも泣き出しそうなんだけど!?
「ちゃんと言うから泣かないで! そ、それに! ルノアは不要なんかじゃない。大切な仲間だから」
「マスター……」
そして僕はあったことを包み隠さず全て話した。
「お辛い中話していただきありがとうございます。先ずはこのダンジョンを早急に攻略します。地上に出たらマスターは1日休憩を」
ルノアの目がキラリと光ったのを見逃さなかった。
「僕が休憩してる間に何かしようとしてない? 」
「? そのSランクパーティーとやらを皆殺しにするだけですよ」
や、やっぱり。今すぐ辞めさせないと。
「だめだよ! ルノアが捕まっちゃう。それに復讐するにしてもそれは、自分の手でやりたい。だからーー」
ルノアに手を差し出す。
「僕に修行をつけてください」
「承知致しました、私が身に付けたスキルの全てを教えます。
……とりあえずこのダンジョンは私が」
「うん、ありがとう! 」
一晩仮眠を取り最下層に向けて準備を進めた。