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World of Gray  作者:
『world of light』
24/45

『B2』










world of light8










『流水大突破。』


先に動いたのは「雫」。

水の壁が「太陽」の前に立ちはだかるかの様。


『ソード・オブ・エース。』


「太陽」は、剣を真っ直ぐ振り下ろす。

真っ二つに切り裂かれた其れの断面は、黒が瞬いている。

それは「太陽」を避け、後方に流れ出る。

それに体を拐われた「火憐」は、数メートル程流され其処に尻餅を付く。

それは形を失い、辺りを濡らす。


「火憐」は、動揺していた。技を、力を使えなかった事を。

そもそもそう言う発想にさえ至らず、ただ流されていた事を。

「真依理」と「明希正」は「火憐」に駆け寄る。


『大丈夫か?』


『うん。』


「太陽」は「雫」を目掛け、力を撃ち出す。


『バレット・オブ・エース。』


「雫」は、向かい来る其れを突く。


『流水槍。・・ーーーー刺突激流一点突破。』


弾ける黒い弾丸。

「雫」の目の前に立つ「太陽」。

振り下ろされる「太陽」の剣を受け止めると、「雫」の槍は砕け散る様に空に舞い、其処に溶けゆく。

「雫」は後方に飛び、地に足が付くと同時に上空へと高く飛んだ。

右足で空を蹴ると、次に左足で空を蹴る。

縦横無尽に空を舞う「雫」。

再び槍を手に「太陽」へと突っ込む。


『ブラック・ライザー・バースト。』


「太陽」は、「雫」が空を蹴るタイミングに合わせ剣を振り下ろす。

剣より伸びる黒の輝き、「雫」の手から舞う熱。

その刀身は、「雫」を地に沈めた。


『空中は立体的に動けるが、変則的あるいは変速的に動き辛い。だから動きを読まれやすい。

空中に対策の無い者に対しては強い行動かも知れないが、そうでない者に対しては格好の的だ。

素早く移動しているだけでは単調すぎる。

空中で自由を得るには、それなりに必要な物がある。

まぁでも、お前は良くやった方だ。』


「太陽」は、そう言い放ち「雫」に背を向ける。

戦いは終わりかの様に思われたが、「雫」は立ち上がり言った。


『ありがとう、今後の参考にさせてもらうよ。それと、まだ終わりじゃないよ。』


「雫」は両手を地に付く。


『覇道・氷里一帯、黒日名。』


「雫」の其の掌より大地は凍て付き、「あっ」と言う間には氷の世界となっていた。

「太陽」と「銀河」の視線は重なる。


『零下氷結ノ小太刀、氷天花。』


「雫」は体を起こし、右腕を伸ばす。

凍て付いた大地より咲く氷の花から咲く刀。

激しく凍てつく「雫」の掌より走る氷結。

その刀身は思わず見入ってしまう程に美しい、視線を凍らせる刀。

周囲の気温は異常に下がっている。

空気中の水分はキラキラと輝き、舞う小さな結晶。

二人の刀剣の打ち合いが、その結晶を溶かしゆく。

地に落ちるみぞれ

「太陽」は、強く薙ぎを打つ。

刀身に入る罅。

次の瞬間、「雫」の技は掌より零れ落ちた。

「太陽」は凍て付きに手を翳す。

いつもの大地、舞降る氷雪は何処にもない。

「雫」は掌より零れ落ちる其れを今一度凍て付かせ、振り下ろす。

「太陽」は其れを、掌で受け止めた。


『やっぱり強いね。僕達とは別物だ。』


「太陽」は手を払いながら『お前もな』と、そう思いながらも口には出さなかった。

お互いにではあるけれど、まだ余力を残している様だったし、ほんの遊びのつもりで始めた戦い、戦いごっこで賞賛など送ってたまるかと。


『・・にしても、お前のその力・・』


傍らで二人の戦いを見ていた「銀河」の目には、「雫」は、この世界で出会った者の中で一番、自身の力を理解している様に見えた。

全力を出さないのではなく、出せない。

正しくは、出さない方が良いと言う事を分かっている。

この世界で出来た型に、力が合っていない。

「銀河」は言った。


『良い「試合」だったね。』


「太陽」は言った。


『試合・・そうだな。』


「銀河」は「雫」に言う。


『これからどうするんだ?』


『僕は、この世界での居場所を見つけた様で見つけていない。だから、皆さんと一緒に居ます。』


『そうか、それが良いと思う。で、その「見つけた様で」と言うのはどう言う意味かな?』


『銀河さんは知っているかと思いますが、此処に暮らす人達は皆んなファミリーネームを持っています。

そう言った意味では、僕は居場所を見つけた。銀河さんや「太陽」の持っている「天ノ」と同じです。』


『そんな事まで調べが付いているとはね。皆んなにも何か名字を付けてあげないといけないよな、とは思っていたんだ。

だけど、僕が付けたんじゃ何の意味もない。この世界の誰かに付けて貰わないと。』


「太陽」が口を挟む。


『名字なんか何でも良いだろ。それよりも、気安く俺の名前を呼ぶんじゃねぇよ、雫。』


『気安くなんかじゃないよ。信頼を込めてさ。』


「太陽」の目付きは一瞬、鋭く尖る。

「銀河」は言った。


『名前と言うものは、結構大事なものなんだ。何でも良いものなら気には触れ無い、筈だよね。』


『・・・』


『名前が無い、或いはコロコロ変えれば、そのモノの有り様は不確かなモノとなってしまう。

自身は勿論の事、他人に認識してもらう事で、より強く其処に存在出来る。

名前とは自己の肯定、存在の証明に必要不可欠なモノだ。』


『・・そうだな。それじゃあ、存在感が薄くならねぇ様に、思いっきりパンチの効いた名字でも付けてやったらどうだ?』


『そう言う事ではないよ、太陽。』


『分かってる、ほんの冗談だ。・・俺らの名字でも付けてやれば良いんじゃねえか。』


『まさか、太陽がそんな事を言うなんてね。彼等を同志として向かい入れても良い、って事かな?』


『そんなんじゃねえよ。ただ、名字が必要ならくれてやっても良いってだけだ。』


『そうか!でも、それはちょっと難しいね。』


『・・そうだな。』


「雫」は言った。


『随分と簡単に納得するんだね。』


『・・この世界で「天ノ」なんて名字、聞いた事が無い。持った所で大した意味はねえだろ。それに、こいつ等は「天ノ」じゃない。』


『太陽「君」なりの優しさ、なのかな。その名を背負ったら、苦労ばかりしそうだ。』


『・・「君」はよせ。気持ち悪い。』


『分かったよ、太陽。』







「銀河」は笑みを其処に置き、三人の元へと歩み寄る。


『大丈夫だったかい?』


「明希正」と「真依理」は言う。


『おかげさまで!にしてもアイツ、中々やるなぁ!』


『ああ、私達の中ではダントツだな。』


「明希正」は「雫」に歩み寄り言った。


『雫って呼んでいいか?』


『もちろん。』


『雫、次は俺と「試合」しないか?』


『ええ、良いですよ。と言いたい所なんですけど、さっきの戦いでかなり疲れが出ているので、もう少し後でなら。』


『ああ、そうだな、すまねえ。十分に回復したらやろうぜ!』


『はい。』


「真依理」は堂々と歩を進め、勇ましく其処に立ち、言った。


『じゃあ、その次は私の番だ!』


「雫」の顔は少し、歪んで見えた。










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