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World of Gray  作者:
『world of fake』
43/45

『Part11』










world of fake11










左尽土石流大突波さじんどせきりゅうだいとっぱ。』

『止水・暗部玲羅しすい・あんぶれらーーーーー流水大突波。』


「凛恵」と「三昼」は技を打ち合っている。

地は揺れ空は荒れ、その激しさとは裏腹に至って物静かで落ち着いた表情。

互いに熱を感じさせない、冷静な攻防を繰り広げていた。

そんな戦いの中、突如として「三昼」の表情が大きく動く。

何処か間の抜けた雰囲気を感じる「彼女」の顔色が引き締まって見えた。

この表情の変化を「凛恵」は見逃さない。

どうして今このタイミングで「三昼」の顔色が変わったのか、もしくは顔色を出したのか、それは端的明瞭。

「凛恵」と「三昼」は技を打ち合う中で、元居た場所よりそれなりに外れた場所に居る。

「実果」や「二夜」達が、今居るであろう元居たその場所より感じる異様な温度、熱、これは「実果」の物では無い。


「相手が何かした。」


しかし、何があろうが「実果」に限っては大丈夫、心配は要らない。

その気持ちは変わらないが、何も気にならないと言えば嘘になる。

「三昼」の表情から察するに、何か大きな問題があるのは間違いない。

これを無視する事など出来る訳がない。

それは、互いにそうだろう。


「二夜・・ーーー」


互いに攻撃の手を止め、じっと顔を見合わせる。

其の、本の僅かの間、「三昼」は「実果」や「二夜」達が居るであろう方角へと爪先を向け、強く地を蹴った。

その場を去る「三昼」の背を横目に見つめ、視線と肩を撫で下ろす。

鼻から抜ける息と連なって、体内に籠る熱が空に溶ける様。

「三昼」の行く道に目を向ける、その背はもう見えない。

「凛恵」は足取り軽く後を追う。

熱を感じさせない冷静な眼差しで。




ーーーーーそれは




『あなたなら、これが何なのか分かりますよね?実果さん。』

『天ノ秘宝・・・』


「二夜」の手の中で薄暗く輝く小太刀が一振り、其れをふわりと構える。

親指で鍔を押し、ゆっくりと鞘から刀身を抜く。

僅かに垣間見える刃は、妖艶な黒を放っている。

つかを握る拳、力む指に感じる熱、刀の影響もあるだろうが、その姿は先程までとは別人の様に感じられた。

姿は同じ、だけど温度があまりにも違っている。

其れは、別人と感じる程に。

人からは感じた事の無い熱、初めて感じる熱。

視界は黒く歪んで見え、「この者」の背後には他の誰かが居る様な、そんな違和感を覚えた。


『黒く突き抜ける熱・・』

『覇道・・・』


ーーーーーーーーー二夜


ーーーーーーーーー実果


見合う「実果」と「二夜」、其処へやって来た「三昼」、その直ぐ後を「凛恵」が来る。

とても静かで、とてもざわついている。

其の瞬間、正に今、何かが起ころうとしていると言う事を肌で感じる。刹那ーーーーーーーーー


『やめろ』


その場を制止する一声、「流衣」の声がその場に鳴る。

変な静けさを持っていただけに、良く響いていた。


『こんな所でそんな技を使われたら、お前以外の皆が消滅してしまう。』


鋒まで抜き掛けた其の刀身は、妖艶な輝きと共に鞘へと収められた。

辺りを撫でる様に吹き抜ける生温い風、「流衣」は「実果」の傍へと歩み寄る。

一拍、「流衣」は「実果」に問うた。


『俺達は天ノ秘宝を探している。未だ行方知れず二振り、どこにあるのか知らないか?』

『さぁ、どの二振りの事かな?』 

『まぁ、いいだろ。俺はお前達と共に行く気は無い。こっちは三人、天ノ秘宝もある、此処は大人しく行かせてくれないか?』


「実果」は小さく笑う。


『ああ、今回は見逃してやる。』

『見逃してやる、か・・それはお互い様だ。』


「お前達が天ノ秘宝を守り続ける限り、必ず又どこかで顔を見合わせる事になる。何れ必ず、決着は着ける。」


「流衣」「二夜」「三昼」は姿を消した。


「流衣、やっぱりお前が・・」


『実果、大丈夫?』

『ああ、大丈夫だ。凛恵こそ大丈夫か?』

『大丈夫。』


「あの子、悪い子じゃない・・」


「流衣達」は、とある場所へと歩を進めていた。

その道中ーーーー・・・


『どうして止めたんですか?』

『あのまま戦っていればお前は負けていた。俺達が加わったとしても凛恵が居たあの場では良くて相打ち、今そんなリスクは背負えない。』

『其れ程ですか、彼は・・』

『・・ああ。だが、怖いのは実果の「センス」だけだ。それさえ何とか出来れば、負けは無い・・今は秘宝の収集を最優先する。』

『はい。』


ーーーーーーそれさえ何とか


『三昼?大丈夫ですか?』

『うん、大丈夫。』


「あの子、良い子そうだったな・・」


「実果」と「凛恵」は、上京に戻り「秘宝」の前に立ち尽くしていた。

その時、こちらへと向かい来る足音が一つ、聞こえて来た。

コツ、コツ、コツ・・聞き慣れた足音。


『やぁ、お疲れだね!』

『そちらこそ。』










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