『Part12』
world of fake12
上京に眠る「其れ」の前に「海」「実果」「凛恵」「翼」は集まっていた。
「三人」の顔は、今までに感じた事の無い色に染まっている。
「翼」の目には、そう見えていた。
「海」は切り出す『今後の事を考え、私達のアイテムを新調しよう。』と。
「アイテム」
それを生み出し造れる者は、その「センス」を持つ者だけ。
この都には、そう言ったセンスを持つ者達は多数居る。
その者達は其れを生業とし、店舗を構えている事が殆ど。
「海」は、必要なアイテムを作ってくれる店舗に発注を掛けている、と言う訳では無く、店主の中にも「京」に通じる方々も居る様で、一般とは異なるルートでアイテムを得ている。
『一条んとこ行くんすか?其れとも二条の・・』
「翼」は問いに「海」は答える。
その答えに「翼」は驚いた。
今回はどちらにも行かず、「海」自らが造ると言う。
一般的にアイテムを造れるセンスは四つ・・『ソード・スミス』『ガン・スミス』『スピア・スミス』『アーマー・スミス』
中でも、最後に紹介した『アーマー・スミス』は希少で、そのセンスを持つ者はかなり少ない。
センスにも上下がある。
同じセンスを持つ者でも熟練された者なら、より良いアイテムが造れる。
「京」に協力的なアイテムセンスを持つ者の中には、一流と呼べる程の「アーマー・スミス」は居ない。
が、たとえ最高の仕上がりとは言えずとも、有るに越した事は無い物だと「海」は、そう思っていた。
この場に来るより少し前、「海」はその者が営む店舗を訪ねていた。
しかし「海」は、手ぶらである。
『「衣」も、海さんが造るんすか?』
『ああ!!』
『俺達のアイテムを新調するって・・一人でそんなに造れるんすか?そんなセンスがある様には・・・ーーすいませんっ!!』
「海」は、高らかに笑う。
センスは一人に一つ、と言う事は無い。
寧ろ持つ者はとことん持っていて、持たない者はとことん持っていないもの。
「実果」は「翼」に言った。
『海さんはマスター・スミス、大体の物は造れるだろうね。』
『マスター・スミス・・そんなセンスを持ってたんすね!!』
『まぁね!でも、そんな大した物じゃないさ!造れるものは知ってる物だけ・・便利な様で、そうでもないセンスさ!』
『いやいやいやぁ〜、それで言ったら俺なんて何のセンスも無いっすから!!!マスター・スミスに加えて、恐らく海さんしか持たないセンス「バイオマス」まであるんすから!!最強ですよ!』
『いやいやぁ〜どうもどうも!』
「そのセンスも、中途半端な代物さーーーーー」
「翼」「実果」「凛恵」は、それぞれ自身が今装備しているアイテムを出す。
「翼」は京棒のみ、銃は合わない様で所持していない。
因みに、京棒もあまり合わないのだとか。
「凛恵」は京銃のみ、近接戦闘が好きじゃないらしい。
「実果」は京棒と京銃を所持している「海」も同じである。
「海」は、それぞれの能力、個性を考え、新たにアイテムを造る。
「翼」は、どうせ使わないから銃はいらないと言う。
「凛恵」は、いっぱい装備したら体が重たくなるから一つだけで良いと言う。
なるべく小さくて、軽いやつが良いと・・実質、小型の銃だけで良いと言っている。
「実果」は『お任せします』とだけ言う。
「海」は、それはそれは楽しそうに思考を凝らしていた。
『完成を楽しみにしていたまえよ!諸君!!』
「翼」「実果」「凛恵」の三人は、「海」とは別行動を取り「左京」へと足を運んでいた。
左京の様子を見て来てくれと、「海」に頼まれたからだ。
この三人で行動すると言う事は滅多に無い。
記憶が確かなら、初めてと言える程に。
「翼」は、少し浮かれている様にも見える。
それに反して「実果」と「凛恵」は、何処か緊張感を持っている様に見えた。
左京は、特に変わりない様に見える。
しかし、よく目を凝らすと一度地を掘り起こし、埋め直した様な痕跡が見受けられる。
木や池、石積みの階段や壁など、様々な自然に不自然を感じられる。
「何かを木っ端微塵にした様な跡、ここには何かが建っていた・・」
踏み締める地の傍らに揺れる雑草も、何かを物語っている。
暫く行くと人も多くなり、瞳に映る限りは可笑しな点は無い。
三人は其処に有る、とあるお店のベンチに腰掛ける。
甘いスイーツを出すお店。
ここの人は、そう言ったセンスの中でも、かなり練度の高いセンスを持っているらしく、とても美味しいと評判だ。
「実果」と「凛恵」は「翼」に進められたイチゴのショートケーキを頼む、勿論「翼」も。
「実果」と「凛恵」は「翼」と一緒に居る時くらいしか、甘い物は食べない。
果物にも滅法疎い「実果」と「凛恵」だが、嫌いと言う訳では無い。
『これ、中京で取れる実か?』
『違う、違う!あれは林檎、これは苺だ!』
『そうか。同じ赤い実だからよく分からないな!』
「随分違うと思うんだが・・まぁ、それはそうとーーーーー」
『この後、行きたい所があるんだ!一緒に来てくれ!』
「翼」に言われやって来たのは、とある竹林。
笹の揺れる音が気持ち良い。
木漏れ日は青く輝き、とても綺麗。
『ここは、俺のお気に入り!来た事あったか?』
『いや、無い。』
『そうか、良かった・・・なんかあんならさぁ、話くらい聞いてやるからよ!いつでも、言って・・くれよな!』
目を開く「実果」と「凛恵」瞳は、その場に揺れる木漏れ日の様に輝いていた。
二人は「翼」の背に答えるーーーーー「うん。」
ーーーーー聞き慣れた音色が鳴り響く。
「ベトレイアルの星」とある蔵に皆は集まっていた。
「天ノ秘宝」を所持しているメンバー「二夜」と「三昼」の二人は、試合を行っていた。
「三昼」が「天ノ秘宝」の一振り「眠り姫」を扱える様になる為の特訓。
正しくは「本当の力」を扱える様になる為。
「天ノ秘宝」は本来、手に持つ事さえ許されないもの。
其れを手にした時点で、とてつもない力が使える。が、鞘から抜くのと抜かないのとでは雲泥の差。
鞘から刀身を抜くには、今の「三昼」では何かが足りていない。
「三昼」がもし「眠り姫」を抜く事が出来たなら「ベトレイアルの星」は、今とはかけ離れた戦力を得る事になる。
「天ノ秘宝」を手にしたからと言って、完全無欠の力を手にした訳じゃない。
其れを手にしたとて、敵わないものには敵わない。
『準備はいいですか?』
『はい。』
『顕現するーーーーー眠れ・・・・白雪姫。』
『顕現するーーーーー居眠れ・・・眠り姫。』
『黒道ーーーーー・・・』
『黄道ーーーーー・・・』
二人の指は強く熱を持ち、そこに姿を見せる二つの天ノ秘宝。
二人は其れを手に、剣を打ち合う。
京の縁が鳴るその時まで、刀身が鞘から抜けるまで。




