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World of Gray  作者:
『world of light』
31/45

『G3♭』










world of light15










「火憐」は気付かされた。

「皆んな」自身よりもずっと強い事を。

「雫」には何をどう工夫しても勝てない。

「真依理」や「明希正」にも劣っている。

何をどうすべきなのか、考える事さえしなくなりそうだった。

何も、分からなくなっていた。


『このままじゃ、差は開くばかり・・』


「火憐」が一人ボーッとしていると、「真依理」や「明希正」は話を聞いてくれた。

「雫」や「太陽」、「銀河」には出来ない話も、二人になら言えた。

友であり、頼れる姉や兄の様な、そんな感覚を覚えていた。

二人と話していると、前向きな思考を強く持つ事が出来た。

何をどうすればいいのか、それは分からない。

だけど、『前向きな思考を強く持つ』と言う事だけは決めた。

「真依理」と「明希正」に、技の開拓に付き合って貰おうと、重たく地に付いていたお尻を軽く持ち上げ、ふっと辺りを見渡した。

すると、これまで其処には無かった筈の大きな建物が、突如として視界に写し出された。

驚く「火憐」、駆け寄る「真依理」と「明希正」。

二人も又、かなり驚いている様であった。


『これが・・』


『・・みたいだね。』


その後三人は、その建築物を調べる事にした。

中には誰も居らず、特に変わった様子は無い。

少し離れた場所にある、もう一つの大きな建造物。

その建物は先程の様な小さい部屋がいっぱいある其れとは違い、十段程の長い段が高い台の上にあり、その一番上に大きな部屋が一つあるだけ。


『何だこれ、何に使うんだぁ。』


『見ない建物だね。用途が分からない。』


同じ様な物が六つ、特には何も無い地を囲う様に、中央を広く空け建ち並んでいる。

その建造物と建造物の間を歩み、何となく、特には何も無い地の中心を目指す三人。

しかしどう言う訳か、幾ら前へと足を進めても、全く近づく気配が無い。

歩いていると言う感覚はあるが、進んでいると言う感覚が無い。

数百メートル程の距離は、随分と遠く感じられた。

それは無限と呼べる程に。

引き返す三人。その時は、目で見えている通りの距離だった。

その空間を介しても、中は普通に見えている。

兎に角広く何も無く、綺麗に整地された荒野の地。

よく見ると、その地の中心で寝っ転がっている者が居た。


『太陽、何でそんな所で・・』


よく分からない事だらけだけど、この建造物が突如として現れた事に関しては・・関しても「太陽」の仕業・・関係していると言う事は確定的。

安心にも似た感情を抱き「そりゃそうか」と、自身を軽く笑い飛ばす「火憐」だった。


「火憐」「真依理」「明希正」の三人は、その建造物を飛び越えた。

間からは入れなかったけど、上からなら入れる様である。

「太陽」に駆け寄り声を掛ける。が、返事は無い。


『気を失ってるーーーーー。』


大方、「銀河」と戦いダウンしているのだろうと三人は思った。

「太陽」がここまで追い詰められる事なんて、「銀河」との戦闘くらいしか考えられない。

でも、そんな事よりも、二人が戦っていたのだと思うと三人は、何処かが震える様であった。

恐らく間違いない話ではあるが、其処に「銀河」の姿は無い。

「銀河」が帰って来るか、「太陽」が目を覚ませば全てが分かる。

この事は一旦他所に置いて、「火憐」は「真依理」と「明希正」に頼み事をした。


『練習、付き合って欲しい。』


三人は再び建造物を飛び越える。

刹那、競技場より放出される異様な力が天を割る。

「火憐」「真依理」「明希正」は頭を揃えて、地から天へと突き抜けるその力を見上げる。

ふわりと中に浮く「太陽」の姿が其処にはあった。

建造物を軽く乗り越え、ゆっくりと地に足を突く。

「太陽」がいつもの「太陽」で無い事は見ずとも分かる。

異常な戦の気配。

背筋が凍て付くかの様。

初めて感じるその感覚に、「火憐」「真依理」「明希正」はピタリと動きを止める。

三人は、息を呑む間も無く「太陽」の放つ熱に身を焼かれた。

「太陽」は手を休めない。

何度も、或いは常時、力を放つ。


『どこまでも乱暴で、どこまでも雑な技。技ですら無い。この程度の力なら・・』


難しい顔をする「真依理」に「明希正」は言った。


『俺達にでもやれますよ!』


『・・ああ!』


「太陽」の技は、範囲が広く速度も速い。

躱わすのは、至難とまでは行かずとも、業が必要となる。

技を打つけ打ち消す、或いは勢いを大幅に弱め耐える。

反撃の狼煙が上がるまで。




『流水ノ囲イ。』




突然の事に驚きを隠せない「真依理」「明希正」「火憐」。

「雫」の技と「太陽」の力が打つかる。

囲は其の形を失い、辺りに飛沫を散らせる。


『これは?』


『護りの技。』


『まもりの、技・・』


『面白い事を考えるんだね!』


『僕が思い付いた力じゃないですけど。』


『っにしたって凄いさ!勝機は見えた!』


『そう言って貰えるのは嬉しいんですけど、あまり信用はしないで下さい。まだ不完全な技ですから。』


『そう謙遜するなよ!』


『謙遜なんかじゃないですよ。明希正さんには、僕の護りの技は必要無いでしょうから。自分の力を第一に信じて下さい。』


『買い被り過ぎだ!しっかりと守って貰わねーと、攻めるに攻められねぇ!よろしく頼むぜ!』


『謙遜しないで下さい。』


『どんどん、離れていく・・』


そこからは「太陽」を止める為、四人で力を合わせて戦った。

「雫」は後方より護りの技を使い、「真依理」「明希正」「火憐」を「太陽」の力から守る。

「真依理」「明希正」「火憐」は果敢に前へと出でて、「太陽」を攻め立てる。

今の「真依理」と「明希正」「火憐」は攻防一体。

同時に二つの事が出来る高揚感は他に無い。

とは言え護りは、「太陽」の力を受ける度に壊れている。

技が壊され生じる衝撃波も、ダメージが無い訳ではない。

「太陽」の力を直で受ける事を思えば、かなり軽減はされている。

だがしかし、それなりのダメージはある。

今の「太陽」は、力の使い方こそ雑だが弱いと言う訳ではない。

寧ろ力は強い。

使い方が雑だと言うだけの事。

其処に隙はあった。が、徐々に単調な攻撃パターンは変化し、戦い方が洗練されている様に思える。

「真依理達」の攻撃も、殆ど当たらなくなっていた。

そんな中、無理が募り「雫」は倒れてしまう。

「真依理達」を守る物は何も無い。


「真依理」は自身の技で「太陽」の力を打ち流す。

「明希正」は自身の身のこなしで「太陽」の力を躱わした。

「火憐」の目の前で弾ける水、「太陽」の力も離散した。


『守られてばっかり・・』


「雫」は其処に倒れ込む。

駆け寄る皆、其処へ「銀河」はやって来た。


『大丈夫かい?』


『確かに・・守るって、攻めるよりもずっと、難しいですね。』


「火憐」は強く持つ。


『今の私に出来る事。』










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