3話 土魔術師、記憶を思い出す
連続投稿3つ目。後は夕方頃に投稿予定です
「実は一番最初にマスターが作ってくださったゴーレムが私なんですよ? ……覚えてないとは思いますが……何年も前ですし」
悲しそうに俯く。
うーんと……僕が最初に作ったゴーレムは確か5歳の頃だったっけ。
絵本に載っていた勇者の技を見よう見まねでしたら出来ちゃったんだよね。
最初はお腹辺り程のミニミニサイズのゴーレムだったんだけど、少しずつ大きくなって……。
「うっ……」
激痛が走り顔をしかめる。
「マスター! 大丈夫ですか!? 」
「ちょっと頭痛がしただけだから気にしないでください」
ほっとする仕草も人間と変わらない。
本当にこの人なんだろうか?茶色いゴーレムが綺麗な銀色のお姉さんになるなんて信じられない。
どこをどう見ても人間だし。
「種族上はゴーレムになってるみたいですが人間とは遜色ないかと」
そういうもんなのか。
「もう1つ質問してもいいですか? 」
「なんなりと」
目線を僕に合わせてくれて、話しやすいように配慮をしてくれた。
そのせいで服の合間から見ちゃいけないものがチラッと。
うぅ、顔をあげられない。
「昔作ったゴーレムってのはまだあまり実感が無いのでなんとも言えませんが……どう見てもお姉ちゃんは人間なんだけど」
「マスターが強く願ったからだと思われます。……私がマスターと触れ合いたいとあの時から思い続けたのもあるかもしれませんが」
「お姉ちゃん……」
多分、いや間違いなくお姉ちゃんは僕が作ったゴーレムだったのだろう。
名前は確かーーー
ずきり。
また頭痛が起きるが考えるのを辞めない。
何か……何か大切な事を忘れている気がする。
激痛に耐えていると『誰かの名前』を思い出した。
上手く声が出ず掠れた声でなんとか言葉を発する。
「ーーーるのあ……」
「……! 思い出して……頂けたのですね」
そう名前を呼んだ途端、忘れていた記憶が次々と浮かんでくる。
どうして忘れてたんだ。
ずっと心の支えで、モンスターや魔物から守ってくれた銀色のゴーレム。
ダンジョンで殺されてもう二度と会えないと思ってた銀色のゴーレム。
自分の不注意、自分の力不足、傍観することしか出来なかった無力感、必死に努力しても何も出来ない無能、そして【崩壊】。
いつしか心の奥底に封印した【トラウマ】が脳になだれ込んでくる。
「るのあ……ずっと……ずっと、会いたかった……また、会いに来てくれて…………ありがとう。助けてくれて……ありがとう……ああああああああああっっ……」
「どんなモンスターにも負けないくらい強くなって戻ってきました。もう……絶対に! マスターを悲しませるマネはしません」
そう言うと優しく抱きしめてくれた。
このぬくもりをもう二度と失わないよう僕も力をつけたいーーそう決心した。
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