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World of Gray  作者:
『world of light』
21/45

『A2♭』










world of light5










『すごい・・出来た・・私に、こんなすごい力が・・』


「銀河」は、言った。


『彩香さん、君の力はいい感じだ。全力で太陽にぶつかれば良い。』


『怪我をされては困ります。』


「太陽」は、高笑う。


『確か俺は、お前を消すって言わなかったか?そんな相手の怪我の心配なんかして、頭おかしいんじゃねぇか?』


『言いはしてませんでしたよ。』


『・・じゃあ改めて言ってやる。お前をこの世から消し去る。ーーーーーーブラック・ライザー・バースト。』


剣から鋭く細く天を突き抜ける黒い輝きが放たれる、それを一振り。

周囲に生い茂る緑は疎か、何もかもがその場から無くなり、地平線まで綺麗に見えている。

あるのはそらを映す黒く輝く地。

皆は、空いた口が塞がらないでいる。

「太陽」は、言った。


『これでもかなり手は抜いてる。』


『・・私達が今こうして居られるのは、銀河さんのお陰、と言う事でしょうか?』


「彩香」は、再び辺りを緑で満たし、その緑の生長速度を自在に操る。

鞭の様にしなる木々、その攻撃を縦横無尽に動き回り躱す「太陽」。

移動先を予測して絶えず攻める「彩香」。

向かって来る緑に剣を振り、難なく対応する「太陽」。


『バレッジ・オブ・エース。』


辺りの緑を蹴散らし、一気に距離を詰める「太陽」。

「彩香」の視界から一瞬、姿が見えなくなったかと思うと、次には肩と肩が触れる程の距離に居る「太陽」が横目に映る。

びっくりした「彩香」は、尻もちを付いた。

その傍らに立つ「太陽」。


『下手くそだな。まぁまぁな温度を感じたから、お前の力はこの世界にとって「脅威になる」とか、一瞬でも思った自分が恥ずかしい。

だけど、他の奴等と比べてお前の温度は明らかに高い。これは事実。一応、力だけは消しておくか。』


『力がなくなる・・そんなのイヤっ!』


『お前達には元々無かったものだ。何故無かったか・・必要無いからだ。お前達には必要のない物、元に戻るだけだ。』


『元に戻るのは嫌、一番嫌。必要無いから無かったんじゃない、知らなかったから無かっただけ。私は今、この力が必要だと知った。だから今、私には力が有る!』


「太陽」が、何となく半歩下がった其の瞬間、「彩香」を中心に強烈な風が一太刀吹いた。

空に波紋する暖かな熱。

「太陽」の瞳にハッキリと映る、よく知る光景。

五姫ノいつひめのころも

「太陽」は、その力に何処かを暖められる様な感覚を覚えていた。

理解が追い付く、その前に。

少しすると、その姿に違和感を感じた。

然し、危機的だとは些か(いささか)程にも映らない。

「彩香」は、言った。


『この力は、あなた方の御兄妹の力なんですね。その方の力が、何故か私に使えている・・大丈夫です、安心して下さい。』


「彩香」は、蒼碧の一閃を握り締め、柄に手を掛ける。




『疾風ノ太刀、疾風斬閃、断風。』




刹那、柔らかな空気は表情を堅くする様だった。

その場を動く事なく何度か刀を振ると、再び刀身を鞘へと仕舞った。

次の瞬間、周囲の青は緩やかに空を舞い、烈火の如く吹き荒れる。

揺れている筈の無い大地なのに、真っ直ぐに立つだけの事さえ難しい。

常人ならば。

「太陽」は無作為に吹き荒れる風の刃を受け止め去なす。

「彩香」は、再び刀を抜く。




『迅雷ノ太刀、迅雷突超一点突破。』




バチバチと音を立て、輝きを放っている。

空気がビリビリとしていて体が痒い。

直後、稲妻が走り、その刃の光り輝く鋒は「太陽」の直ぐ側まで来ていた。




『アウト・オブ・ブラック。』




「太陽」が、その鋒を素手で掴むと其れは、塵となって天を舞った。

稲妻の走る電光、手の痒み。

浅く抉れた地面、何かが焦げた匂い。

その場に残るもの。


『もういい、お前の力は十分に分かった。』


『そうですか・・合格ですかね?』


『何の話だ?』


『太陽さんは、私達の事を消すって言ってました。消されてないと言う事は、太陽さんの試験に合格したって事で良いんですよね?』


『お前の好きな様に思ってろ。』


『じゃあ、お言葉に甘えて好きな様に思わせて貰います!結構良い勝負をしましたからね、私達!楽しんで貰えたと思います!この世界の皆んなと仲良くしたい、そう思って貰えたと思います!』


『都合の良い解釈、本当にめでたい奴だな・・俺達はもう行く。』


『そうですか。じゃあ、また・・』


『その力は、使わない方がいい。今のお前では持て余す。その力は、お前が思っている様な素敵なモノじゃない。』


体中の水分が沸騰して気化しそう、そう思える程に体が熱い。

身体の深い所から力が漲って来る様な、とても清々しくて、調子が良い。

何でも出来そうな気がする、そんな感覚を覚える「彩香」であった。










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