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World of Gray  作者:
『world of light』
19/45

『G2♭』










world of light3










「朱夏」「千秋」「真央」「春華」「美冬」の五人は、とある広場へと訪れていた。


『それじゃあ、皆んなの異変でも見せ合うか!』


『そうね!・・とは言っても、私達の異変はさっき言った通りよ!これからまた何か新しい事実が分かるかも知れないけど、今の所はさっき見て貰った通り!』


『じゃあ先ずは、俺の異変紹介からするか!俺の異変は見ての通り、片腕が機械みたいになっちまった!この腕で何が出来んのかは分かんねぇ!

あと、俺ん家って皆んなの家より少しボロだろ?ちょっと立派になってた!』


『別にボロって事もないと思うけど・・。千秋の異変、俺達の異変と比べると少し異質だよな。唯一、見た目に変化が現れてる。』


『そうかもなぁ!・・皆んな、自分の部屋だったり家に何かしらの被害を被ってんのに・・・何か、申し訳なく思っちまうなぁ。』


『家が立派になって良かったじゃん!申し訳なく思う必要なんてねぇよ!』


『ありがとな!』


『そうですよぉ〜!良かったじゃないですかぁ!嬉しいことですよぉそれはぁ!』


『これは、千秋の家でどんちゃん騒ぎをするしかないですなぁ!』


『おいおい!』


「美冬」が口を開く。


『朱夏の異変は?』


『ああ、俺の異変は火だ!手の届く範囲くらいまでで、火を起こす事が出来る。ある程度、操る事も出来るみたいだな!』


この話に、「真央」と「春華」は首を傾げる。


『そういやそうだ!真央の家に向かってる最中、朱夏が俺を担ぎながら足から火ぃ噴いて、めちゃくちゃなスピードを出してたんだ!』


「朱夏」は自身の開かれた手のひらを見つめ、強く握り返す。


『この異変、他にもまだまだいろんな事が出来そうだよ。』


『すごいですねぇ〜!さっき起きたばかりの現象なのに、もうそんなことまで出来るなんてぇ!』


『そうでもない!部屋をまる焦げにしちまったからな!』


『確かに、その異変ならそうなってそうよね!』


『無事で良かったですねえ!』




『申し訳なく、思っちまうぜ。』




「何事も無かった」とは言えないけれど、無事だったからこそ良い笑い話になっている。

ある程度の話が済むと皆は、それぞれ異変を使用し、試行錯誤をしていた。

体表面がほんのりと温かく、身体中に感じる熱が心地良い。

皆は新しい玩具を買い与えられた子供の様に、異変を試行していた。

異変とは『神様が与えてくれた遊具』だと、言わんばかりに。







場面は変わり、不服に歪む「太陽」を横目に「彩香」は言った。


『あなた方のお名前も、聞いていいですか?』


社交的に振る舞う「銀河」、交戦的で無愛想な「太陽」。

「彩香」の瞳には、そんな二人が対照的に映っていた。

同じ名を持つ者同士なのかと、少し不思議に見えた。


『家族、なんですか?』


『・・ええ、まぁ。』


『呑気に自己紹介なんかしてる場合か?コイツの力は・・』


『・・あなた方は、この現象について何か知っているんですか?』


『ええ、まぁ。いつか話す事もあるかも知れません。』


そう言うと「銀河」は、何処か遠くの方を見つめる様だった。







場面は戻り「朱夏たち」は、異変の使い方等を一通り試し終え、何処かときめく様な気持ちを胸に、その場を後にした。

そんな時、彼らは揃って都に異変を感じた。

「違和感を感じた」の方が、正しいのかも知れない。

都、その中央都市部の方がヤケに煩く感じた。

皆は顔を見合わせた。

誰も何も言わない。だけど、皆が同じモノを感じているのだと分かる。

皆は、急いで中央都市へと向かった。

近づくに連れて感じる強い違和感。

今まで切らした事の無い息を切らせ、皆は黙々と駆けゆく。


中央都市に着いた「朱夏たち」は目を疑った。

平坦な地だが、土砂崩れにでも遭ったかの様に街が崩壊していた。

至る所から上る黒煙、その下を照らす朱炎。

側には倒れている人も居る様だった。


『早く助けないと!』


「千秋」を先頭に、皆は其処に倒れる者の側へと駆け寄る。


『大丈夫か?』


「朱夏」は、何も考えられないでいた。

頭の中が真っ白、今のこの状況が飲み込めないでいる。

感情がうまく言葉に出来ない。

感情を上手く言葉にする必要性を感じた事は無いが、今は言葉は疎か感情もよく分からない。

