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World of Gray  作者:
『world of fake』
34/45

『Part2』










world of fake2










「京」のメンバーの一人「凛恵」は、上京の「秘宝」の警備に当たっていた。

警備と言っても実際に行っている事は、側のベンチに腰掛け気長に空を眺め、雲を目で追っているだけ。

「翼」は性格上警備には向かない、警備任務は「実果」と「凛恵」のローテーションで当たっている事が殆どだ。

二人は言われた事に対して首を横に降ると言う事が無い。

特に「凛恵」は、積極的に警備任務に就こうとする節がある様に思える。

この事もあって、警備任務は「凛恵」が就く事が多めである。

「翼」は、かなり助かってはいるが、偶に「凛恵」が退屈そうで、可哀想に思える時がある。

その時だけは、偶に「翼」が警備任務に就く事もある。

警備に当たっていない残りのメンバーは、「海」と一緒に他の街の調査に当たっている。

秘宝が姿を眩ませてから把握している範囲でこの二日、「海」には少し気掛かりな事があった。

この都に暮らす者達の能力値は大体把握している、殆どの者が『ステージ1』、実用の域に達していない。

能力の値を示す「ステージ」は四段階、一が一番下で四が一番上。

一番上のステージ4は一応枠、一般の者達の中には現状誰も居ない。

なので実質的にはステージは三段階までと言っていい。

そのステージ3の能力者も人数は少なく殆ど居ない、都にほんの数人程度だった・・

なのにここ最近になって、各街でステージ3に到達する者が急増している。

ステージを上げる、と言う事は不可能な事では無いが簡単な事でも無い。

秘宝が消えたタイミングもあって、何か嫌な予感がしていた。

この二日の調査の中で分かっている事は「左京」「右京」「中京」に於いて、ここ最近ステージ3に到達した者は集団行動を取っていると言う事、聞き込みや張り込みでメンバーも大体は把握出来ている。

上京は、京の都の本拠地とも呼べる場所。

その最北端にある、青く輝く綺麗な空間『瑠璃京』

京の都のトップが住まう場所、つまり「海」の実家が其処にはある。

誰も立ち入れない空間、「京」のメンバーでさえも、一度も入った事の無い都市伝説の様な場所。

京の都で一番パワーのある場所、こんな場所があるからこそ上京だけは、「天ノ秘宝」も姿を眩ませなかったのかも知れない。


今日は「海」「翼」「実果」の三人で下京の調査に来ていた。

下京にも強い力を持つ者が居る事は間違いない。

ステージ3程度の温度を多々感じる、が他の街とは違いかなり散らばっていてハッキリと分からない。

其れこそ目の前でも通り過ぎてくれれば分かるのだが・・ーーー

両脚揃えて辺りを見渡し一息付く、目の前を通り行く一人の「青年」


「海」は驚いた。


ステージの高い温度を感じる者が丁度その時、「海達」の眼前を横切ったのだ。

特に悪い事をした、しようとしている、と言う事もない。

其れはこの者に限った事では無いが、特に話しかける話題がない。

意外と、人見知りのある「海」は何か話題は無いかと考えながら「青年」へと目をやる。


「海」は再び驚いた。


通り過ぎて行った筈のその「青年」は足を止め、こちらを見ていた。

目が合うと、まさか向こうから声を掛けて来たのだ。

その「青年」もまた、「海」と同じ様に能力値を温度で感じる事が出来る様だった。

「海達」の独特で強い温度に「初めて」を感じ、声を掛けずにはいられなかった様だ。

名前を聞かれたので三人は咄嗟に「蜜柑」「林檎」「・・・」と答えた。

その者に名を尋ね返すと、その者は「知笛」(ちてき)と答えた。

なんて事のない世間話の後、「その者」とはお別れをした。

皆は上京に待つ「凛恵」と合流し、情報交換をする。

その後、それぞれ自身の住まう居場所へと帰宅した。

また明日、この場所で会うその時まで眠りにつく。

「瑠璃京」から聳え立つ建造物『京の縁』(きょうのえにし)その先端に鳴る「時計」

「日」が沈む合図だ。

日が沈んでも皆には聞こえない小さな音で鳴り続ける時計。

次に皆に聞こえる様に鳴るのは日が昇る時、皆が顔を合わせる時。


『それまでこの音色は二人占め・・』


太陽の代わりに顔を出す月、「海」は塔に手を付きボーッと天を仰いだ。


ーーーーーー『陸』










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