表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
World of Gray  作者:
『world of light』
23/45

『B2♭』










world of light7










「銀河」と「太陽」は、暫くの間「真依理」「明希正」「火憐」と共に行動をする事となった。

都を案内し、今後の目的に付いても少し話す。

皆は興味津々に、又は嬉しそうに話を聞いていた。

「銀河」は木崎家へと向かう為、一通りの話しを終えると、その場を後にした。

あまり大勢で押し掛けると、相手も困るだろうと言う「銀河」なりの気遣いだ。

する事が特に無い「太陽」は、そこら辺に適当に腰掛け「銀河」の帰りを待つ。

その間、「火憐」は頻り(しきり)に「太陽」に絡むが、相手にはされていない。

「真依理」と「明希正」は、その様子を微笑ましげに見ていた。


「銀河」は、目的地へとやって来た。

扉を静かに叩く、反応はない。

もう一度扉を叩く。

そこそこ強く叩いたが、反応はない。

これ以上叩くのは違うだろうと、その場を引き返し、来た道を行く。


『早かったな。』


「太陽」は言う。

「銀河」は、何処か違和感を感じている様だった。


『留守みたいだ。それはそうと此処に来るまでの間、あまり人に出会わなかったな。』


『それがどうした?』


『中央外れに人が少ないのは分かるが、少ないどころか全くいなかった。中央部ですら殆ど人とすれ違ってない。』


『確かにそうだな、なんかあるのか?』


『分からないけど、しばらく間を置いてまた来よう。それで何も状況が変わらないでいたら、その時また考える。』


「銀河」は、達観的に、或いは楽観的に物を言う。


『それはそうと、たまには皆んなの相手でもしてやったらどうだ?』


『誰がするか、めんどくせぇ。銀河がすれば良いだろ?』


『皆んな、太陽と戦ってみたいみたいだよ!』


『ふん、雑魚の相手なんかしたくない。戦いは好きだけど『弱いものイジメ』は好きじゃない。』


「真依理」「明希正」「火憐」は、自身の事を知りたいと言う欲が満ちて見える。

自身の事を知るとなると、唯一知る能力に頼る他ない。

と言うのは方便詭弁の立前で、ただ力を使いたいだけ。

ある物は使いたい。

目一杯能力を使うと、何処かがスッキリする様で、清々しく気分が晴れる。

逆に、使える力があるのに全く使わない、又は中途半端に使うと、何処かが曇る様で気持ちが良くない。

ある種の本能、の様な物なのかも知れない。

ふと「火憐」は言った。


『そういえばあの人、何処に行ったんだろう。』


「銀河」「太陽」と出会う前の話、「火憐」が荒野を彷徨っていた頃。

行けども行けども同じ景色。瞳に映し出されるは、何とも心の踊らない情報ばかり。

夢の中に居る様な、そんな感覚の中で出会った二人の男女。

「真依理」と「明希正」。

二人は不思議な力で激しく打つかっており、その景色に何かが覚醒する様だった。

こうして三人は其処に集まり、暫し三人で行動を共にしていた。

そして、「銀河」「太陽」と出会ったのだが、それより少し前にもう一人、見掛けた者が居た。

その者は顔を合わせると、直ぐに何処かへ行ってしまったのだと言う。


「太陽」は一瞬、その者が『この状況』に関係があるのかとも考えたが、直ぐに『それは無いな』と否定する。

この世界で生まれた者が、これだけ大勢の者達を、こんなにも早く消せる筈など無いと。

もし、その様な者が此の世界に現れたのならば、「銀河」でなくても直ぐに気が付く。

そこまで気になる「熱」は現状、この世界には無い。

それに、「銀河」が探せばいつでも見付けられる。

其れ程気にする事では無い。


『探してやったらどうだ?』


「銀河」は「火憐」に問う。


『探してあげようか?直ぐに、見付けられると思うけど!』


「銀河」は、物陰に目をやる。


『その必要はありません。』


吹く風の様な声、段々と大きく鳴る足音、伸びる影。

涼しげな目をした少年が、其処には立っていた。


