『G2』
world of light4
「太陽」から放たれる熱は何処迄も果てしなく、身体が気化しそうに寒い。
足が地に付いている感覚が無く、無意識にしゃがみゆく身体。
両手で自身の肩を抱いていないと落ち着かない。
身体が空に溶け行く様で。
「朱夏」「真央」「春華」「美冬」は、そっと視線を落とした。
ただ、「千秋」だけは「太陽」を真っ直ぐ見つめ、強気に物を言う。
『助けてもらった事には感謝してる。だけど、何だよそれ?訳分かんねえよ!』
「太陽」は言う。
『銀河、こいつらは全員ここで消す。いいよな?』
『何で何も言わねぇんだ?・・ーーーーもういい。』
「千秋」は、身構えた。その姿を見て「朱夏」「真央」「春華」「美冬」も身構える。
覚悟を決めると途端に湧き出る力。
強くなった訳じゃない。
でも、なんかやれる気がしていた。
怒号を上げ、一斉に「太陽」に飛び掛かる。
『いける!』
「五人」掛かり束になって必死に攻めても、「太陽」は平然としている。
掠りもしない皆の攻撃。
皆の気力は、虫の息にも吹き飛ばされそうであった。
『ソード・オブ・エース。』
立ち尽くす「五人」、「太陽」は天高く剣を構えた。その時、彼らに背を向け、間に割って立つ「女」が現れた。
『太陽さん、私と戦いませんか?』
『はぁ?』
『戦いを楽しみたいのなら、次は私が相手になります!』
『お前、面白いな。だけど、お前が俺を楽しませられるのは戦いじゃなくて、そのよく分かんねぇギャグだけだと思うけどな。』
『まぁそう言わずに!・・・私もこの力を使ってみたくなったんです。この力の事、知りたくなったんです。』
『まぁ、俺は別に良いけど、負けとは即ち何なのか理解しているんだろうな?』
『ええ!勿論です!』
『簡単に終わるなよ?』
『頑張ります!』
「彩香」は、そっと瞳を閉じた。
『何となくだけど、身体の深い所に熱を感じる。この力の扱い方も、何となく分かる。この景色を作ったのは、この力が悪い訳じゃない。
いろんな使い方が出来るんだろうけど、この力の使い方は・・・』
その場を包む、淡緑色の温もり。
『森羅蒼碧、一天突破(しんらそうへき、いってんとっぱ)。』
皆は緑の上に佇む。
足元より舞う「あお」の瞬き。
『すごい・・出来た・・私に、こんなすごい力が・・』
『お前は、駄目だ。』
「太陽」の持つ剣が放つ大きな黒。刹那、その輝きが都を満たす。
『ブラック・ライザー・バースト。』
其処に残るものは何も無い。
灰となった都さえも。
『アイツらが居たんじゃ、どのみち此の世界はこうなっていた。この先の事を考えれば、早いうちにこうしておくべきだ。』
瞳に映るのは、広く澄み渡る黒々と瞬く文字通りの殺風景。
何線なのかも分からない境界線が、一閃の輝きを放つ。
「銀河」は言った。
『この力には太陽も俺も思う所がある。俺達は共通して珍しい考え方をしていた。でも、この世界に来て少し考え方が変わった。いや、変わったと言うよりは信じてみたくになった。』
『信じる?』
『目的は変わらないけど、その為に必要な事が『力の無い世界』を作る事では無く『力と共に有る世界』を作ると言う事。』
『何を、訳の分かんねぇ事を言ってんだ。力は人を傷つけ壊すもんだ。それ以外の使い道なんてねぇ。それは俺より、お前の方がよく知っている事じゃないのか?』
『確かに、俺達が今まで見て来た『力』はそうだ。だけどそれは『力』の問題では無く『使い手』の問題。使い手が変われば、また別の可能性が有ると思わないか?』
『思わない。力を持ちながら其れを行使しない奴なんて居ない・・そんな奴、居る筈がない。』
『それは、これまで見てきた世界の話だろ?』
『・・・』
『力を使わないと言う事を前提とない、力と共に有る世界。力は使ってもいいんだ。使い方が変われば、其処に希望はある。』
『あり得ない、現実的じゃない。』
『俺は此の世界でなら、力が人を豊かにする可能性だってある。そう思ってる。』
『あり得ない。』
『なら賭けをしよう。俺が消えるまでに其れを証明出来れば、俺の勝ち。』
『時間の無駄使いだ。その賭け、勝とうが負けようが銀河に何の得も無いだろう。』
『太陽は、優しいやつだな。』
『そんなんじゃない。銀河の尻拭いをするのが嫌なだけだ。』
微笑む「銀河」。
『俺は力の無い世界を創りたい訳じゃない、争いの無い世界を創りたいんだ。
太陽も、人が争い消えゆく瞬間を何度も見て来たと思う。
何の違和感も無く、何も思う所の無い当たり前の光景。
だけど、少しずつ違和感を感じ始め、思う所が出て来た、当たり前じゃなくなった。
世界から人一人消えると言う事がどう言う事なのか、その重みを肌で感じた。
当たり前の事だけど「消える」と言う事は「消えた」と言う事。
「消えたもの」は「消えていないもの」と全くの別物、決して交わる事は無い。
それを知ると「交わる」と言う事には価値があるのだと気付く。重みの正体。
それに名前を付けるなら、何になるんだろうな。』
『何が言いたい?力の無い世界と争いの無い世界はイコールだ。』
『俺はな、それこそが人としての本当の力だと思ってる。力があるからこそ、人は輝ける。そう思いたくはないか?俺達の身体は必要な物で出来ていると、そう信じたくはないか?』
『・・・』
『その力は俺達にも、この世界にも有る。』
『試す価値はある、って事か。』
『理想を実現する為には、未知の領域を知る他ない。』
先程より辺りに立ち込めていた暖かな熱。
瞬く輝きの中で起こる、目紛しい収縮と膨張。
移ろいゆく意識の中で・・




