『Part2』
world of fake2
「京」のメンバーの一人「凛恵」は、上京の「秘宝」の警備に当たっていた。
警備と言っても実際に行っている事は、側のベンチに腰掛け気長に空を眺め、雲を目で追っているだけ。
「翼」は性格上警備には向かない、警備任務は「実果」と「凛恵」のローテーションで当たっている事が殆どだ。
二人は言われた事に対して首を横に降ると言う事が無い。
特に「凛恵」は、積極的に警備任務に就こうとする節がある様に思える。
この事もあって、警備任務は「凛恵」が就く事が多めである。
「翼」は、かなり助かってはいるが、偶に「凛恵」が退屈そうで、可哀想に思える時がある。
その時だけは、偶に「翼」が警備任務に就く事もある。
警備に当たっていない残りのメンバーは、「海」と一緒に他の街の調査に当たっている。
秘宝が姿を眩ませてから把握している範囲でこの二日、「海」には少し気掛かりな事があった。
この都に暮らす者達の能力値は大体把握している、殆どの者が『ステージ1』、実用の域に達していない。
能力の値を示す「ステージ」は四段階、一が一番下で四が一番上。
一番上のステージ4は一応枠、一般の者達の中には現状誰も居ない。
なので実質的にはステージは三段階までと言っていい。
そのステージ3の能力者も人数は少なく殆ど居ない、都にほんの数人程度だった・・
なのにここ最近になって、各街でステージ3に到達する者が急増している。
ステージを上げる、と言う事は不可能な事では無いが簡単な事でも無い。
秘宝が消えたタイミングもあって、何か嫌な予感がしていた。
この二日の調査の中で分かっている事は「左京」「右京」「中京」に於いて、ここ最近ステージ3に到達した者は集団行動を取っていると言う事、聞き込みや張り込みでメンバーも大体は把握出来ている。
上京は、京の都の本拠地とも呼べる場所。
その最北端にある、青く輝く綺麗な空間『瑠璃京』
京の都のトップが住まう場所、つまり「海」の実家が其処にはある。
誰も立ち入れない空間、「京」のメンバーでさえも、一度も入った事の無い都市伝説の様な場所。
京の都で一番パワーのある場所、こんな場所があるからこそ上京だけは、「天ノ秘宝」も姿を眩ませなかったのかも知れない。
今日は「海」「翼」「実果」の三人で下京の調査に来ていた。
下京にも強い力を持つ者が居る事は間違いない。
ステージ3程度の温度を多々感じる、が他の街とは違いかなり散らばっていてハッキリと分からない。
其れこそ目の前でも通り過ぎてくれれば分かるのだが・・ーーー
両脚揃えて辺りを見渡し一息付く、目の前を通り行く一人の「青年」
「海」は驚いた。
ステージの高い温度を感じる者が丁度その時、「海達」の眼前を横切ったのだ。
特に悪い事をした、しようとしている、と言う事もない。
其れはこの者に限った事では無いが、特に話しかける話題がない。
意外と、人見知りのある「海」は何か話題は無いかと考えながら「青年」へと目をやる。
「海」は再び驚いた。
通り過ぎて行った筈のその「青年」は足を止め、こちらを見ていた。
目が合うと、まさか向こうから声を掛けて来たのだ。
その「青年」もまた、「海」と同じ様に能力値を温度で感じる事が出来る様だった。
「海達」の独特で強い温度に「初めて」を感じ、声を掛けずにはいられなかった様だ。
名前を聞かれたので三人は咄嗟に「蜜柑」「林檎」「・・・」と答えた。
その者に名を尋ね返すと、その者は「知笛」(ちてき)と答えた。
なんて事のない世間話の後、「その者」とはお別れをした。
皆は上京に待つ「凛恵」と合流し、情報交換をする。
その後、それぞれ自身の住まう居場所へと帰宅した。
また明日、この場所で会うその時まで眠りにつく。
「瑠璃京」から聳え立つ建造物『京の縁』(きょうのえにし)その先端に鳴る「時計」
「日」が沈む合図だ。
日が沈んでも皆には聞こえない小さな音で鳴り続ける時計。
次に皆に聞こえる様に鳴るのは日が昇る時、皆が顔を合わせる時。
『それまでこの音色は二人占め・・』
太陽の代わりに顔を出す月、「海」は塔に手を付きボーッと天を仰いだ。
ーーーーーー『陸』