故に空っぽになっていた。


『美冬!火の元は任せていいか?』


『はい。』


『他の異変は、今は無視でいいだろう。美冬が火を消してくれてる間に、俺達は怪我人を安全な所まで運ぶぞ!』


『分かった!』


『了解ですっ!』


『ああ・・』


地を蹴る足は泥を跳ね上げる。

怪我人は、かなり多く居る様であった。

自力で動けない者もいれば、「千秋たち」に手を貸す者も居た。

「美冬」は、これ以上被害が大きくならない様、丁寧に消火をしているが、家に付いていた火は辺りに伸びる木々に移り、それは木々から木々へと燃え広がって行く。

一人では中々に骨、枚挙に遑がない。

身体がズンと重たく感じても「美冬」は手を止めない。

それを察してか、「千秋」は肩に人を担ぎながらも、鉄の腕で木々を次々と切り刻む。

その腕は剣の様。

舞う火の粉は地に落ち、音を立て、白煙を上げる。



『こりゃ、俺達だけじゃキツイな。』


『消火もそうですが、救助も追い付かないですね。』


『どうする・・千秋。』







場面は変わり、「銀河」は言った。


『都の者達が、一斉に「力」に目覚めている。直ぐに向かう、着いて来てくれ。』


『他にも居るのか、分かった。』


『君もだ、彩香さん。』


『私、ですか・・分かりました!』


『なんでそんな奴!』


『勝手に着いて来る分にはいいだろ?』


『・・・』


『じゃあ、勝手に着いて行きます!』


『行こう、太陽。』


「太陽」の瞳に映るは、此の間とは丸で違うその景色。

驚きの一つも無い冷めた瞳。

やはり、力とは争いを生み出すモノなのだと、その為に存在しているのだと、そう強く実感していた。




『銀河、お前が「様子を見る」と言った力がこれだ。』




『まさか、この後に及んでまだ「様子を見る」なんて言うんじゃねぇだろうな?』




『銀河がやらねぇんだったら、俺がやる。』




世界にノイズが走る。

沈黙を貫いているかの様に思われた「銀河」は、そっと腕を掲げた。

都に燃える火は、一立ちの煙さえをも残さず輪郭すがたを消した。

其処に残された者も又、同様に。

其処に残る物は、灰になって崩れ落ちてゆく家と木々そして、舞い上がる瞬き。

「銀河」は「千秋」に声を掛けた。


『大丈夫かい?』


「千秋」含め皆は、自身の目を疑った。

視界に映る目より溢れる怪我人も、うんざりする程に燃え盛る火も、一度の瞬きの間に何処かへと行ってしまった。

何度瞬きをしても、それは変わらない。

動揺しながらも「千秋」は「銀河」に、感謝の言葉を述べた。


『気にしないでくれ、皆を助けられた訳じゃない。』


事の一部を見ていた「彩香」は、これまでに見た事の無いその景色に胸を痛めていた。

痛みに痛む街並み、この力がこの景色を作ったのかと、こんなにも素敵な力が、こんなにも痛ましい景色を作るのかと。




「月姫」が消えたあの日、都は「月姫」のエネルギーが満ちていた。

『型』を失ったエネルギーは徐々に弱くなり、やがて熱を失う。

失うと言っても、ゼロになる訳ではない。

新たな型の中で、再び熱を持つ。

型が変わればエネルギーの在り方も変わる。然し、ごく稀に在り方が変わらない事がある。

自身の身体に感じる他者のエネルギー、それは新たな力となる。

型は自身ではどうする事も出来ない。

時の経過に伴って、消費するだけの代物。

でも中身は違う。

エネルギーに時の期限は無い。

使い込めば使い込む程により強く、より熱くなる。

それは結果として型を壊し兼ねない行為ではあるが、それでも人は力を行使する。

自身の力に型が壊され様とも、他者の力に型が壊され様とも、その日が来るまで力を使い続ける。

ただ朽ちゆくだけの存在ではないと、何かに抗う様に。

目には見えず、何処かで感じる事もない、そんな型などに何の価値も感じない。

大切なのは、自身が他者を利用し、自身を感じる瞬間。誰の目にも見える、人としての形。

人は、変化が大好物だと言う事。

自身で変えてゆける自分自身が大好きだと言う事。

だからこそ、戦う。

しかし此の世界の者は、少し違う感覚を持っている様であった。

それは「太陽」の目にも、ぼんやりと映し出されている。

然し、重要なのは其処で無い。

少なくとも「太陽」にとっては。




『こいつら・・助ける価値あるか?』










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