『初めまして、銀河さん。雫と申します。』


「火憐」が言っていた「あの人」は其処に現れた。

「太陽」は言う。


『偉くいいタイミングだな。』


『偶然だよ。』


とても静かだったその場所は、徐々に熱を取り戻し、いつも通りの都へと姿を変えていく。

「銀河」は呟く。


『まぁ、思っていた通りだな。』


この世界の者達は皆、温度にむらがある。

人それぞれに違いはあるが、此処で言う違い「斑」とは、そう言った個性の話ではなく、同じ者でも時々によって温度が違うと言う事。

この世界の者達は、ある一定のタイミングで極端に温度が下がる。

こう言った現象は、「銀河」の元居た世界でもあった事。


『催眠』


だが、この世界の其れは、そう言った能力的なものではないと「銀河」は考えていた。

催眠の力を持っている者を、現状この世界で見掛けてはいない。

根本、この世界の者達が能力に目覚めたのは、十中八九ほぼ間違いなく「月姫」の影響だと言える。

そう考えると、この現象は「能力によるものでは無い」と言う答えが妥当になるだろう。

眠らされているのでは無く、それを必要とし自発的に眠っている。

「催眠」ではなく「睡眠」。

珍しい話だが、これも無い話ではない。

自身の持つ能力の都合上、それを必要とする者は居た。

そうでない者からすれば、全く必要の無いもの。

何の意味も無い行為。

この世界の者達は、「銀河」の元居た世界の者達とは、根本的に何かが違うのだろう。


ついでに言うと、これに似た話がもう一つある。

それは食べると言う事。

これも「銀河」の元居た世界では、能力の一つとしてある話。

だけど、この世界の者達は能力に関係なく、皆が食べると言う事をする。

それはそれとして、目の前に現れた「この少年」が今、何か気になる事を口にした。

「銀河」は言う。


『君は先「雫」と名乗ったよね?どうしたの、その名前。』


『これが僕の名前かなと、そう思っただけです。』


『雫君は何か覚えているのかい?』


『いえ、何も。だけど、ぼんやりと思う事はあります。』


『そうか。僕の、僕達の事を、どのくらい知っている?』


『名前だけです。銀河さんと・・太陽君。』


「太陽」の眉間にシワが寄る。


『お前、俺達が荒野で話てる時、近くに居たな?なんで出て来なかったんだ?』


『君に警戒されているみたいだったからね、出るに出れなかった。それに、一人でこの街を見て回りたいって言うのもあったしね。』


『随分と余裕な態度だな。』


『そんな事はないよ。ただ、君とは仲良くなれそうな気がしているだけさ。』


『仲良く・・まぁいい。お前はコイツらより強そうだし、相手してやる。冗談が言えるのは其れが最後だ。』


『いや、やめとくよ。勝てないと分かっているし、これからも冗談は言いたいからね。』


『ふざけた野郎だな。戦う気がねぇなら、その口閉じてろ。』


『戦う気は無いけど、口は閉じたく無いから、戦おうかな。』


『・・来い。』


「火憐」が、その場より声を張る。


『待って!ずるい!私だって戦いたいのに!』


『まぁまぁ!私達は軽くだが、戦った事があるじゃないか!』


『アイツが、どんな力を使うのかも見てみたい。ここは大人しく高みの見物といこうぜ!』


「真依理」と「明希正」の言葉に、「火憐」は渋々上がる肩を下ろす。

割と簡単に納得してくれて良かったと、二人も肩を撫で下ろす。

「銀河」は、言った。


『太陽、彼は弱くないよ。』


『分かってる。「あの女」と同等か、或いは・・・』


『彼女の例もある。あまり力を引き出させ過ぎない方が良いかも知れない。』


『どういう意味だ?』


『・・・』


『まぁ、分かった。適当に相手をする。』


皆は場所を変えた。

やって来たのは都の外、いつもの荒野。

此処であれば、ある程度迄ではあるが、周りを気にせずに戦える。


『いつでも来い。』


『じゃあ、行くよ。』










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