2話 土魔術師、美少女ゴーレムを生成する
連続投稿2つ目
目が覚めると薄暗く不気味な部屋に横たわっていた。
ここは何処なんだろう……?
確かゴーミに追放を言い渡されて……それで……殴られ意識を失ったんだっけ。
となるとここは死後の世界なのかな。誰も見当たらないし妙に静かだし。
ははっ、僕らしい最後だったな。
意識を失う直前に何か言ってたような。
断片的に記憶を思い出していき、繋げる。
ーー「Sランク指定のダンジョン【ヘルド】にでも放り投げようぜ」
もし、もしも聞き間違いでなければ、幻聴で無ければ、ここは……ここは……。
ダンジョン……なのか?
凄まじい速度で起き上がり、ぺたぺたと身体を触ったりほっぺたをつねる。
あれ、痛くない。もしかして死んでない!?
よ、良かった……。
へなへなと地べたに座り込む。
グガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
「うわっ!? 」
喜びを掻き消すかのように、モンスターの唸り声が響く。
そうだった、死んでないとはいえここはSランクダンジョンだ。気を抜いてはけない。
ここで死んだら元も子も無くなっちゃう。
ドッ……ドッ……
モンスターの物と思われる足音が近づいてくる。
どうか弱いモンスターでありますように……。
そう願いながら恐る恐る振り向き、正体を確認する。
が、そんな祈りは届かず巨体の魔物が居たのであったーーー。
ダークオーガキング、その名の通りダークオーガ種族の王。
一般的なオーガキングの推奨ランクがAなのに対して、ブラックと名付くモンスターはSランクに位置づけられる。
Fランクの僕が戦っても瞬殺されるだけだ。
まずは生きてダンジョンを脱出する、これが第1の目標だ。
キングの後ろからオーガがなだれ込んできた。
う、嘘でしょ……?これじゃ目を掻い潜って逃げれないじゃないか。
やっぱり死ぬ運命だったのだろうか。
戦意喪失を感じ取ったのか、ニヤリと笑いこちらにゆっくりと近づいてくる。
腰が抜けたのか上手く立ち上がれず、迫り来るダークキングオーガを見上げ震えることしか出来ない。
そして、剣が振り下ろされるーーー。
「ああ、もうどうにでもなれ! 」
けど、絶対諦めない!
いつも使ってきたあの魔法で。
バカにされたあの魔法で。
慣れ親しんだ言葉を発する。
「【ゴーレム生成】ッッ! 」
コオオオオオオオッッッッッ!!!!
えっ。
突き出した右手から尋常じゃないほどの眩しい光が放出される。
思わず目を瞑ってしまう。
「少し黒くなった小鬼如きがマスターに剣先を向けるなど万死に値するのです! 」
少女の声が聞こえた。
直後何か地面に落ちる音がした。
な、何が起きたんだ……?
「もう……いつまで目をつぶってるんですか? 私のお顔をちゃんと見てください! 」
目を開けるとそこには銀髪の女の人が居た。
凛としているが少し幼さの残る顔に透き通った綺麗な銀髪。胸は……ぺったんこで僕と遜色ない。
「ま、マスター!? いくらマスターのお言葉でもそれは怒りますよ!?」
ぷんすかと顔を赤く染めこちらを指さしてくる。
さっきからマスターマスター言ってるけどマスターって誰のことだろう?
それより、
「お姉ちゃんが助けてくれたの? 」
「マスター。何か勘違いされてるようですが私はマスターによって作られたゴーレムですよ? 」
え……。
「えええええええええええ!? 」