1話 土魔術師、追放される
超久しぶりの新連載です。暫くは連続投稿しますので宜しくお願いします。
「アルス=タードニアス。君をSランクパーティー【文武両道の覇者】から追放する」
パーティーリーダーであるセイカク=ゴーミにそう告げられた。
【文武両道の覇者】とは僕が所属している冒険者のパーティーだ。
朝一番に集まるように言われ、席に着くと開幕早々にそう発言してきた。
追放、と。
「ま、待ってください! 僕はちゃんと命令をこなしてきたはずです」
はいそうですか、と了承できるはずもなく反論する。今までのゴーミや他のパーティーメンバーの無茶ぶりも全てやってきた。
なのに追放とは意味がわからない。
「は? お前が役に立った試しなんてないだろ。ゴーレムを作成出来るからとパーティーに入れてやったのに土くれしか作れないじゃないか」
「そうだな、あれをゴーレムと呼ぶなど不敬に当たる」
この人は重騎士のサンドラ=ゲリロードさん。
がっちりとした体格でゴーミさんとは正対だ。
重たい甲冑を着こなし、大剣を肩に掲げている。
「神聖たる職業【ゴーレム使い】と偽るなど言語道断。今までパーティーに所属出来たことに感謝するべきではなかろうか? 」
【ゴーレム使い】だなんて1度も言ってない。僕の職業は【土魔術師】だ。……一応ゴーレムを作成出来るからそう言ったんだけど、どうも勘違いされる。
僕なんかがかの伝説の勇者様と同じ職業な訳ないのに。
1000年前、勇者がゴーレムを自在に操りほぼ1人で魔王を倒したという逸話が語り継がれている。
そのためゴーレムを扱える人は何かと重宝される。
最初から怪しむべきだったのだろう。冒険者になったばかりの初心者をトップクラスのSランクパーティーが勧誘してくるなんて普通有り得ないのだから。
「それに君はレベルが“1”から上がらないじゃないか。筋力も弱いから荷物も持てないし……唯一評価できる土魔法もやらかしてくれたよね」
ゴーミの問いかけにギクッとなる。
確かに僕はレベルが1だ。
一般的な冒険者推奨レベルは10以上であり冒険者になれたのも奇跡だ。
職業が【土魔術師】だったのと、担当の受付嬢さんが優しいお姉ちゃんだった、この2つが無ければ今頃何をしてたか見当もつかない。
「レベルは1で戦闘面では役に立たない、荷物持ちとしても役に立たない、勇者様の後継スキル【土魔術師】もろくに扱えない、魔導具はダメにする……誰がここまでの無能を入れておく必要があるんだい? ……泥遊びは他所でやれよ」
「泥遊び」ーーこの言葉が心の中を埋め尽くす。
今までの頑張りは全部無駄だったのだろうか?
更に追い打ちをかけてくる。
「分かってると思うがこれから一切ミリナには近づくなよ? 」
僕を睨みながらそう言う。
ミリナさんは回復術師で、いつも損傷や疲れを癒してくれる。
そして、パーティーメンバーの中で唯一僕の味方で居てくれる人だ。
何よりも僕の成長を誰よりも喜んでくれた姉みたいな存在だ。
……もしミリナさんがこの場に居たなら追放を止めてくれたかもしれない。
いや、いつまでもおんぶにだっこじゃ駄目だ。
後ろめたくなる気持ちに区切りをつけ、前を向く。
ーーもう会えなくなるのは悲しいけど僕が弱いからこうなったんだし。
「今までお世話になりました」
「ああ、分かってくれて嬉しいよ! じゃあな」
ニコリと笑いこちらに近づいてくる。
「はっ、俺が追放で済ませると思ったか? これだから頭の鈍いFランクは嫌いだよ」
ガツンッ。
ゴーミの言葉を最後に俺は意識を手放したのだった。
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