16話 土魔術師、宿に向かう
1章〜帝王の宿編〜スタートします!
夕方だからか人通りはまばらで、宿に到着するまでも数人としかすれ違わなかった。
お金には困ってないしどうせなら最上級の宿に泊まろうと、少ない通行人に聞きながら、それと思わしき場所に着いたのだが……
そこに会ったのは普通の宿だった。
エルアスの寝泊まりできる一般的なのと遜色ない。
仕方ないしここでいいか。外見がそうなだけで内部は良いかもしれないからな。
「じゃあ皆ここでいいかな? 」
確認の意味で尋ねる。
「私は構いません。しかし……」
「アルス君と一緒の部屋なら何処でもいいよ! けど……」
「「最上級だけど最下級、これの意味が気になります」」
うーん……確かにそれは僕も思ったんだよな。
通行人は口を揃えて「機能的に言うなら間違いなくこの街で最上級だ。だけど最下級とも言える」と言っていた。
気になって詳しく話を聞こうとしても、話してくれなかった。
今になってどうしようかと悩んでいると背中をトントンと叩かれた。
後ろを振り向くと屈託のない笑顔を見せる少女が居た。
年齢は6~8歳くらいだろうか。
「どうしたの? 」
「お兄ちゃん達宿探してるんでしょ? だったら私のお母さんの宿に泊まってよ! 」
少女はそう言うと僕たちの返事も聞かないまま、手を引っ張って走り出してしまう。
引っ張られながらも質問をする。
「名前は何かな? それとお母さんの宿って言ってたけど宿を経営してるの?」
「えっとね! ミサキはミサキだよ! お母さんは【スイーツスリープ】って宿をしてるの。だから泊まって欲しい! 」
ここまでお願いされると断れるはずもなく、案内してもらうことにした。
大通りから一本抜けた場所に入ると「これ! 」とミサキちゃんが教えてくれる。
目を向けると大人しい感じの薄ピンクの外装の建物があった。
すると、待っててねと言い残し走って中に入っていった。
お母さんを呼びに行ったのだろう。
ドタバタと慌ただしい物音が聞こえた後、一人の女性が出てきた。
「まぁ!? 宿泊者さんが本当に! 【帝王の宿】と間違えたとかじゃないのよね!? 」
慌てふためく女性にどう声をかければいいか分からずあたふたする。
と、取り敢えず落ち着いてもらわないと。
「えっと、落ち着いてください。宿を間違えたりはしてませんよ」
「本当の本当に間違えてないのね!? ここは【スイーツスリープ】なのよ? 」
「だから間違えてないって言ってるじゃないですか」
「本当の本当の本当にーー」
「お母さんしつこいよ! せっかくミサキが連れてきたお客さん逃げちゃったらどうするの」
結局、落ち着かせるのに数十分の時間が生じた。
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