『Part9』
world of fake9
「実果」と「凛恵」は、懐かしき其の地に立ち何かを思う。
何か分からない何か・・
垢抜けた表情で足取り遅く、辺りを練り歩く。
軽く上がる太もも、一定のリズムで揺れる両手。
・・・ーーーー
『もう、日は沈んでるぞ。』
聞き覚えのある声、懐かしい声。
『久しぶりだな。』
『ああ。』
「実果」と「凛恵」の目の前に「流衣」その男は立っていた。
『生きてたんだな、』
『ああ。』
『何で、今まで連絡して来なかったんだ、』
『連絡する理由が無かったからだ。』
ーーーーーーーーー何だよ、それ・・
けんかはやめよ・・・ーーーー無事で良かった、流衣。
『凛恵、少し見ない間に、随分としっかりして見える。いや、お前は元々しっかりしていたか。』
刹那の静寂ーーーー「実果」は、静かに口を開いた。
『他のみんなは・・』
「流衣」は何も答えない。
その目は、何処か遠くの方を見ている様だった。
その表情で「実果」は察する。
軽く俯く「実果」に「流衣」は言った。
『お前だったら、何とか出来たか?』
「実果」はじっと「流衣」の顔を見る。
見ているだけ・・何も言わない、返さない。
何を聞かれているのか、何が聞きたいのか、「実果」にはよく分からなかった。
「流衣」は続けて言った。
『お前の察する通り、俺以外は皆んな消えたよ。跡形も無く・・かつての仲間、同じ学舎で苦楽を共にした家族も皆んな・・』
『・・・・』
『ガッカリしたか?失望したか?おめおめと生き残った俺を哀れに思うか?』
ーーーーーーそんな事思う訳ないだろ
哀愁のある優しい表情、その顔を見て流衣は何かを思うーーーーーー「実果」は言う『流衣だけでも、無事で良かった。』小さく頷く「凛恵」、続けて「実果」は言った『帰ろう、海さんも待ってる。』
無言の「流衣」を背に歩を進める「実果」と「凛恵」。
「流衣」は無言のまま跡をつける様に歩を進める。
「実果」は軽く後ろを向き「流衣」に話しかける。
『今、京は極端に人手が足りていない、流衣が戻って来てくれれば大助かりだな。』
大きく頷く「凛恵」
『大助かり・・本当にそう思うか?金の都が今どうなっているのか・・知らない訳じゃないだろ?仕事は失敗、つまり有って無い灰の都と化している。俺に力が無かったからだ・・』
『・・そんな事無い、流衣に難しい事何だったら誰がやっても難しかった・・今よりも酷い結果になっていたかも知れない、自分自身の事すら守れずに・・』
『同情はよせよ・・ただ、実果だったら・・お前だったら何とか出来たかもな・・』
『・・・流衣に出来ない事は僕にも出来ない。』
ーーーーーお前のそう言う所が昔から嫌いだった
『今、火の都からの応援を求められているそうだな。だけど京の都は今それ処じゃない、天ノ力の五振りが消えているのだからな。』
『ああ、その通りだ。』
その場の者は皆、足を止めるーーーその場に居る者は五人「実果」「凛恵」「流衣」「」「」
『誰?』
「実果」は問う。
『初めまして、十束二夜と申します。』
『三昼です、』
其処に立つ二人、すらっとした小顔の青年と、だらっとした小柄の女性は答える。
「実果」も「凛恵」も又、顔色一つ変えず『初めまして』と答えた。
ーーーーーー「今の流衣」の新しい仲間
続けて「実果」は言った。
『僕は君達に何の用も無いのだけれど、君達は僕達に何か用があるのかな?』
「二夜」は答える。
『用と言うか何と言うか・・もう全部分かっていますよね?』
続けて「三昼」は言った。
『流衣を守る為に出て来た。』
「実果」は、腰にぶら下がる「其れ」に手を掛ける。
『そう。姿を表さなければ触れるつもりは無かったけど、今ならまだ触れるつもりは無い、大人しく下がってくれないか?』
『三昼も言いましたが、流衣を守る為に姿を晒したので、大人しく下がるつもりはありません。』
ーーーーーそうか
刹那、「実果」は「二夜」を吹き飛ばした。
ーーーーーパチパチパチ..バチ…バチ….
「今のに対応するなんて、なかなかのやり手だね。」
肌をヒリつかせ揺れる空気、「実果」は京棒を仕舞い京銃を取り出す。
「あの青年もなかなかに早いな。手応えはあったけど、何らかの技で僕の攻撃を弱体化させられた。」
ーーーーーバン…バン…バン
その場に鳴り響く銃声、緩く吹く風、ほんの少しだけ呼吸のし辛さを感じさせる。
「実果」から撃ち出された弾丸は「二夜」の前で極端とも思える程に勢いを無くしている様に見えた。
走る「二夜」、その姿を追う銃口、幾弾か撃ち放たれた弾丸は当たりそうも無い。
身のこなし軽く、ステップする様に辺りを駆ける「二夜」。
ーーーーー流火速
「実果」の足下で小さな爆発が起こる。
大きな音と共に大地を焦がしながら一気に距離を詰め、その銃口を「二夜」の胸に押し当てる。
ーーーーーバン…
『流水突波。』
「凛恵」は「三昼」を攻め立てる。
『可愛い顔して容赦が無い、』
「二夜」と「三昼」は次第に追い詰められていくーーーーーー
『水害香炉、霞朧。(すいがいこうろ、かすみおぼろ)』
『左尽土沙降り、砕石時雨。(さじんどしゃぶり、さいせきしぐれ)』
『・・・』




